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2016.07.23

3つのルールをまず3日。おなかを強くする食生活。

江田 証

3つのルールをまず3日。おなかを強くする食生活。

「おなかが弱いのは体質だから…」「こんなことでわざわざ病院に行くのは恥ずかしい」など、おなかの不調に慣れてしまい放置している、"おなかの弱い”あなた。
胃がん・大腸がんなど大きい病気を見過ごしてしまうかもしれないというリスクもそうですが、胃腸にトラブルがある・ないでは日々の生活の質も雲泥の差。きちんと治療をすることが大事です。
 胃がん発生に重要な働きをしている特定の遺伝子がピロリ菌感染胃粘膜に発現していることを世界で初めて発表し、毎日全国からの患者さんを診察している消化器内科医、江田証さんによる著書『専門医が教える おなかの弱い人の胃腸トラブル』より、おなかの不調の原因とその治療法を紹介します。


<おなかを強くするために、3つのルールをまず3日つづけて> 

 
胃もたれ・急な下痢・さしこむ腹痛・胸焼け・吐き気…。
様々な胃腸の悩みを持つ患者さんたちが江田さんの診察室へやってきました。
そこで江田さんが提案するのはベースになる食生活の改善
たった3つのルールを守るだけの、江田式胃腸快調生活の始め方をご紹介します。
 

(江田先生)
みなさんの不調の原因と治療法がわかったところで、全員にやってもらいたいことがあります。
食生活の改善です。おなかの不調は、やはり食事のとり方や内容に影響を受けて起こります。薬で治療して、一時的に不調が改善されても、生活のベースとなる食事のとり方や内容がまちがっていたら、元も子もありません。
 

(胸焼けEさん・55歳)
とはいえ、急に「改善」なんてできるかしら。自信がないわ。いままでダイエットだって成功したことがないし……。
 

(江田先生)
でも、せっかく薬で胃腸の状態がよくなったのに、もとに戻りたいと思いますか?
 

(吐き気Cさん・48歳)
それは嫌ですね。もうあの喉の痛みやムカつきは味わいたくありませんよ。
根本的に治していきたい。
 

(江田先生)
それならだいじょうぶ。大事なのは、治したい、やってみようという気持ちです。私が、食事に関する「3つのルール」を提案します。まず3日間つづけてみてください。
 

(胃もたれAさん・23歳)
3つを3日間でいいんですか?
 

(江田先生)
そう。3つのルールとは「朝食をとる」「いろいろなものを食べる」「消化にいいものをとる」です。簡単でしょう。
 

(胸焼けEさん・55歳)あら、ダイエットより簡単そう。そのくらいだったら、私にもできますね。


 (江田先生)まず、朝食をとるだけで、胃腸のリズムが整います。おなかが弱い人が朝食を1週間抜くと、胃の動きがわるくなります。その後、朝食を再開しても、なかなかもとに戻りません。それほど朝食をとることは、胃腸の働きにとって重要なのです。
 次に、同じものをくり返し食べるのではなく、さまざまなものを食べていると、腸内環境が改善されます。
 そして消化にいいものをとると、胃腸に余計な負担がかかりません。おなかの弱い人は、ちょっとした負担で不調を起こします。日頃、できるだけ負担を軽くしておくのです。
この3つをまず3日つづけます。それができたらもう3日間挑戦。ほら、ここまでで合計6日です。1週間なんてあっという間だと思いますよ。
 習慣化には「3の法則」というものがあるのをご存知ですか?
 

(さしこむ腹痛Cさん・48歳) 3の法則? 

 

(江田先生) まず3日、できたら3週間、最後は3か月。3か月たつと、無意識にできるようになります。「食生活を改善しよう」と意気込んでいたことなどすっかり忘れているはず。3つのルールはみなさんの中に定着し「新しい食習慣」になっているのです。
 

 (急な下痢Bさん27歳)ボク、もうすでにできたような気持ちになってきましたよ。


 その気持ちこそ大事ですよ。今日から早速始めましょう。



<おなかを強くする! 食生活改善の3つのルール>
 

ルール① 朝食をとる
朝食を抜かないで、朝昼晩、3食きちんと食事をしましょう。深夜の夜食はNGです。遅くとも夜9時までに夕食をすませます。
1週間朝食を抜くと、空腹時の胃の運動が弱まってしまうことがわかりました。
その後朝食を食べ始めてもその後1週間の時点でも、胃の運動の強さと食欲はもとのレベルには戻らないというデータがあります。胃に症状がない人はまだしも、胃腸のトラブルをかかえた人は朝食をとったほうが胃の運動力が高まります。

 

ルール② いろいろなものを食べる
腸内環境をよくしましょう。そのためには同じものばかりをくり返し食べない。多種多様なものを食べると、腸内細菌の種類が増えます。同じものばかりを食べていると、単一の腸内細菌ばかりが増える「ディスバイオーシス」という状態になります。腸内細菌の種類が豊富だと、腸の粘膜の細胞と細胞が手を握り合って細菌や未消化の栄養分が腸の粘膜の中に入り込んでくるのを「とうせんぼ」して防いでいます(タイトジャンクションという)。腸内細菌の種類が減り、ディスバイオーシスになると、この握り合う力が弱まり、免疫力が落ちてしまうのです。

 

ルール③ 消化にいいものをとる
同じエネルギー量の食べものをとるなら、胃腸に負担がかかりにくい、より消化しやすいものをとりましょう。

 


<気になる症状別 ワンポイントアドバイス>

 

「機能性ディスペプシア」の人は……
朝食を抜かず、消化しやすいものを中心に。不規則な時間に食事しない。
好きな音楽を聴きながら、ゆっくり食べる。外食なら回転率の高くないお店で。
早食いは禁物。

「過敏性腸症候群」の人は……
高FODMAP食(連載第1回目参照)、食物繊維、乳製品、発酵食品は避ける。
食事時間、寝起きなど生活の「規則性」が重要なことがわかっている。
 

「逆流性食道炎」の人は……
脂肪、熱いものは控えて、つねに腹八分目を心がける。炭水化物制限も有効。酸度の高いオレンジジュースは控える。
バレット食道の予防にはカブを食べるとよいことが判明。
 

「胃の老化」が気になる人は……
とくに塩分のとりすぎは胃がんの原因になるのでNG。
 

「腸の老化」が気になる人は……
小腸に負担をかけないように少しカロリー制限をする。歳をとってくると、小腸の吸収力が落ちる。すると、若いときには大腸まで達しなかった栄養分が大腸にまで到達するようになります。結果的に、大腸の中が「富栄養化」することで、腸内細菌の劣化が起こります。発がん性のある2次胆汁酸がクロストリジウム・アリアケ菌などの腸内細菌によって大腸内で合成されるようになると、これが肝臓に運ばれて肝臓がんの原因にもなります。これがメタボからくる肝臓がんです。
 歳をとったら、若いときと同じ食事をしていてはだめで、少しカロリー制限をした「シニア食」が必要です。

 

 次回「がんを予防する、胃のお助け食べもの7つ。」は7月26日(火)公開予定です。

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