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2016.05.16

セックス中に「首を絞めて」という女性が増えている

二村 ヒトシ/湯山 玲子

セックス中に「首を絞めて」という女性が増えている

夫婦間のセックスレスは当たり前、恋人のいる若者は減少し、童貞率は上昇中——。そんな日本人のセックス離れの背景を真摯に大胆に語り合ったのが5月12日発売されたばかりの『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』です。一部抜粋し、急変する「日本人の性意識」を考えます

 

女性が男性の暴力性を引き出しているのかもしれない

二村 これはよく言われる話ですけど、昔はポルノは有料だったから、アクセスするまでに手間も時間もかかった。すなわち、わざわざお金を払うということは、見たい人が見てくれていた。

湯山 障壁があったよね。

二村 今はほぼ無料で手に入ってしまうかわりに、見たくもないものも見えてしまう。グロテスクなものや相手の人格を無視するようなものが、ネット上に無料で無数にある。自分だけのどうしようもない、他人から見たら醜い衝動を大事にしまっておくという感覚がなくなり、共有されている。共有されたことで「自分だけじゃなかった」と救われた人もいるんだけど、それを目にしたときに「ああ、自分もこういう欲望を持っているかもしれない、気持ち悪い」と思ってしまう男性もいるのかな。

湯山 男嫌い、ミサンドリーですね。普通の男の子が暴力的なAVを見ちゃったときに「イヤ」と思いながら自分のチンコがちょっと勃っちゃったりして、理性とは別に反応してしまう体に嫌悪が生まれる。「こんな映像に対して勃つ俺の気持ち悪さ。だったらなくしてしまえ、俺から〝男〟を」となっちゃってるのかも。

二村 湯山さんは「ゲームとしてのSMすら、もうないな」とおっしゃいましたが、僕は、その暴力性が、女性が合意の上での、フィクションとしての暴力性だったらまだ大丈夫だと思うんです。たとえば女性からセックスの最中に「顔を踏んで」と言われる。そういうAV女優さんがいました。「私を悔しがらせて」と言った女優さんもいました。そのときは、お約束ですが「さっきはお高くとまっていたのに、こんなに感じまくりやがって」と僕が言ったら「悔しい……」と絶頂していました。

湯山 わはははは。紋切り型だけど、効くときには効くね!(笑)。

二村 エロかったです。ただし、これが問題だなと思ったのは、こっちは演技でやってたつもりが、だんだん彼女への軽蔑が芽生えてくるわけです。自分の中にある暴力性が動き出してしまう。他の女性に対しても同じことをやりたくなってしまうかもしれない。それは「ヤバい」と思いました。

湯山 その自己分析は凄いよ。

二村 まだ僕は仕事でするセックスだから、撮影が終わると女優さんはケロッとして、帰っていく。でもこれが実際の恋愛で、ずぶずぶの関係だったらどうだろう。セックス中に、安易に「首を絞めて」とねだる女性が増えていると聞きます。そうしないと感じないと言う。それに恐怖を感じる男性、あるいは自分にとってのセックスの常識を曲げて自分を崩すことに嫌悪を感じて勃たなくなる男性も多いと思う。

湯山 そうか、女性のほうがさらなる暴力性を男性に対して欲求している可能性はあるな。ミサンドリーの時代の男は、男に絶望し、セックスに絶望する。「草食化」とは、単にセックスしないという意味ではなく、男による男からの逃走でもある。

二村 変態性って、昔は、もうちょっと「おおらか」なものだったような気もするんです。さっき「性を承認のツールにするのは、まずい」という話をしたけど、たとえば太っていることに劣等感を持っていた女性が、太ってる女性しか働けない風俗店に勤めて、世の中には「太ってる女性でないと勃起しない男性」がたくさんいることを知って自己受容感を持てて、そういう男性と結婚して幸せになった、みたいな話もあります。これだって「承認」です。

別に風俗店でなくてもいいんだけど、要するに「変態性とは、多様性の容認だ」ってことです。でも、今の世の中で言われる変態性って、そういうテイストじゃなくなっている。女性をモノ化する傾向が強くなっている。他人の粘膜とか体液とか匂いって、確かに汚いものだけど、でも、特定の好ましい他者である〝誰か〟の粘膜や体液や匂いだからこそ「味わってみたい」という欲望も出てくるんじゃないかな。それはとても人間らしい行為だと思う。

脳化するとセックスができなくなる

湯山 50代半ばになる私がセックスを取り戻すにはどうすればいいか。何度も繰り返して恐縮ですが(笑)、長年慣れ親しんできた下から突き上げてくるホルモンがない。これは男とは根本的に違うと思うんだわ。男はずっと勃起できるようなホルモンがあるから。女は本当になくなるよ。

二村 いや、ホルモンは、男性だって年を取るとなくなりますよ。でもプライドの高さや承認欲求でセックスしないではいられない年配の男の多くは、自分の勃起を「自分そのもの」と捉えているから、バイアグラを使ってでも無理やり勃てる。湯山さんは、どうしても挿入がなきゃいけないんですか。なくてもいいんじゃないですか。

湯山 そうね、なくていいって話になりますよね。

二村 オナニーもしなくなった?

