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独学VS教育ママ?!驚くほど共通した受験勉強法とは

2016.09.15 公開 ツイート

受験生を上手に褒めるちょっとしたコツとは 鬼頭政人/佐藤亮子

開成中学・高等学校から東京大学を卒業して弁護士になり、2013年に司法試験の予備試験や社会保険労務士など20種類以上の資格試験対策をオンラインで提供する「資格スクエア」を起業した鬼頭政人さん。
今回、『結局、ひとりで勉強する人が合格する』を書いた鬼頭さんが、ぜひ対談したいと望んだのが佐藤亮子さんです。佐藤さんは3男1女の母。上の男の子3人を灘中学・高等学校から東大医学部に進学させた“プロママ”です。
合格請負人のエキスパートの2人。2人が勧める合格のためのノウハウには驚くほどの共通点が。
今回は受験する人をどのようにサポートしたらいいかを語り合ってもらいました。
(構成と写真:今津朋子)

鬼頭 私が佐藤さんにお目にかかりたかったのは、どんなポリシーで子どもさんたちの受験をサポートしてきたのかを知りたかったからです。
資格取得をサポートする事業を始めて、できない人をできるようにするってとても難しいことだと感じたので。2人の子どもの父親として、どうしたらいい子育てができるのかという点からも伺いたいですね。

佐藤 そんなに難しく考えたことはないんですよ。実際問題として長男が小4で塾に行き始めたら宿題がたいへんでね。でも医学的に見ても睡眠時間を削るの身体に悪いし、寝ないで勉強しても効果はないと思いました。
「いつまで寝てるの」とお子さんを叱るママがよくいますが、そのために寝ることに罪悪感を持っている受験生は多いんです。せっかく寝て疲れが取れたのに、「いつまで寝てるの」と言われたらまた疲れちゃう(笑)。
そうじゃなくて、寝るときは寝て、起きている時間をいかに効率よく勉強して生かすかを考えたいと思ったのが、私の原点ですね。
そのために間違えた知識問題をリングノートに書きだして、食事している子どもに次々と見せたりして、起きてる時間を1分1秒もムダにしないようにしました。

間違えた知識問題をまとめたノートを見せる佐藤さん。

 

「必殺暗記ノート」と名付けたノート。「課目別にするとかえって覚えにくいので、間違えた順にアットランダムに書いていきます。カラフルにすると楽しいし覚えるきっかけにもなりますよ」(佐藤さん)

 

鬼頭 ここまでするんですね。すごいです!

佐藤 鬼頭さんの「資格スクエア」ではどんなサポートをしているのですか?

鬼頭 授業はネットで配信して受講するのですが、同時にいろいろとサポート体制を組んでいます。勉強の計画を組んで、それに沿って1週間やってきたかをチェックしてテストします。あと少人数のゼミも開いています。
授業はネットで配信していても、やはり実際に会うのも大事です。ネットだけだと人の温度が失われていく気がします。

佐藤 これからますますネットは発達すると思いますが、体温を感じる範囲で会うのはより一層大事になるでしょうね。
その少人数ゼミではどんなことをするのですか?

鬼頭 内容を理解している人ができていない人に説明したりします。わかっていない人に役立ちますし、また、自分ではできていると思っている人も、しゃべってみたらうろ覚えになっている部分がわかるんですよ。

佐藤 生半可に覚えていると説明できないんですよね。私も子どもの中学受験のとき、長男に三男を教えさせました。そしたらハッキリわかっているかがわかるんです。
「ママにも教えて」って言うこともありましたね。完璧に理解している問題なら私でもわかるように教えられます。私が理解できるように教えられたら、わかっていることの証拠です。

鬼頭 アウトプットの大事さですね。僕も授業を担当することがありますが、説明するには予習をしっかりしないともちません。10分とか20分の短い授業でも、「ここを質問されたらどうしよう」と思う部分があるとしゃべれませんよね。

佐藤 授業を受けて理解するのが最初のレベルだとしたら、テストを受けるのが少し高いレベル、模試がさらに高いレベルで本番の試験がさらに高い。でも、それを教えることができるってもっともっと高いレベルで理解していないといけないんですよね。


★小さなことを褒めると人は伸びる

鬼頭 おっしゃる通りですね。
あと、合格をサポートするにはがんばっていることに対しての承認も必要だと思います。

佐藤 どういうことでしょう?

鬼頭 承認には自己承認と他己承認があって、自己承認は「前より上回っている」「ゴールに向かって進んでいる」と自分で認めて自信に繋がるものですね。それとは別に他人から褒められるのも大事だと思います。
人から褒めれらることって意外にないものなんですよ。特に幼年期に他己承認が得られることが大事だと感じています。

佐藤 鬼頭さんは親ごさんから褒められて育ちましたか?

