毎日を1%ずつ新しく生きる! 刺激と感動のマガジン&ストア

★がついた記事は無料会員限定

2016.09.05

第1回

認知症にならない脳のつくり方

瀧 靖之

認知症にならない脳のつくり方

2025年、65歳以上の5人に1人が認知症になる時代がやってくる。いまならまだ間に合う! 認知症にならない脳のつくり方。16万人の脳画像を見てきた脳医学者が、脳が生涯健康であるための習慣をお教えします。

*   *   *

平均寿命と健康寿命

 日本人の平均寿命をご存知でしょうか。男性の平均が80・5歳、女性が86・8歳。男女合わせた平均寿命は84歳で、世界一の長寿国となっています。

 ですが、長生きすることだけが、私たちの願いではありません。健康な状態で長生きすることが重要なのです。

 平均寿命は亡くなる年齢の平均であり、健康寿命は「人のサポートを得なくても、一人ひとりが自立した生活を送れる期間」です。

 健康寿命を見ると、男性は平均寿命からマイナス10歳、女性はマイナス13歳となります。その差がなんと10歳以上もあります。

 つまり、日本人の少なからぬ方々は、亡くなる10年くらい前から病気や寝たきりの状態になり、誰かのサポートが必要になってくる、一人で自立した生活ができなくなっているということになります。

 サポートが必要になる原因として脳の疾患が多いのも現実です。脳出血、脳梗塞、くも膜下出血などが挙げられます。

 特に今は認知症も増えており、一人ひとりが最後まで自立した生活を送るのを妨げる、最も大きな要因と指摘されています。

 こうした現状を踏まえ、平均寿命と健康寿命を何とかイコールに近づけるべく、生きている間は認知力が保たれ、自立した生活が送れる健康な脳でありたいという思いを込めて、私は「生涯健康脳」という言葉を使っています。

 

脳が機能するから人は人として生きられる

 では、健康な脳とはどういう状態を指すのでしょうか。

 脳の健康の要素は二つあります。機能と形状です。

  まず、機能ですが、脳は司令塔です。私たちが生きているのは、脳が働いて外的変化や体の変化にあわせていろいろ指示してくれるからです。

 人間には、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚という五感など、いろいろな情報をキャッチする感覚器官があり、そこから脳に情報が伝わるようになっています。おなかが空いた、頭が痛い、腕がだるいといった感覚も、まず脳に伝わり、脳がそれらに対して何をすべきか判断し、体に指示を出してくれているわけです。

 例えば、私たちは目があるからいろいろなものが見えていると思いがちですが、決してそうではありません。目はカメラで言えば、先端にあるレンズのようなもの。そこからさまざまな視覚情報が入ってきます。それらを脳が認識して、色も空間の配置もすべて脳の中で処理されてはじめて私たちは認知できるのです。

 視力がどんなに良くても、脳梗塞が起きると目が見えなくなります。いや、正確には見えているのですが、脳で認識できないので本人には認識できないという現象が起きてしまうわけです。

 脳梗塞になると、手や足にまで指示が行き渡らなくなり、手足が動かなくなります。これも、脳が司令塔として機能しなくなるのが原因です。

 

脳の体積が大きいと機能も高くなる

 脳は「話す、考える、判断する」など人間として最も高度な働きを担う前頭葉、記憶や言語理解に関わる側頭葉、空間認知や論理的な思考をつかさどる頭頂葉などに分かれています。

 それぞれの領域に、膨大な数の神経細胞が配置されています。加齢とともに、神経細胞は少しずつ減ってしまいますが、いくつになっても使えば使うだけネットワークは増えていきます。

 もちろんこのような変化は、若いほど大きいと言われていますが、脳を使えば使うほど、脳のネットワークは増え、あるいは効率化されていきます。それに伴い、脳のいろいろな部分の体積が大きくなるなどの変化が見られます。

 体積は認知機能と直結し、萎縮は機能の低下や認知症につながります。そして、その逆で体積が大きいと機能も高くなります。

 

 

認知症や脳の病気を未然に防ぐ予防医学

 自分の脳が今、どのような状態にあるのか。進化しようとしているのか、それとも萎縮して機能が衰えつつあるのか。

 今はそれがMRI画像(磁気共鳴画像)でわかります。

 私はこのMRI画像を使った脳の研究をしています。MRIとは、人体の内部情報を、磁気を使って三次元で撮影できる画期的な医療装置です。

 このMRI画像を使って子どもからお年寄りまで非常に多くの方々の脳の形を調査し、同時に生活習慣、認知力、遺伝子の情報をデータベース化しています。

 特に昨今のMRI画像の進化は著しく、脳の形だけでなく、脳の機能、血液の流れている量、さらには白質と呼ばれる脳のネットワークが集まっている場所では、このネットワークが、どちらの方向にどの程度揃っているかなどの情報まで見ることができます。

 例えば、運動している人としていない人の脳を比べ、運動をしている人は脳のどこが機能しているのか、どんな認知力が優れているのか、海馬の大きさはどうなっているのかなどを調べます。

 一方でデータ化させていただいた被験者の3年後、5年後も追っていきます。5年間で脳はどう変化するのか、どういう生活習慣を続けていくと、時間の経過とともに脳がどのように変化するのかをデータ化する研究も継続的に行っています。

 このように膨大なデータを集積し、統計学的な手法を使って疾病の原因や傾向を明らかにする方法を、疫学と言います。私たちはこの疫学を用いて「こんな体質の人が、こういう生活習慣を続けると、脳はこうなる」ということを明らかにしていく研究を行っています。

 体質においてもデータを遺伝子レベルで集積しているので、「こういう遺伝子を持った人は、こういう生活習慣にすれば、脳をこんな風に元気にできる」ということまで少しずつ明らかになり始めています。

 私たちの研究データが、認知症や脳の病気を未然に防ぐ予防医学に、大きな力を発揮できるようになってきています。
 

★がついた記事は無料会員限定

関連書籍

瀧靖之『脳はあきらめない! 生涯健康脳で生きる 48の習慣』
→電子書籍はこちら
→書籍の購入はこちら(Amazon)

記事へのコメント コメントする

コメントを書く

コメントの書き込みは、会員登録とログインをされてからご利用ください

おすすめの商品
  • ピクシブ文芸、はじまりました!
  • 文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作!
  • 無理しないけど、諦めない、自分の磨き方
  • 時短、シンプル、ナチュラルでハッピーになれる!
  • ビジネスパーソンのためのマーケティング・バイブル。
  • 有名料理ブロガー4名が同じテーマでお弁当を競作!
  • ドラマこそ、今を映すジャーナリズム!
  • 砂の塔 ~知りすぎた隣人[上]
  • 小林賢太郎作品一挙電子化!
  • あなたがたった一人のヒーローになるためには?
文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作!
ピクシブ文芸、はじまりました!
エキサイトeブックス
今だけ!プレゼント情報
かけこみ人生相談 お悩み募集中!