湯山 頻度は昔より全然少ないですね。文化の力というか、エロ本を見たときに昔が蘇よみがえってきてやるけど、やっぱりイクまでの時間が昔とは全然違う。長くなってる。

二村 体が温まらなくなってるんですね。

湯山 なおかつ、途中で寝ちゃったりとかさ(笑)。酒の量といっしょで、最近はおとなしいもんですよ。回春したほうがいいですかね。

二村 もうセックスはいいんじゃなかったんですか(笑)。本当は回春したくないんですか、どっちなんですか。

湯山 マジで、動機が見つからない受験勉強みたいっすよ。

二村 (笑)

湯山 動機がなかったとしても、受験勉強に勝たなきゃいけないと思うのは、老いへの恐怖。昔のようにセックスをしたいと思ってるんだろうな。良かったときのセックスをしっかり思い出として記憶しているから。

二村 思い出しオナニーだと怖いんですか。

湯山 いや、それすらすでに思い出さなくなっている。脳のほうもヤバい(笑)。だけど、あの充実感は凄く覚えているわけよ。それを「もう一度」と思ってるんだ。

二村 今の湯山さんへの処方箋にはならないんだけど、長い時間軸で見ると、大人の女性が若い男を教育することはできると思う。もちろん全員を引っぱり上げるのは無理だけど、一部のできそうな男の子に「愛を教える」っていうと美しすぎますけど、データではない「肌の触れ合い」みたいなことを一からちゃんと教えることはできるんじゃないかな。

湯山 なるほど。

二村 若手のAV男優を見ていると、撮影現場の数が増えているから彼らは何百人の女優と、売れてる人だと1000人以上の女優との本番を数年で経験しちゃうんだけど、上の年代の男優と違って、セックスがあっさりしている。今の撮影現場は、女優がイカない人だと、イッたふりをしてもらって、男優が射精してそれで終わりというのが多いからです。昔は、どうしてもイカない女優を、丸一日とか二日とかかけて、同じ男優がじっくり挑むみたいな撮影がそれなりにあった。今は、そういう撮影をする予算もないし、需要もない。そうすると若い男優は発射回数はこなせるんですが、チンコの硬さではベテランに劣ったりする。肉体の問題じゃなく、脳の中に「エロさ」のイメージが少ないからだと思う。でも、本当にスケベな男性、女性の欲望に応えることを人生の目的にするような男性が完全に滅びてしまうとは、やっぱり思えない。

湯山 ホントかな? 恐竜のように絶滅しちゃうのでは。

二村 滅びかけているのかもしれませんけどね。だからこそ、大人の女性が、若い男の子たちを見下したり劣等感を抱いたりするんじゃなくて、〝対等な人間〟になることで彼らを性的に教育していってほしい。ただ、かっこいい若者は、恋愛中毒の若い女の子と「つまらないセックス」をしていて、彼らなりに絶望しているようなんですよ。そういうんじゃない、まだあか抜けていない純情な男の子の中に教育しがいのある優良物件がいると思うんだけど。

湯山 若い男の子は大好きだけども、私の今の人間関係には、恋愛が入る隙がないということだね。男性と食事をしても、もう会話でオーケー。今みたいに二村さんとの脳的なコミュニケーションで満足してしまう。その昔は「ああ、このヒト、腕のラインが素敵だわ」とか、言葉以外にもっと情報を吸い取れていたんだけど、今はもの凄く言語化しちゃってる。

二村 脳化している人が増えてきましたよね。湯山さんが特にしてるのかもしれないけど。

湯山 私は、特にしてる。

二村 言葉ばかり捉えていると、それ以外の、たとえば肌の情報などは入ってこない。でもその一方で、やっぱり肌の触れ合いを求めているわけでしょ。

湯山 そういう実体を目にしても、ドキドキやときめきすらない。最近、昔よりもデートが面白くないのよ。脳化しちゃってるから、40歳ぐらいのノってる男は仕事の話しかしないし。

二村 言語化できる情報じゃなくて「肉体がある」ということがわかればいいわけですね……。好ましい相手が「俺(私)の肉体で喜んでくれている」という感覚は、いいものですよ。

湯山 まあ、本当にもうちょっと痩せないとイカンのだけど、海外では70キロ以上の女性でもセクシーな人、いますからねえ。この私においても、日本の「人並み規範」に犯されているのかも。

二村 だから、恋愛やセックスから遠くなっている男女にも、自分の肉体についての気づきを得てもらえればいいわけですよね。

湯山 そうね。「自分がセクシーな存在である」「パートナーに対して自分がセクシーな気持ちになる」という感覚が取り戻せればいい。しかし、日本にその文化風土はないし。

二村 むしろ僕はセクシーな気持ちがありすぎて困っている。要するに四六時中スケベなことばかり考えているんだけど。普通の男性は、そこまでセックスが好きじゃないのかもしれない。

湯山 私も相当スケベだと思っていて、ゲッターズ飯田さんに占ってもらってもそう言われたんですが、それはホルモンのせいにすぎなかった(笑)。お粗末。

二村 男は、自分の肉体が「女から見て性的なものである」と、もっと自覚したほうがいい。 

***
DOMMUNEにて発売記念番組が放送されます!
2016/05/18 (水)
19:00~21:00 幻冬舎 Presents 実写版「日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない」
出演:湯山 玲子、二村ヒトシ ゲスト:カンパニー松尾

ご視聴お見逃しくなく。またスタジオ観覧ご希望の方は、こちらよりご予約ください。
 

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