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2016.08.11

女性が自己中心的でどこが悪いですか?

香山 リカ

女性が自己中心的でどこが悪いですか?

 「ノンママ」とは、いろいろな事情で、子どもを持たない人生を選択した女性のこと。この夏、「ノンママ」をテーマにした書籍と連続ドラマが誕生しました。

 書籍は香山リカさん著『ノンママという生き方~子のない女はダメですか?~』(幻冬舎)で好評発売中。ドラマは『ノンママ白書』。主演は鈴木保奈美さん、東海テレビ・フジテレビ系で、8月13日(土)スタートです(毎週土曜 夜11時40分予定)。

 男女雇用機会均等法第一世代として、「せっかく女性も仕事ができるようになったのだから、まずは結婚や出産より仕事で輝こう」という時代のムードにも押され、結局、子どもを持たない人生を選んだ香山リカさん。そんな香山さんが、人生の分かれ道だったかもしれないと思い出す出来事があります。

* * *

●「孫が楽しみ」という言葉に気持ちが暗くなった日

 もう時効だと思うので書こう。30代前半で当時、遠距離恋愛で交際していた男性と「そろそろ結婚」という話が出て、相手の両親に会ったことがあった。堅実な家庭の誠実な両親だったが、何かのはずみでその父親がこうつぶやいたのを聞いて、私は「うれしい」より「おそろしい」と思ってしまったのだ。

「孫ができていっしょに写真を撮るのが楽しみですよ」

 その男性とは「子どもはいつ頃、何人くらい」などと話していたわけではなかったし、私もちょうど医師としての仕事が多忙をきわめている時期で、「出産などとてもとても」という感じだった。

 結婚の話が出ている30代半ばで「子どものことは眼中にない」という時点で、すでにかなりのノンママ度と言えるのだが、とにかく「孫が楽しみ」という言葉は私を暗い気持ちにした。いま思い出すと、「私はあなたの孫を産むために結婚するわけじゃない」「私の仕事の都合はいっさい考えないわけ? おたくの息子は子どもができてもそのまま仕事が続けられるけど、私はそうはいかないのに」など、とにかく私という人間が軽んじられた気がしてしまったのだ。

 結局、ほかの理由もあってその男性とは別れたのだが、いまいちばん鮮明に覚えているのは、本人より父親の、その「孫」という言葉だ。

 こう言うと、「自己中心的な人間がノンママになるのだ」と言われるのだろうか。子どもを持つのは人間としての大切な営みなのに、すぐに「私という人間の尊厳は?」「私の仕事はどうなるの?」と自分、自分でしかものを考えられない。それがノンママだ、と。

 でも、女性が、というより人間が自己中心的でどこが悪いのだろうか。

 なぜ、女性であれば必ず、「私の人格、仕事なんてどうなってもいいから子ども優先で」と、自己犠牲的な生き方をしなければならないのか。あるいは、子どもがいる女性が、「やっぱり子どもより自分が大切」などと思うのは、絶対に許されないのだろうか。さらに「いちばんが自分、次は夫(や彼氏)、子どもはその次」などと言おうものなら、「人間として失格だ」などとバッシングされてしまうしかないのだろうか。

*次ページに続く

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『ノンママという生き方~子のない女はダメですか?~』香山リカ

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