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2016.09.16

病院選びは命の長さを選ぶのと同じ

高山 知朗

病院選びは命の長さを選ぶのと同じ

30歳でIT企業を興して経営者となった高山知朗さん。ところが猛烈に働いていた40歳の時に脳腫瘍、さらに42歳の時に白血病と、2回の異なるがんを経験します。5年生存率はそれぞれ25%と40%、かけ合わせると10%という低い確率です。しかし高山さんは手術、放射線治療、抗がん剤治療の西洋医学のみで寛解し、45歳の今日まで生き延びているのです。
治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ』では高山さんが2度の闘病経験から学んだ、病を生き抜くヒントを丁寧に解説しています。今回は「病院を決める」の一部を試し読みとして公開します。どんな病院ならがんに克てる治療をしてくれるのか。高山さんが出した結論とは!?

*  *  *

≪病院を決める≫

☆病院選びの視点(脳腫瘍のような固形がんの場合)

 がんの治療において、病院選びは非常に重要です。私のケースのように、5年生存率が3倍も違ってくることがあります。

 病院選びで一つ参考になるのは、ネットや雑誌に掲載されている「病院ランキング」でしょう。患者数や症例数、手術件数などを、全国あるいは都道府県ごとに集計して順位付けしているものです。患者数が多いということは、それだけ治療のノウハウが蓄積されていると考えられます。手術件数が多いということは、それだけ外科医の腕が磨かれているはずです。
 でも、本当に重要な情報は、各病院での治療成績、つまり5年生存率ではないでしょうか。そしてその裏付けとなる治療方法や手術設備などの定性的な情報です。しかし、こうした情報はなかなか表には出てきません。
 例えば、脳腫瘍のような固形がんの場合は、転移がなければ外科手術が治療のメインとなります。すると、設備や経験によって、治療成績、つまり5年生存率が大きく異なることがあるのです。グリオーマであれば、術中MRIの有無とそれに基づく手術件数が非常に重要です。これらが生存率を左右すると言っても過言ではありません。

 でもこうした情報は、病院ランキングには出てきません。どうやって情報を見つければいいのでしょうか。
 信頼できる情報源の一つは、各病院のホームページです。術中MRIなど、先進的な設備や治療法を採用している病院は、そうした取り組みをホームページで紹介していることが多いようです。
 私が治療を受けた女子医大病院のホームページでは、術中MRIを使った情報誘導手術の概要をはじめ、グレードごとの症例数、生存率、腫瘍摘出率などの詳細なデータまで公開されています。まさに患者が本当に知りたいデータです。

 病院ごとにホームページでの情報開示のレベルはさまざまですが、治療内容に自信のある病院ほど、より多くの情報を公開しているように感じます。治療成績(生存率など)のデータまでは公開されていなくても、設備や治療法についての情報が見つかれば、病院を比較検討する際の参考になります。
 病院ランキングで目に留まった病院のホームページにアクセスして、こうした情報を探してみましょう
 

☆病院選びの視点(白血病のような血液がんの場合)

 一方、白血病や悪性リンパ腫といった血液がんは全身がんであり、化学療法(抗がん剤治療)がメインとなります。特定の部位だけにある腫瘍を外科手術で取り除くのではなく、全身に散らばった腫瘍細胞を、抗がん剤で全体的に叩いていくという考え方です。
 その場合、学会で標準とされている同じレジメン(抗がん剤の使用量やスケジュールなどの投与計画)を採用していれば、どこの病院で治療を受けても、基本的には治療成績には差が出ないはずです。

 しかし、私が入院後に気づいた「違い」がいくつかあります。
 一つは、抗がん剤治療の副作用への対応です。病院の経験値により、副作用への適切な対応ができるかどうかが変わってくる可能性があります。
 血液がんの抗がん剤治療では、倦怠感、吐き気、便秘、手足のしびれ(末梢神経障害)などの様々な副作用が出ます。その副作用にいかに適切に、タイムリーに対処できるかにおいて、病院の経験が問われます。そしてその対応の良し悪しが、患者の身体にも精神にも影響します。
 またこうした一時的な副作用だけであれば、入院中の患者のQOL(生活の質)の話に留まりますが、肺炎等の感染症の管理の巧拙は、患者の命に関わります。実際に、化学療法中に免疫力が下がったところで重篤な肺炎を起こして、命を落とす患者さんもいらっしゃいます。
 治療成績はなかなか外には出てきませんし、QOLはそもそも数値で表すことが困難です。それを考慮すると、やはりその病院が経験した患者数は、間接的ではありますが、治療内容や治療成績を判断する一つの基準になり得るものと思います。
 

☆病院選びは命の長さを選択するのと同じ

 もう一つ、血液がんの病院選びにおいて大切だと思われるのは、「その病院が世界の最新の治療に精通しているかどうか」です。
 治療方法や薬は日々進化しています。海外の血液学会誌には、新しい治療法による生存率の向上に関する論文が頻繁に投稿されています。

 そうした最新の治療を積極的に取り入れている病院であるかどうかは非常に大切です。
 ここで一つ参考になると思われるのが、前述のがん情報サイトです。特に「がんサポート」では、がんの種類別に、様々な病院のがん専門医が、最新の治療や薬について解説しています。その医師が所属する病院の治療方針や考え方を知ることにもつながるので、病院のホームページと合わせて読むと、病院選びの参考になると思います。

 なお、幸いなことに私が白血病・悪性リンパ腫の治療を受けた虎の門病院は、さい帯血移植の患者数が世界一にもかかわらず、それに安住せず、谷口先生も若手の先生も常に海外の最先端の治療に目を光らせ、新しい治療を取り入れています。
 もし虎の門病院が私が受けた治療とは別のレジメンを採用していた場合、私のその後は今とは大きく違ったものになっていたでしょう。医師が最新の治療に精通していること、そしてそれを前提に最も患者のためになる治療をともに考えて提供してくれることは、特に治療方針が明確に定められていないがんにおいては大切なことだと思います。

 病院選びは、命の長さを選択していることと同じと言っても過言ではありません。きちんと調べて納得のいく病院を選びましょう。病院を信頼できるか、医師を信頼できるかで、苦しい治療を乗り越えられるかどうか、そしてその後どれだけ生きられるかも大きく変わってきます。

(高山知朗『治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ』「第三章 がん闘病から学んだ患者学」に続く)

次回『主治医に「心付け」は渡すべきか?』は、9月20日公開予定です。

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関連書籍

『治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ』
 高山 知朗 著
 
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