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2016.03.09

『巨人への遺言 ~プロ野球 生き残りの道』第1回

巨人の賭博事件は氷山の一角

広岡 達朗

巨人の賭博事件は氷山の一角

3/15(火)緊急出版!! セ・パ日本一監督、広岡達朗著『巨人への遺言 〜プロ野球生き残りの道』から試し読みをお届けします。
再びの賭博問題で激震が続く野球界、清原覚せい剤使用、原・巨人の敗因、高橋新監督の課題……巨人復活、野球界生き残りの道は、いったいどこにあるのか? 
「巨人の賭博事件は氷山の一角」と、『巨人への遺言』の中で先に指摘していた広岡達朗氏による、日本野球界への愛のムチーー。

※最近の情報は3/2時点のものです。

 

正力松太郎が泣いている

 まさかと耳を疑う事件が起きた。しかも、プロ野球の生みの親・正力松太郎が「球界の盟主たれ」と言い遺した巨人軍から3人も野球賭博に関与した選手が出るとは、OBとして開いた口がふさがらない。そして、巨人しか黒い選手が出なかったことが気になる。

 私は、このいまわしい事件が発覚する前から、一部の現役コーチに「いいか。平時こそどんな不祥事が起きるか分からんのだから気をつけろよ。常に選手の動向に目を光らせ、おかしな点があったら、悪事に手を染めないよう指導してやれ」と忠告していた。多くの現役選手が野球賭博に関与してプロ野球が“黒い霧”に包まれたのは1969年(昭和44年)の話だが、私はいまでも、選手が野球賭博に巻き込まれる恐れは大いにあると危惧していたからだ。私の杞憂(きゆう)が現実になったのが、残念でならない。

 半世紀前の黒い霧事件では、西鉄の投手・永易將之が金銭を受け取って八百長を行う「敗退行為」で摘発されたのをきっかけに、永久追放6人を含む計19人がコミッショナーから処分を受けた。

 野球賭博には、選手が情報を流したり、試合で八百長をするケースと、客として試合に賭けるケースがある。最も悪質なのは、ハンデ師と組んで自ら八百長を演じる「敗退行為」だが、今回の事件も、野球賭博常習者と交際して賭けをした罪は大きい。

 選手はもちろん、球界幹部も「黒い霧事件は半世紀も前の話。近代野球の現在は、そんなおぞましい事件があるはずがない」とタカをくくっていた。ましてや「球界の盟主集団」の巨人ナインが関与するとは思ってもいなかっただろう。だが、胴元やハンデ師は「強い人気球団」でなければ商売にならないのだから、巨人が最高のターゲットにされるのは当然なのだ。

 巨人軍の衝撃は大きく、原沢敦球団代表が引責辞任した。渡辺恒雄最高顧問と白石興二郎オーナーは2か月間、取締役報酬を全額返上。桃井恒和会長と久保博社長も当分の間、役員報酬の50%を返上する処分を行った。

 記者会見で深々と陳謝する球団幹部の姿は痛ましい限りだったが、衝撃が大きいということは、これまでまったく警戒も対策もしていなかった証拠でもある。

 

巨人の賭博事件は氷山の一角

 仰天した各球団は一斉に監督・選手から職員までアンケートや面接で「野球賭博関与や情報の有無」を調査したが、予想通り、結論は巨人以外の球団はシロ。熊崎勝彦コミッショナーは11月10日、野球賭博に客として関与した巨人の福田聡志投手、笠原将生投手、松本竜也投手の3人に無期失格処分の裁定を下した。野球協約違反としては永久失格に次ぐ厳罰であり、巨人に対しては管理監督責任は重大として制裁金1000万円を科している。

 再び球界を震撼させた“新黒い霧事件”は、コミッショナーが急遽設置したNPBの調査委員会が巨人をはじめ全球団を対象に「野球賭博への関与や情報」を調査した。しかし最終処分は当初、巨人が内部調査で告発していた3人だけだった。

 この裁定を下した熊崎コミッショナーも、巨人の告発を受けて調査に当たった調査委員会の大鶴基成委員長も、元東京地検特捜部長として歴史に残る大事件を担当・指揮した高名な捜査のプロだった。それでも「3選手以外の具体的な情報は得られなかった」とし、反社会的勢力との関係についても「確実な証拠までは得られなかった」という。

 熊崎コミッショナーは今回の調査と裁定について「限界と認めたくないが、これが限界だ」と語り、外部の弁護士7人を動員した大鶴委員長も「強制力がなく、話を聴かせてもらえなければしょうがない」と複雑な心境を隠せなかった。

 

 球界を揺るがした事件はこれで一件落着の形だが、考えてもみるがいい。野球人として命取りになる重大な問題を「ハイ、私もやりました」と正直に告白する人間がいるだろうか。最初に福田の賭博が発覚したとき、彼を野球賭博常習者に紹介し、あとで「主犯格」と分かった笠原も巨人の聴取には「私は友人を紹介しただけで関与はしていません」とシラを切っていた。

 そして福田の賭博が発覚したのも、誘った野球賭博常習者の「大学院生」がジャイアンツ球場まで、たまった掛け金をとりに来たからであり、笠原や松本の関与がイモヅル式に明るみに出たのは、福田をはじめとする3人の携帯電話の通信記録を解析した結果だった。そうでもなければ、書類や面接調査で野球賭博の実態がつかめるはずがないのである。

 かつて警視庁に平塚八兵衛(故人)という名刑事がいた。私の知人の新聞記者によると、「落としの八兵衛」といわれた彼は生前「ホシ(容疑者)は命がけでウソをついている。自白したら死刑になるんだから当然だ。そんな凶悪犯に真実を吐かせようと思ったら、こちとらだって命がけで証拠を集めて真剣勝負をしなくちゃいけねえ」と語っていたという。

 今回の賭博事件も、身内(球団)の形式的な調査で、球界にひそむ野球賭博の実態がつかめるはずがない。

 この不祥事で「球界の紳士集団・巨人」も、“黒い霧”の例外でも聖域でもないことが証明された。しかも、黒い霧は「強い人気球団」がターゲットだとすれば、阪神やソフトバンクは本当に大丈夫なのか。「トリプル3」の山田がいるヤクルトや、黒田人気に沸く広島、二刀流・大谷の日本ハムも「うちはシロ」と言い切れるのだろうか。

 

※次回試し読み、近日中公開予定です。

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