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2016.07.25

死んだら宇宙に行くという選択肢もある

ネイチャー&サイエンス

死んだら宇宙に行くという選択肢もある

 お墓といえば静謐で、殺風景で、ちょっと怖い場所、そんなイメージがあるかもしれません。しかし世界に目を向けてみると、民族ごとに弔いの仕方が大きく異なり、お墓の風景は驚くほどさまざまです。『世界のお墓』(構成・文/ネイチャー&サイエンス)では世界中から厳選した52か所のお墓を美しい写真で紹介し、その文化的・宗教的背景をたっぷりと解説しています。
 今回はその中から「アメリカのケープ・カナベラル空軍基地」を試し読みとして公開します。場所としてのお墓を持たず、散骨を選ぶ人も増えてきています。そんな中、宇宙に骨を撒いてもらうというなんとも現代的な散骨もあるのです。


死して宇宙へ旅する

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Alan Ault/NASA



 2012年5月。アメリカのケープ・カナベラル空軍基地から、ファルコン9ロケットが打ち上げられた。ロケットには「ドラゴン」という名の無人宇宙補給機を大気圏の外に送る任務があった。ドラゴンの役割は地上から400km上空を飛ぶ国際宇宙ステーションに、食料や衣類、実験用の機材などを運ぶことだ。そしてこのロケットには、ドラゴンだけでなく、18ヶ国320人の遺灰も積まれていた。

 アメリカ合衆国は50の州と連邦区からなる連邦共和国で、北アメリカ大陸の広大な土地を有し、海外領土も含めた総面積は世界第3位ともいわれている。それだけ広大な土地をもちながら、近年は諸外国と同じように、墓地用の土地不足が大きな問題となっている。キリスト教徒が約8割を占めるアメリカでは土葬が一般的で、火葬した後に骨壺を納める墓地に比べると、より広い土地が必要なのだ。しかし、国民の宗教離れが進んで葬儀の儀礼にこだわらなくなったことや、衛生上の問題などから、現在は火葬率が上昇している。

 そうした背景から、土葬や火葬以外にも、船上から海への散骨、飛行機による散骨など、現在アメリカではさまざまな葬送法が行われている。その中でもとくに、大胆で自由な発想をするアメリカ人らしい方法がある。それが宇宙葬だ。

 テキサス州ヒューストンに拠点を置くセレスティス社は、多くの宇宙葬を手がける民間の宇宙輸送サービス会社だ。故人の遺灰を一人につき数グラムずつ、特殊なカプセルに納めて宇宙空間に打ち上げる。宇宙葬は、海や空に遺灰をまくのと同じ「散骨」の一形態だ。
 遺灰を積んだファルコン9ロケットは、数ヶ月間地球を周回する軌道上を飛んだ後、大気圏に落下して燃え尽きた。宇宙飛行中は、煌めく都市の灯りや、緑色の光を放つオーロラを間近に見られたことだろう。宇宙を旅してみたいという多くの人々の夢が叶った瞬間だ。

◎初の宇宙葬は1997年に行われた。24人分の遺灰を格納したロケットが打ち上げられ、地球の周回軌道に乗った後、2002年にオーストラリアに落下した。
◎宇宙葬はロケットでの打ち上げ以外にも、遺灰を人工衛星に搭載、月面へ運ぶ、外宇宙へ向かうなどのプランがある。人工衛星の場合はGPSで位置を追跡できる。
  

 

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