東日本大震災と原発事故から5年。復興したとはまだ言えないところが各所にあり、現在も、全国に約17万4000人の避難している方たちがいます(2016年2月12日現在、復興庁)。

 そうした現実を忘れないようにしながら、当時起こったことを教訓とし、あらためて胸に刻む時期がきました。

 

 当時の記録を書き留めた書籍の一冊、『東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと』(菅直人著、幻冬舎新書)。この本は、菅元総理が退任して1年が経過し、政府事故調など各種の調査報告が出揃った後の、2012年10月に出版されました。

 震災発生直後、錯綜する情報と刻々と変わる事態を前に、官邸がどう対応したのか、当時総理だった菅氏が何を考え、動いたかが記されています。

 昨年2015年10月には、この本のドイツ語版が出版されました。同月のフランクフルト・ブックフェアのブルーソファで、菅氏は著者インタビューを受けました。そこには複数の現地メディアも駆けつけ、ドイツ国内での注目の高さをうかがわせました。

右がドイツ語版。翻訳はフランク・レーヴェカンプ氏。“Als Premierminieter während der Fukushima-Krise”(Aus dem Japanischen von Frank Rövekamp , iudicium)

 

 そして2017年、英語版が出版されることが決定しました。

 発売元は、コーネル大学出版局(Cornell University Press)。学術書を主として発行する、歴史ある出版社です。英語版になることで、米国以外の国でも多くの人々が、一つの有意義な情報に触れる機会を得ることになります。

 原発の問題は、一国だけの話ではありません。事故が起きれば国内だけなく、世界中に影響を与えることを、私たちは実体験で学びました。

 当時できなかったこと、うまくいかなかったことなど、公にするのも忸怩たる思いがある情報などをすべて含めて、国家の中枢で実際起きたことが書かれた本書は、今も多くの教訓を教えてくれています。(S)

 

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