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2016.09.03

誰も恨まず怒らず

小池 龍之介

誰も恨まず怒らず

 先日、新宿駅に着いて電車から降りようとすると、乗車しようとされる男性に出くわしました。私が停車直前まで車内で瞑想をしていたため、降車客が全てはけて乗車が始まろう、というタイミングに、一人だけ遅れて出てきていたのです。

 そこで鉢合わせになった男性の気分を害してしまったようで、彼が「早く降りとけよ、馬鹿!」と大声で怒鳴って乗ってくるのを横によけてから、降車したことでした。

 こうした場合、自分の過失に対して、相手が怒る強烈さの度合いが大きすぎて釣り合いが取れていないというふうに、理不尽さを感じたり後味の悪い苛立ちを感じることが、多いことでしょう。

 ところが、マインドフルに生きているのを日常化しているなら、こうした出来事は別に理不尽でも腹立たしいものでもなく、気にならずサラサラと流れ去っていくのです。

 これまで、感情は何らかの情報に接触すると、一定のシナリオに従って自動生成すると記してきましたね。目覚めている間ずっと、自らの内面をマインドフルに観察し続けていますと、あらゆる感情は、「私が」生み出している「私の」所有物ではなく、接触した情報入力への機械的出力にすぎないことが腑に落ちてきます。

 そのように、私の中を流れてゆく感情が私のものではなく、それゆえどうでもいいものと感じられていると、心はすこぶる醒めているのです。

 そんなとき、もちろん、他者も同じだと直観されます。つまり、他者の感情もまた接触情報への機械的な出力であって、機械的と申している意味は、その人の自由ではないということです。

 男性乗客が怒鳴ったとき、彼は怒ろうとか怒鳴ろうとかしたのでしょうか? いいえ、私の視点からすると、彼は怒ろうとか怒鳴ろうとはしていないのです。

 そうではなくて、彼の欲求や常識を遮るような間抜けな人物が現れたという情報が入力された途端に、怒り、怒鳴る衝動という出力が、勝手に生起したということですね。欲求に合わないことが起きると必ずや怒ってしまう、という業のパターンに沿って、起きるべきことが、起きるべくして機械的に起きているだけ、自然現象と同じなのです。

 もし仮に、彼が内面を観察するトレーニングを試み始めているとしたなら、きっとまずは驚いていたことでしょう。「あれ?! たかが人が遅れて出てきただけで、なぜこんなにも強烈な憎しみと怒りが湧いてくるのだろう?」と。観察していないので、本当はどうなっているのかを知らないまま、感情に支配されているだけなのです。

 そのようなわけで、ある人の感情についてその主体や責任を見出すことは、究極的にはできません。ですから仮に、激怒した人が私を刺殺しようとし、私が負傷したとしても、法律はその人を裁くでしょうけれども、私までもがその人を恨んだり裁こうとして苦しまねばならない理由は見当たりません。

 なぜなら、その人が「刺殺しよう」と主体的に自分で考えたわけではなく、そのような思考が機械的な出力として否応なく生じただけのものを、その人は「自分がそう考えた」と勘違いしてとらわれているだけだからです。

 そのように他者の内面を観察すると、誰を恨む必要も、怒る必要も消えてしまいますから、とっても平和なのですよ。

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