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2016.09.08

第2回

脳の老化と認知症は別物

瀧 靖之

脳の老化と認知症は別物

日本人の平均寿命は世界一で84歳。だが、約半数の人が亡くなる前の10年も自立した生活が送れないのが現実。その大きな原因のひとつに脳の疾患である認知症があげられます。

*   *   *

加齢による物忘れは良性健忘症

 高齢化が進み、認知症患者の数は急速に増えています。現在、その予備軍も含めると約800万人あるいはそれ以上と言われています。

 認知症とは、記憶の働きや思考力、判断力をはじめとする認知機能が低下し、日常の生活に支障を来す症状のことです。

 もちろん加齢そのものがリスクになりますが、加えて、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など脳の血管に起こる病気や、異常なたんぱく質が脳内に蓄積するアルツハイマー病などによって引き起こされる病気です。

 年齢を重ねてくると、物や人の名前が咄嗟に出てこなくて「あれ、あれってどこにある?」「あの俳優さんの名前、何だっけ?」、部屋に入ってすぐ「えーっと、何を取りに来たんだっけ?」といった具合に、すぐ思い出すことができず、ヒヤッとする機会が増えていきますよね。

 これらは、良性健忘症といって、加齢によるごくごく自然な物忘れなので、心配する必要はありません。

 認知症の前兆としては次のような症状が挙げられます。

  ・同じことを何度も話したり、聞いたりする

 ・複雑な話を理解できなくなる

 ・服装や身なりに気を使わなくなる

 ・以前より少し怒りっぽくなり、疑い深くなる

 ・自分のいる場所がわからなくなる

  こうした症状が半年以上続くと認知症と診断されます。

 

脳の老化と認知症は別物

 加齢に伴い、人間の脳は少しずつ萎縮していきます。

 さらに年を重ねると、血液が通わなくなる虚血性の変化として脳にシミのようなものが見られます。

 このシミの量や萎縮の度合いで脳の加齢度を判断します。いずれにしても、加齢とともに認知力は落ちていきます。

 ですが、この加齢による脳の老化と認知症は同一のものではありません。

 認知症を患っている脳は、例えばアルツハイマー病では特に海馬の萎縮が進み、前頭葉、側頭葉と頭頂葉の間、側頭頭頂葉のブドウ糖の代謝が落ちている状態になっています。エネルギーを使う割合がかなり低下するのです。脳のネットワークも減ります。どのくらいのネットワークがあって、ちゃんと機能しているかどうかも、ある程度MRI画像で確認できます。

 認知症は徐々に進行していくものなので、どこで認知症だと判定するかは非常に難しいところがあります。

 エピソード記憶が落ちる前から、海馬の萎縮が始まることもあるので、その症状かどうかをMRI画像で判断し、認知症になりそうかどうかを予測することは少しずつ可能になってきました。

 

アミロイドベータたんぱくの蓄積が、認知症を引き起こす

 では、認知症はどのようにして引き起こされるのでしょうか。

 認知症は大きく「脳血管性」「レビー小体型」「アルツハイマー型」の3つのタイプに分かれます。

「脳血管性」は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など、脳の血管に起こる病気によって引き起こされる認知症です。

「レビー小体型」は、パーキンソン病を引き起こす物質でもあるレビー小体という異常なたんぱく質が、神経細胞にたまることによって起こります。

 そして今、最も多いのが「アルツハイマー型」。認知症の約半数を占めています。

 これはアミロイドベータたんぱくや、タウたんぱくという異常たんぱく質が脳に蓄積し、脳の神経細胞にダメージを与えることで起こる認知症です。

 アルツハイマー型認知症では、脳の中枢を担い、記憶をつかさどる海馬が最初に壊れ、次に判断力、認知機能をつかさどる前頭葉が壊れていきます。

 つまり、人間らしさをつかさどる領域が、アルツハイマー型認知症に対して最も弱いということなのです。

 アミロイドベータたんぱくとは、たんぱく質が切断される時にできるごみのようなものです。正常な脳であれば、酵素によって分解されるので本来脳にたまったりしないものです。タウたんぱくも本来は、神経細胞の骨格を作るものなので、通常はあっても特に問題になりません。

 ところが、脳にたまり始めるとアミロイドベータたんぱくの毒性や変化したタウたんぱくが神経細胞を壊し始めます。それによって記憶障害や認知機能障害が起きてしまうのです。

 実は、この認知症の原因物質、アミロイドベータたんぱくは、認知症の症状が明らかになる15年以上前から脳の中に凝集し始めていることがわかってきました。

 さらに、脳の形は認知症の症状が明らかになる5年くらい前から変化し始めることもわかっています。

 これらの変化をMRI画像で見ることで、将来的な発生を少しずつ予見できるようになってきました。
 

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