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2016.04.08

『神様のコドモ』試し読み 第6回

「神様の子」が、まさか
『リアル鬼ごっこ』を真似する――!?

山田 悠介

「神様の子」が、まさか<br />『リアル鬼ごっこ』を真似する――!?
山田悠介『神様のコドモ

ある日、神様の子のもとへ、大量の“魂”がやってきて、こう言います。
「たくさんの女性を傷つけ、たくさんの命を奪った男を、毎日毎日追いかけ回して、恐怖のどん底へ突き落してやりたい」
毎日毎日追いかけ回して、恐怖のどん底へ――??
そういえば、山田悠介さんの大ベストセラー『リアル鬼ごっこ』は、王様が「日本中の佐藤さんを捕まえろ」という物語でしたが……。
今回紹介する「鬼ごっこ」は、山田悠介ファンの心をくすぐるボーナストラックです!!

*  *  *

鬼ごっこ

 はい僕です神様の子です。

 久しぶりの訪問者である。

 至極退屈な僕の乾いていた心が生き返った。

 やってきたのはフワリフワリと宙を浮く魂である。

 青でも赤でもない。黒い魂。

 その数ざっと二十柱。

 彼らは青い魂や赤い魂とは違い、人間として生まれる可能性をなくした魂である。

 つまり、命が宿ったものの人間の手によって命を絶たれた者たちだ。

 彼らも最初は青や赤だった。が、人間の身勝手な理由、或いは不慮の事故や事件によって黒い魂となってしまった。

 僕は期待に胸を膨らませている。

 退屈な僕に活力を与えてくれ。

「今日はお願いがあってやってきました」

 誰が言ったのか数が多すぎて分からない。

 どれも同じ色、同じ姿だから誰が言ったか、そう拘わらないが。

「人間界に、勘田陽という三十九歳の男がいます」

「ふむふむ。その男がどうした?」

「ここにいる僕たち全員、勘田に殺されました」

「うん? 勘田はなぜ君たちを殺す必要があったんだ?」

「勘田は僕たちの父親です」

 僕はさすがに驚いた。

 堕胎した女性は一人ではないだろう。むしろ一人だったらもっと驚く。

 つまり勘田という男は次々と女性を孕ませては堕胎させたということだ。

 それにしても凄い数である。

 もはやプレイボーイの域を超えてただのゲス男である。

 僕は俄然高揚した。

 彼らには申し訳ないが、何だか面白いことになりそうではないか。

「で、僕に何をお願いしに来たのだ?」

「勘田を懲らしめたいのです。僕たちの母親だって勘田を恨んでいるはずなんです」

 期待通りだ。彼らは勘田に対して黒い感情を抱いていた。

「どうやって懲らしめるんだ?」

「話し合った結果、鬼ごっこをしようと思います」

「鬼ごっこ?」

「包丁やハサミを持って、毎日毎日追いかけ回して、勘田を恐怖のどん底へ突き落としてやりたいです!」

「ふうん」

 なかなか面白い発想だけれど、どこかで聞いた話だな。人間界の何とかという人物が鬼ごっこを題材にしたホラー小説を書いていたような……。

「面白そうだね。いいよ、人間の姿にしてあげる。子供の姿だ。子供が凶器を持って追いかけてくる方がある意味怖いからねえ」

「ありがとうございます」

「君たちだけじゃなくて、君たちの母親も一緒に参加したらもっと面白いだろうがね」

「あまり面白がらないでください。僕たちは本気なんです」

 僕はぺろっと舌を出した。

「ああそうだったね。では鬼ごっこを始めようか」

 黒い魂たち全員が声を揃えて返事をした。

「あちょっと待って。ルール決めようか、ルール」

「ルール、ですか」

「そ。ずっとやってても飽きちゃうからねえ。そうだな、期限は一週間。勘田を追いかけていいのは、夜の十一時から十二時までの一時間。これでいこう」

「はあ……」

 僕は黒い魂たちを指差し、

「さあ鬼ごっこの始まりだ! ゆけ! 鬼たちよ!」

 王様の気分になって命令した。

 

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