鬼頭 はい。褒められて育った記憶がありますね。

佐藤 子どもも大人も成功が見えないとやる気が出ないんですよ。褒めるコツは小さな成功を褒めることですね。大きな模試で成績がぽ~んと上がることってあまりないから褒めるチャンスはなかなかありません。
でも、たとえば漢字テストで10問中前回5問できてたけど、今度は7問できたら「すごいね」って褒めると子どもはやる気になりますよ。
私も子どもはよく褒めていましたね。でも、高校生になったらそうは褒めなかったかな?中3までは褒めてました(笑)。

鬼頭 お話を伺って佐藤さんはティチャー(教師)ではないけれど、優れたメンター(指導者・助言者)であると感じました。
受験サポートの仕事もそうですが、教育の目的って、知識やテクニックをいくら伝授しても自分で走れるようにならないと続かないんですね。僕らのサービスはスケジュール管理やテストやゼミでフォローしながら、自分でできるようになる仕組みを提供することです。
それは受験でも資格試験でも、子育てでも同じだと思います。
佐藤さんは、僕らと同じことを家庭という場でお子さんに自然な形でやってこられたので素晴らしいと思います。

佐藤 でも、家庭でなら子どもが間違えたらその場で「違うよ」ってすぐに対応できますが、資格試験の場合は大人になっているし、効率よくできなかったり、入り込みすぎて方向性を見失ったりして、やり方を間違えても軌道修正してくれる人が身近にいないじゃないですか。
そんなときに鬼頭さんのような人にチェックしてもらえるのはありがたいですね。
失敗が重なると人は「だめなんじゃないか」と思ってしまいますが、要はやり方なんですね。やり方を何か1つでも変えると、ぜんぜん違ってきます。やり方を知るために、このような本を読むのは大事ですね。子育て中のお母さんが読んでも目からウロコが落ちて参考になると思いました。

鬼頭 お話して、佐藤さんは戦略的でかつ徹底していると思いました。
私も2児の父なのですが、父親としても参考になることがたくさんありました。

佐藤 子どもが小さいときはね、絵本を読み聞かせて童謡を聴かせるといいですよ。童謡は日本語のきれいな言葉で歌詞を作ってあるので言葉を育てます。絵本も人間の良い部分が描かれているのでいい感情をはぐくむと思います。
親も読んでいて楽しいですしね。私は子どもたちに1万冊読み聞かせましたよ。

鬼頭 1万冊ですか! う~ん、やはり佐藤さんは徹底していますね(笑)

 

(おわり)

関連書籍

鬼頭政人『開成→東大文I→弁護士が教える超独学術 結局、ひとりで勉強する人が合格する』

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開成中学・高等学校から東京大学法学部を卒業して弁護士になり、2013年に司法試験の予備試験や社会保険労務士など20種類以上の資格試験対策をオンラインで提供する「資格スクエア」を起業した鬼頭政人さん。
今回、『結局、ひとりで勉強する人が合格する』を書いた鬼頭さんが、ぜひ対談したいと望んだのが佐藤亮子さんです。佐藤さんは3男1女の母。上の男の子3人を灘中学・高等学校から東大医学部に進学させた“プロママ”です。
合格請負人のエキスパートの2人が勧める合格のためのノウハウには驚くほどの共通点が。どのように勉強したら合格できるのか、その秘策を語り合ってもらいました。

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鬼頭政人

1981年生まれ。開成中学、開成高校を経て、現役で東京大学文科一類(法学部)に合格。卒業後は、慶應義塾大学法科大学院に進学し、在学中に司法試験に一発合格。司法修習を経て都内法律事務所に弁護士として勤務。ベンチャー企業を支援したいとの思いから投資ファンドに勤務した後、2013年12月、資格試験対策をオンラインで提供する「資格スクエア」を創業。

佐藤亮子

大分県生まれ。津田塾大学英文学科卒業。大分県の私立高等学校で英語教師として勤務後、結婚。長男、次男、三男、長女の4人の子を育てる。長男、次男、三男は灘中学校・高等学校を経て東京大学理科Ⅲ類(医学部)に進学。長女も洛南中学・高等学校を経て東京大学理科Ⅲ類に合格。全員が東大理Ⅲに進学したことから、その子育て法、勉強法が注目されている。
個性を大事に、子どもの気持ちに寄り添う愛情あふれる子育ての姿勢、また効率的でキメ細かな勉強サポート術に定評がある。進学塾「浜学園」でアドバイザーとして活動するほか、メディアでも発言している。
著書に『3男1女 全員東大卒医師に! 一点集中 ムダ取り勉強法』(幻冬舎)、『「灘→東大理」の3兄弟を育てた母の秀才の育て方』(KADOKAWA)、『受験は母親が9割』(朝日新聞出版)などがある。

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