毎日を1%ずつ新しく生きる! 刺激と感動のマガジン&ストア

★がついた記事は無料会員限定

2016.07.29

ミニアルバム発売記念・短期集中をもうちょっと続けるよエッセイ14

都会で、劇場版アニメ『ONE PIECE』を観る。これぞ、大人の嗜み。

歌う旅人・香川 裕光

都会で、劇場版アニメ『ONE PIECE』を観る。これぞ、大人の嗜み。

東京は大都会。ものすごく大勢の人がいますが、もちろん、ほとんどの方が地方から来ています。
しかし、大人たるもの、都会なんかに怖気づいていてはいけないのです。
そうして選んだ、「大人への第一歩」……。
おいお~い! と一瞬思ったけど、いやいや、とても素敵な大人……かも(笑)。

   *   *   *
エッセイ
大人

 ツアーで東京へ来ると、田舎者の僕は、あまりの人混みに面食らい部屋に引きこもりたくなる。
 渋谷駅へ行こうもんなら、
「一体なんのお祭りしとるんじゃろ!?」
 と人混みの中心部を突き止めたくなる。原宿の竹下通りに集まる人混みを見て、
「何かテレビのロケでもやっとん!? 芸能人見れるんかな!?」
 と急いで駆け寄ったものの、"ただ人がいただけだった"ということが2回くらいあった。
 まったくもって、東京というところは、田舎者には理解しがたいほどに人が多い。

 僕は基本的に、ライブしたり、人に会ったりするのは夜であることが多いために、いつも昼間に暇を持て余している。
 これだけ旅をしているくせに、引きこもり気質な僕にとって、東京は大都会すぎて、完全に怖じ気づいているのだ。
 かといって、朝から延々と部屋でギターを弾いているのも、せっかく東京まできてどうなんだろうと思う。とりあえず電車に乗って、池袋だの、上野だのと繰り出してみては、ただフラフラと歩きまわって、美味しそうなラーメンがあれば入って食べてみたり、無計画に過ごしてみる。
 そして最近では、『地元にはないような大きな映画館で映画を観る。』というのがマイブームである。

 まず、わざわざ東京まで出てきて、"地元でも観られる映画を観にいく"ということに、最大の贅沢感かつ休日感がある。そしてあまり場所を動かなくても、そこそこ長時間潰せるし、何より映画を観ている時間は東京にいることすら忘れてしまうことができる(それはどうなんだろう笑)。
 まさにこれを書いている現在は、最近公開がはじまった劇場版ワンピース『ONE PIECE FILM GOLD(ワンピース フィルム ゴールド)』を一人で観てきたところである。
 そして、オシャレなカフェに入り、コーヒーを啜りながらこのエッセイを執筆している。
 なんという都会人、そして文学人なのだろう。
 自分のオシャレさが怖い。
 隣でサンドウィッチを食べながらスマホをいじっているお姉さんも、きっと僕のことを一目置いているに違いない。お姉さん、僕はポケモンしてるわけじゃないんですよ。あまりの僕のオシャレな視線に居心地が悪くなったのか、お姉さんはさっさと何処かへ行ってしまった。
 何故だか涙が出そうである。

