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2016.02.08

第6回

ニューヨーク発のトレンドから「ニッチからマスへ」の成長スパイラルを読み解く

りばてぃ

ニューヨーク発のトレンドから「ニッチからマスへ」の成長スパイラルを読み解く

人気ブログ「ニューヨークの遊び方」の著者で、マーケティング・コンサルタントの「りばてぃ」さん。今回はニューヨークの多様性の中でトレンドが生まれる最も重要な要素に迫ります。

ニューヨークで同時多発的にトレンドが生まれるのは、ニューヨークが多様な人種、文化が混ざった街だからだ。そしてその「多様性」溢れるグローバルな環境では、必然的に極めて重要になってくる考え方がある。それは「ニッチからマスへ」という成長スパイラルだ。

世界中から多種多様な「文化」「価値観」「ライフスタイル」「宗教」などを持つ、様々な「人種」「民族」が集まったニューヨークでは、それぞれの趣味・嗜好に応じて、多くの場合は少数グループごとに、ニッチな消費市場が形成されている。

あまりにもみんなが違いすぎるので、一気に大勢の人々(=大衆、マス市場)に同じように受け入れられたり、ヒットするような商品やサービスは、まぁ、滅多に出てこない。

その代わり、様々なタイプの商品やサービスを販売する、個性豊かな、多種多様なお店やビジネスが存在する。

1つ具体例を見てみよう。

例えば、ユニオン・スクエアやワシントン・スクエア・パークなどに行くと、公園の一角で、たいてい、チェスを楽しんでいる人々を見かける*1

NYのユニオン・スクエアので青空チェス

大人から子どもまで、見知らぬ人同士が対局し、名人同士の対局には人だかりができたりもする*2。日本にも、囲碁や将棋はあるが、公園の一角でこうした風景を見かけることはあまりないだろう。

セントラルパーク内に作った特設会場に大勢のチェス・プレイヤーが集まって、みんなで対局する大規模なチェス大会が開催されていることもある*3。まさに老若男女が集まり、可愛らしいワンピース姿の女の子が男の子と真剣勝負を披露していたりして微笑ましい。

会場の関係者の方に話を聞いてみると、年々、規模が大きくなって、現在のかたちになったとのこと。彼らに言わせれば、ニューヨークでは、今、チェスが大人気という。

トンプソン通りにあるチェス専門店 Chess NYC

そんなチェス好きな方々が通う、チェスの専門店(Chess NYC)まで、ニューヨークには存在する*4

しかし、冷静になって考えてみると、ニューヨークに住んでいる人々のみんながみんな、日常的に、チェスを楽しんでいるわけじゃない。街角でチェスを楽しんでいる方々をかなり頻繁に見かけたとしても、セントラルパーク内の特設会場で大規模なチェス大会が開催されても、チェス専門店まであっても、「みんなに人気」なのではなく、あくまで「一部の人々に人気」ということなのだ。

「多様性の街」であるニューヨークでは、チェスに限らずほとんどの物事において、それぞれの趣味・嗜好に応じた多種多様でニッチな市場が、日本人の感覚では想像できないほど数多く存在する。

興味や関心がなければ、そうしたお店や施設を訪れることはないので、日本の皆さんにはあまり知られていないかもしれないが、木製スタンプの専門店(The Ink Pad*5)、エコ・グッズの専門店(Green Depot*6)、仮装グッズの専門店 (New York Costumes*7)、ブルックリン産のものしか売っていないお店(By Brooklyn*8)など、ユニークなコンセプトを掲げた個性的なお店はかなり多い。

それぞれ専門分野に特化した品々を取り扱っているが、「それしか売っていなくて、よくお店を続けていけるな」という不思議なお店に出会えるのも、ニューヨークならではの魅力だろう。

世界中の食文化が集まっているということで、レストランやカフェなどの飲食店のバリエーションも豊富だ。中には、ライスプリン、つまりお米でできたプリンの専門店(Rice to Riches*9)などというものまである。

NYにたくさんある○○しか売ってないお店!


そうしたお店は、最初は、少数グループからなるニッチな市場(=数少ないお客さん)を相手にビジネスをはじめる。

当然、最初は売上げも少ない。

しかし、その少ない売上げを元手に商品やサービスのクオリティを高めたり、新商品や新サービスを生み出すなどの経営努力を続けていくと、徐々に、そのユニークな個性や独創性は広く評価されていくようになる。

そして、最初に支持者になったグループの人々とはまた別の趣味・嗜好を持つ人々をひきつけるようになり、お客さんが増えると、売上げも増える。さらに、その売上げの一部を元手にクオリティを高めて、より多くの人々をひきつける。

これをスパイラル状に繰り返しながら、大勢の人々(=大衆、マス市場)を対象にしたビジネスへと育っていく。

これが、「ニッチからマスへ」という成長スパイラル*10だ。

重要な考え方なので、もう一度、以下のシンプルにまとめた4つの段階を見てみよう。

(1)ニッチな市場をターゲットとしたお店に人が流れてくると、

(2)ニッチな市場をターゲットとしたお店にお金が流れこみ、

(3)そのお店の商品やサービスなどの質や魅力を向上させて、

(4)ニッチな市場をターゲットとしたお店にさらに人が流れてきて、徐々に大勢の人々(大衆、マス市場)を相手にするようになる


今回、この連載では、第2回目のニューヨークでは何が流行っているの? 流行がいっぱいのニューヨークからはじまって、第3回目の「ニューヨークのトレンドは、企業の寄付とボランティアから生まれる、第4回目のニューヨークでさまざまなトレンドが同時に生まれる理由とは、第5回目のニューヨークの化粧品広告には「美白」の文字がない!……と、これまでに、なぜ、ニューヨークでは、様々な分野の様々な人々の間で、常に、いろいろなものが同時多発的に流行しているのか、特に日本であまり見られない実例や現象を中心に最新事情をお伝えしてきた。

そうしたあらゆる実例や現象の根底に潜んでいるのが、実は、この「ニッチからマスへ」という成長スパイラルだ。

おそらく、この「ニッチからマスへ」という成長スパイラルは、ニューヨークに限らずアメリカ全体、あるいはその他の多様な人種、文化が混在し「多様性」溢れるグローバルな環境において、その社会や消費市場の動向を正しく理解し予測するうえで、極めて重要なカギを握る。

これまで日本国内では、「ニッチからマスへ」という成長スパイラルの重要性についてほとんど指摘されてこなかったように感じるが、グローバルに活躍するビジネスマンなら、当然、知っておくべきものの1つと言えるだろう。

次回、この「ニッチからマスへ」という成長スパイラルの影響下において、どのような考え方が重要になってくるのかについてさらに具体的に見ていこう。

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*1 著者ブログ記事 http://nyliberty.exblog.jp/20307450/
*2 著者ブログ記事 
http://nyliberty.exblog.jp/22429756/
*3 著者ブログ記事 http://nyliberty.exblog.jp/23435459/
*4 著者ブログ記事 
http://nyliberty.exblog.jp/13049289/
*5 著者ブログ記事 http://nyliberty.exblog.jp/17720009/
*6 著者ブログ記事 http://nyliberty.exblog.jp/10862836/
*7 著者ブログ記事 http://nyliberty.exblog.jp/16522531/
*8 著者ブログ記事 
http://nyliberty.exblog.jp/24232899/
*9 著者ブログ記事 
http://nyliberty.exblog.jp/4480117/
*10 著者ブログ記事 
http://nyliberty.exblog.jp/5643646/

 

 

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