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2016.08.03

他人から攻撃されたら、「リンゴが木から落ちた」と考える

小池 龍之介

他人から攻撃されたら、「リンゴが木から落ちた」と考える

 ある日、地方への移動途中、食事をしようと、横浜の駅ビルのお店に入ろうとしましたら、私の目の前で店員とお客が押し問答を繰り広げていました。

「お客様は、何名様ですか?」
「大人が4人で、えーと、子どもが3人かな」
「いえ、全部で何名様になりますか?」

 このような質問を返す時点で、店員は苛々(いらいら)していたのでしょうけれども、それを受けて、一家のお父さんと思しき男性は怒り始めました。

「だからさあ、大人は4人って言っているだろう!」と怒鳴ります。それでもなおかつ、店員は強者で、引き下がりません。

「いえ、大人と子ども合わせて何名なのかを聞いていたのですが……、つまり、全部で7名様ですね」と、自説はあくまでも曲げずにまとめ、「それでは御案内します」と。やりとりは終了いたしました。

 他人事として観察すれば、こうしたかけ合いは滑稽なものですが、当事者というのは、何かを守るために、こんなことについても、一所懸命になってしまいがちなものですね。

 彼らは何を守りたかったのでしょう?

 そう、彼らは、自分の面子(めんつ)、あるいは、「私は間違わないんだ」という、例の、正解への煩悩を守りたかったのです。店員としては、自分は「全部で何名なのか」と聞きたいのであって、大人と子どもの人数を別々に答えられるのは気に入らない、という思いがある。4人と3人と言われても、自分で足し算すればいいとは思わず、最初から決めている通りに、相手に合計人数を答えさせないと気がすまないのです。

 一方、お客の側としては、4人と3人と答えたのに合計人数をもう一度言わされるのは―――もちろん「7人です」と答えるほうがすこぶる簡単なはずなのですが―――敗北感があって嫌なので、意地になって4人と3人と言おうとしてしまう。

 その結果、残念ながら、むしろ、それぞれが間違っているという印象を、互いにふりまいているのですが……。

 ここでのポイントは、店員が「さあ、意地悪をしてやろう」という意志を自分で選び取って、合計人数をしつこく聞いているわけではなく、お客もまた、店員を攻撃することを自分で選び取っているわけではない、ということです。

 思い通りにやり取りが進まないと気がすまないという業(ごう)を積んできた店員が、思い通りにいかない出来事に触れたことで苛々するというのは、手から放したリンゴが下に落ちるのと同じく必然的なことです。つまり、店員さんには選択肢はまったくなく、機械的に苛々しているだけです。

 そして理不尽な扱いを受けるのは許せないという業を積んできたお客が、店員に苛立ちをぶつけられたら怒るというのも、必然的かつ機械的な反応です。

 そこに人格的自由なるものは見出せず、ただ単に風が吹いて木が倒れたり、手から放したリンゴが落ちるのと、同じことです。

 リンゴが落ちて割れたり汚れたりしたとき、リンゴに対して「なぜ落ちるのか、許せん!」と怒るなら、その人は間抜けということになりましょう。

人的現象も、それと同じように観察してみることです。そうしたなら、理不尽なことをぶつけてくる人も、怒鳴ってくる人も、「自然現象と同じで、因果律に従って物事が起きているだけよなあ」と分かります。

 つまり、機械やロボットのようなもので、機械的な情報の入力と出力が起きているだけ。ロボットが誤作動して私たちにぶつかってケガをしたとしても、ロボットに対して怒る気にはならないでしょう? 

 入力と出力の必然を観察することにより、他人に「人格」という幻を見出す習癖をなくしてしまえば、自分までそれに反応して怒ったり苛ついたりすることもなく、他人の問題点は気にならなくなるのです。

 

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