 今日は新宿の歌舞伎町にあるTOHOシネマズへ行ってきた。僕の地元にはないような、ドでかいスクリーンと、迫力満点の音響がついていて最近お気に入りの映画館だ。
 あらかじめ言っておくと、30歳にもなって僕が「ONE PIECE」というアニメ映画を一人で観にいくにはちゃんとした理由がある。
 僕は12歳の頃から週間少年ジャンプを購読し、毎週かかさずワンピースを楽しみに読んでいるのだ。
 ワンピースの連載がはじまる前、「ROMANCE DAWN(ロマンスドーン)」という読み切りが掲載されて、衝撃を受けたことを今も鮮明に覚えている(ご存知ない方のために説明すると、「ROMANCE DAWN」は、「ONE PIECE」の原点である読み切り版です)。
連載がはじまってからは、小学生ながらに
「ふむふむ。この画力、ストーリー性、そして伸びしろ。これはアニメ化までいけるな……」
 と確信していた(笑)。僕の予想通り、あれよあれよと、尾田栄一郎先生の『ONE PIECE』は、日本を代表する漫画のひとつとなった。そして現在もなお、絶賛連載中である。
 幼い頃から『ONE PIECE』を読み、『ONE PIECE』の夢を見て、主人公のルフィと共に僕は育ってきた。
 とはいえ僕も今は大人。ルフィは19歳くらいで時が止まっているかもしれないが、僕はすっかり30歳になってしまった。気付いてない人もいるかもしれないけれど、僕はちゃんと大人なので気付いている。"ルフィが実在してはいない"ということに――。
 しかし一方で、作者の尾田栄一郎先生は、実際にこの世に実在している人物である。
尾田先生に会ったことなんてもちろんないし、正直、道ですれ違っても分からないと思うけど、18年もの間、毎週毎週“やりとり”するような間柄なのである(あくまで、一方的だけど)。
 ある意味これは、下手な同級生より付き合いが長いと言える。
 映画化というのは、ある意味、尾田先生にとってのライブみたいなものなのかな、なんて考えてみる。
 尾田先生と18年間も付き合ってきた僕にとって、大人になったからなんてちんけな理由で、彼のライブに足を運ばないわけにはいかないのだ。いやむしろ、僕は、『ONE PIECE』ワンピースが好きとかどうとかいうのを超えて、尾田栄一郎先生との"付き合い"で映画を観に行っているといっても過言ではない。
「大人なのに」じゃなく、「大人だから」こそできる"付き合い"。いわば、大人な男の嗜みのひとつなのだ。
 つまり僕は、今日という休日を『ONE PIECE』を嗜んで、過ごしたわけだ。
 ワンピースを嗜む。なんだかよくわからないが、アダルトな響きだ。
 大人な事情があるので、映画の内容的な所は伏せさせて頂こう。ただ、今回もとてもワクワクするような内容だった。どちらかというとちゃんとセオリー通りな、エキサイティングな作りだった。

 尾田栄一郎先生に限らず、漫画家さんや、小説家の人達は、あの1ミリにも満たない薄い白い紙の上に、宇宙より広い世界を表現することができる。
 この世を創造した神様のような存在のように思える。真似できない。ほんと、素晴らしいな、といつも感心する。
 エンドロールを眺めながら、次々に流れていく名前の一人ひとりを目で追った。この作品を作り、世に送り出すために、これだけの人が関わっているのか……。

 全員に拍手を送りたくなる。
 そして、こう叫びたくなる。
「誰か一緒に『ONE PIECE』観に行ってくれーーーー!!」

 鑑賞特典だった特別単行本の777巻を大事にバッグにしまいこんで、映画の世界感に浸る。
 いつか尾田栄一郎先生も、“付き合い”で僕のライブを嗜んでくれないもんか。
 そして大人な付き合いで、一緒に“ワンピースを嗜んでくれる”後輩でも近くにいないもんか。絶賛募集中である。

  *   *   *
世界をつくることのできる神様みたいな人が、世の中にはいます。
その人の作ったものを通して、私たちは今までなかった「世界」に触れることができます。
いいものを観たり聴いたりすることができる環境は、とても幸せなことだなあと、しみじみ思った今回でした。
あとは、いい後輩が見つかることを祈るばかり! 

★がついた記事は無料会員限定

記事へのコメント コメントする

コメントを書く

コメントの書き込みは、会員登録とログインをされてからご利用ください

この記事を読んだ人にはこんな記事もおすすめです
  • 爆笑、号泣。こんな猫本ずるすぎる! !
  • このまま足踏みはしていられない――。
  • “イヤミスの女王”との呼び声高い真梨幸子の作品はこちら
  • ひたむきにあがき続ける女性を描いた、胸が締め付けられる短編集
  • 心に「ない」を抱える人々を痛いほど繊細に描いた代表作
  • 愛する父母との最後を過ごした“すばらしい日々”
  • 日本人よ、挑戦に身を投げろ!
  • 今まで明かしてこなかった「若さを保つ」ための整体の知恵を惜しげなく公開!
  •  終電族のみなさん、おつかれさまです!
  • 俺はまだ、神に愛されているだろうか?
爆笑、号泣。こんな猫本ずるすぎる! !
ピクシブ文芸、はじまりました!
エキサイトeブックス
今だけ!プレゼント情報
かけこみ人生相談 お悩み募集中!