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2016.08.15

「家飲み」にまつわるメモ

山田 マチ

「家飲み」にまつわるメモ

 閉店間際のデパ地下に立ち寄ることができたなら、家飲み決定。ぐるりとめぐり、割引具合をくまなくチェック。やけくそにたたき売りされているお惣菜を、ちょっとずつ買います。その日だけは、小鉢や小皿がたくさん並んで、豪華です。

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 旅先でかわいいワンカップを見つけると、つい買ってしまいます。しかし、ひとりワンカップをあおるような飲酒上級者ではないので、たまる一方。たまに空いたカップは、えんぴつ立てなどに使います。「かわいい」と「やさぐれ」の絶妙なバランスです。

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 ひとりで飲んだあとの片付けは、酔っぱらっているうちにノリでやってしまいましょう。お酒の缶やグラスだけでも夜のうちに洗っておかないと、翌朝、シンクまわりがどんよりした空気に覆われます。

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 お酒はあるのに食べるものが何もない、というひもじい状況を避けるため、冷蔵庫には常に魚肉ソーセージが横たわっています。賞味期限が長く、おいしい、ヘルシー。そのままでもいいですし、ちょっと焼いて七味マヨネーズでもつければ、立派なおつまみになります。ひもじさが、多少うすらぎます。
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 お酒を飲むと血行がよくなるせいでしょうか、靴下を脱いで、足の指を思いっきり開きたいという衝動にかられます。外ではがまんしますが、家でなら、やりたい放題。次の日の朝いちばんにやることは、床に転がっている靴下を拾う、です。

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 お酒を飲んだら耳かきをしたくなるのも、血行のせいでしょうか。瞬時にその欲求が満たせるよう、耳かきは手の届くところに置いてあります。デパートの「職人の手技」みたいなコーナーで買った、ちょっといいやつです。かゆいところがすぐかけるって、幸せです。

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 最近ハマっているお菓子は「ラーメンおつまみ」。ちょっと辛めのベビースターラーメンとピーナッツがミックスされたお菓子です。ベビースターに対しての、絶対的なピーナッツ量。大好きなのですが、キャラクターが、ものすごくむかつきます。顔がパンダ、体がアザラシ、腕と唇は人間で、だらしなく寝っころがってビールを飲んでいます。かすかに腹を立てながら、欲望に負け、買い物カゴに入れます。

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「きのこの山」と「たけのこの里」。どちらがおいしいかという論争は、永遠に結論がでそうにありません。しかし、「大人のきのこの山」と「大人のたけのこの里」では、お酒に合うのは、きのこのほうだと思います。「大人のきのこの山」は「大人のたけのこの里」より、なんだか大人っぽい気がします。

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 時間帯はバラバラなのに、なぜだかスーパーで頻繁に見かける同年代らしき女性がいます。華奢で、細い銀縁の眼鏡、膝丈のスカートに、くるぶしまでの綿の靴下。清くつましく、ひとりで暮らしている様子。彼女の買い物カゴには、毎回必ず、大量の小魚アーモンドが入っています。部屋でひとり、小魚とアーモンドを交互に、ぽりぽりと食べているのでしょうか。友達になりたいです。

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 以前は、お皿もグラスも2つセットで買っていましたが、その1つずつが無駄なことに気づきました。最近では、お気に入りを見つけたら、ひとつだけ買います。収納場所をとらず、いろんなものが使えますし、友達が飲みにきてもグラスを取り違えることがありません。

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 家でひとりで飲んでいるうちに、小腹がすいてしまいました。冷凍庫をまさぐると、カレーなのかシチューなのかスープなのかわからない不思議な茶色いタッパーが出てきました。えい、ままよ、と解凍してみたら、大根の煮物でした。過去の私、グッジョブ。

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 大根の煮物を食べはじめてもなお、小腹がすいています。空腹なのではなく、満腹中枢が破壊されているだけとわかっています。しかし欲求にあらがえません。再び冷凍庫をまさぐると、いつかにぎったにぎりめしが、ころりんこと出てきました。お米を食べて、ようやく落ち着きました。にぎった私、グッジョブ。

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 お酒を飲むと気が大きくなる、という自分の習性を利用して、タンスの片付けをはじめてみたりします。どんどんモノが捨てられます。

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 Mサイズ1枚を届けてもらうのも申し訳ないと思いつつ、年に一度くらい、ピザをとります。イタリアンのはずなのに、気分はアメリカン。ビールを飲み、ただただ、だらしない夜をすごします。あとは、ソファとポップコーンとアイスクリームとケーブルテレビがあれば完璧です。

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 ときどき、学生時代からの後輩の家にお酒を持っておしかけ、家飲みをします。先輩風をふかせて、おつまみは全部つくってもらいます。リクエストするのは、卵焼き、煮物、お浸しなど。目の前の台所で誰かにつくってもらう、普通のもののありがたさ。持つべきものは、料理上手な、ひとり暮しの後輩です。

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 その後輩と家で飲むときには、ジブリアニメをかけっぱなしにします。内容は全部知っているので、ちゃんと見る必要がないからです。癒されたいときは「トトロ」、落ちこみぎみのときは「魔女の宅急便」、元気なときは「ハウルの動く城」といった具合。
 再生回数がいちばん多いのは「千と千尋の神隠し」。何度も見てるのに、ふとしたシーンで「こんなものが描いてある!」という発見があり、永遠に新鮮です。

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 スーパーで大量のお惣菜を前にしても、食べたいものが何もなくて、呆然としてしまうことがあります。かといって、自分でつくる気力も、外食をする元気もありません。同じように、うつろな目で惣菜コーナーをうろうろしている人がいると、わかる、わかるよ、と肩をたたきたくなります。

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 深夜にほろ酔いでテレビを見ながら、「わっはっはっ」と笑っている自分にびっくりすることがあります。帰ってきたときは、あんなにぐったりしていたのに。陽気な気持ちになり、部屋とテレビとつまみと酒に、「ありがとー!」と叫びます。

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 家にひとりでいて、「さみしい」と思ったことはありません。山奥や無人島ならまだしも、ここは町のなか。コンビニも居酒屋も朝までやっています。こんなので「孤独」なんて言ってたら、「孤独」に失礼な気がします。

チューリップ柄のワンカップを再利用。重さがあって垂直で透明。ペン立てにぴったりです。

 

 

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