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2016.09.24

代替医療に期待しすぎると取り返しがつかない

高山知朗

代替医療に期待しすぎると取り返しがつかない

 30歳でIT企業を興して経営者となった高山知朗さん。ところが猛烈に働いていた40歳の時に脳腫瘍、さらに42歳の時に白血病と、2回の異なるがんを経験します。5年生存率はそれぞれ25%と40%、かけ合わせると10%という低い確率です。しかし高山さんは手術、放射線治療、抗がん剤治療の西洋医学のみで寛解し、45歳の今日まで生き延びているのです。
『治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ』では高山さんが2度の闘病経験から学んだ、病を生き抜くヒントを丁寧に解説しています。今回は「治療法にまつわる言説の検証」の一部を試し読みとして公開します。自身のがん治療と、身内のがん治療を経て、高山さんが辿り着いた代替医療との付き合い方とは?

*  *  *

☆代替療法・民間療法は三大治療の補助とすべき
 民間療法や健康食品などは、手術、放射線治療、抗がん剤治療といった西洋医学的な治療に対して、「代替療法」と呼ばれています。鍼灸(しんきゅう)治療などの東洋医学的な治療も代替療法に含まれます。

 有名人のがん報道でも、こうした代替療法が話題になることがあります。
 アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏は、膵臓がんが見つかったとき、当初は手術を拒否し、代替療法での治癒を目指したようです。そのために西洋医学的な治療は遅れ、その間にがんが進行してしまいました。最終的には摘出手術を受けましたが、手術が遅れたことを後に本人は非常に後悔したとのことです。
 また胆管がんで亡くなった川島なお美さんは、手術を受けた後、抗がん剤治療を拒否し、金の延べ棒で身体をさするという民間療法に頼ったようです。

 患者さんはがんが見つかると、周囲から民間療法や健康食品などを勧められることが多くなると思います。私のときもそうでした。そして私の家族ががんになったときには、私自身が積極的に代替療法を勧めました。
 私の妹が乳がんで闘病中、私は代替療法で有名な帯津良一先生の本を読み、妹とともに帯津先生の病院に先生を訪ねて行きました。妹とともにイメージ療法のサイモントン博士の講演会にも参加し、妹はサイモントン療法の合宿プログラムにも参加しています。
 妹は乳がんが見つかった時点ですでに肝臓に転移していたため、最初の段階で医師から「治療で完治を目指すのは難しい」と言われていたのです。転移のために手術はせずに、抗がん剤による全身治療と放射線治療を受けました。

 がんの三大治療では妹のがんの治癒を期待することができないのであれば、代替療法に頼らざるを得ません。国立がん研究センター中央病院での治療と並行して、いろいろな代替療法を試しました。でも残念ながら妹は闘病の末に亡くなってしまいました。
 三大治療で治癒が期待できない場合や、治療の末に打つ手がなくなってしまった場合、患者さんや家族は代替療法に頼るしかなくなります。命を諦めることはできません。その意味で、川島なお美さんが金の延べ棒にすがった気持ちも非常によく分かります。
 でも、三大治療を受ければ治る可能性があるのであれば、まずはその治療を優先すべきではないかと思います。スティーブ・ジョブズ氏のように手遅れになる前に。

☆私が実践したイメージ療法と鍼灸治療
 私自身ががんになったときは、「がんそのものは三大治療で治す」ことを基本方針としました。そしてその三大治療を補完するために、あるいは治療の副作用を軽減するために、代替療法を利用しました。

 そうした代替療法の一つが、イメージ療法のサイモントン療法です。これは本を読んで自分なりのやり方で実践しているだけです。効果があったかどうかは明確には分かりませんが、実際、私は今でも生きています。
「イメージ療法」と言うと分かりにくいですが、私の勝手な理解で大雑把に言ってしまうと、がん細胞が消えていくイメージをできるだけ具体的に頭の中に描くことにより、がんの治癒を目指すものです。
 私はこのイメージ療法を、抗がん剤の点滴中や放射線の照射中によく行っていました。少しでも治療の効果が上がり、がん細胞が消えてくれればとの思いからです。「病は気から」が真実なのであれば、がんが消えていくイメージを持つことでがんは消えていくはずだと考えていました。
 妹が乳がんで闘病していたときにサイモントン博士の著書を何冊も読み、勉強したことが、まさか10年以上も後に自分のために役立つことになるとは思いませんでした。

 そして退院後には、帯状疱疹後神経痛の軽減と、免疫力や体力の回復を目的に、鍼灸治療も受けています。実際に鍼灸治療を受けてすぐに、手術後に残った頭の傷口のしびれがなくなったり、悪性リンパ腫のために続いている左足のしびれが多少軽くなったりという効果を感じました。これは予想外だったので驚きました。
 そして鍼灸治療を始めてから、風邪をひきにくくなったように思います。抗がん剤治療に負けない基本的な免疫力や体力がついてきている気がします。
 ただこれは身体が自然回復している面もあるので、明確に鍼灸治療の効果だとは言い切れません。
 でも、鍼灸治療を受けると実際に気持ちがよく、身体が楽になった感じがします。そうしたよい感覚があるということは、精神面だけではなく身体面にもよい影響を及ぼしているものと考えています。
 私の鍼灸の先生、佐藤鍼灸院(横浜市神奈川区上反町)の佐藤高一郎先生はこう言っていました。
「鍼灸治療には、がんそのものを治すことはできません。でもがんの治療に伴う副作用や後遺症などの苦痛を軽減することはできます」
 これは非常に現実的な代替療法の捉え方ではないかと思います。そして私の実感とも一致します。

☆代替療法は経済的に無理のない範囲で試す
 代替療法は、試してみて本人が効いていると思うのであれば、経済的に無理のない範囲で続けるのがいいと思います。「病は気から」ですし、プラセボ効果というのもあります。患者本人が効くと信じていれば効くという面もあるのではないでしょうか。

 でも、代替療法に「がんが消える」というような過度な期待は持たない方がよいように思います。西洋医学的な治療の補完や、副作用の軽減など、現実的な期待に基づいて、患者自身がよいと実感できるものは取り入れればよいと思います。
 そして異常に高額なものには気をつけるべきです。代替療法の中には費用が1回数万円もかかるものや、一連の治療費の合計が100万円を超えるようなものもあります。私もある東洋医学のクリニックを受診した際、1回の診察と点滴と漢方薬で合計10万円と言われて驚いたことがあります。
 もちろんそれでも患者自身が効果を実感できて、経済的に問題がないのであれば否定するものではないと思います。ちなみに現在私が受けている鍼灸治療は1回1時間で5~6千円程度です。

 繰り返しになりますが、手術、放射線治療、抗がん剤治療の三大治療で治癒が期待できるがんの場合は、まずはそれを優先すべきだと思います。代替療法に期待し過ぎて、治る病気を手遅れにしてしまうと、本当に取り返しがつきません。
 その上で、治療に伴う副作用や苦痛の軽減に、うまく代替療法を活用するのがよいのではないでしょうか。

(高山知朗『治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ』「第三章 がん闘病から学んだ患者学」に続く)
 
次回『会社と自分は別物。がんになってやっとわかった』は、9月28日公開予定です。

 

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