「たけなわ期」を生きる全ての女性必読! 瀧波ユカリさんの文庫最新刊『女もたけなわ』(2月9日発売)より、試し読みをお届けします!


 これさえ身につければモテる、そんな奥義の存在に気付いてしまった。気付いてしまえばそのときから実行できるし、簡単でお金もかからない。知りたい? 知りたいよね? (ああ今私、読者に対して確実に優位に立っている)
 それは「落ち着く」こと。露出の少ない服を着るとか髪を大人しめにするとかそういうことではなく、単純にいつもあわてず騒がず冷静に世界を見る、ということ。わかりやすい例を挙げると、蒼井優。確かに蒼井優は落ち着いているけど、人気があるのは顔がかわいいからでしょ?と皆さんおっしゃるかもしれない。しかし思い返してみてほしい。学生時代、クラスでモテていた子は落ち着いていなかっただろうか?
 私の経験では、モテていた子はたいていおっとりしていて、ガールズトークで盛り上がって奇声を発したり(私)購買部でパンを買い逃して半狂乱になったり(私)することはなかった。自分の予定を把握し、余裕を持って行動し、人の話をちゃんと聞き、早合点したり動揺したりすることはほとんどない。たまに失敗しても、珍しいのでファンの目にはむしろキュートに映ることとなる。とりたててすごく顔がかわいいというわけではないけど、なにしろ落ち着いているので、目をつりあげたり歯をむき出したり鼻息を荒くすることなんかない。いつも柔らかく微笑んでいる。それだけですこぶる魅力的。おしゃれじゃなくても、オタクグループに属していても、そういう子はちゃんと男子に支持されていた。
 一方私は、「なんでこの子はモテるんだろう」と思っても、その秘密を見破ることはできなかった。そしてなぜか「もっと男の気を引かねば」という結論に達し、好きになった人にやたらと話しかけたり、教科書を借りてみたり、元気な私を知って!とばかりに跳んだりはねたりしていた。逆効果だ。私は完全に「落ち着きのない女」を演じていたのだ。結果は推して知るべし。このあやまちに気がつかなかったために、幾つもの恋を棒に振った気がする。
 そう、この「気を引く」ということに対して、我々女は多大な誤解をしているように思う。気を引くためにいろいろやればやるほど、よっぽどの手練れでないかぎり男の目には「落ち着きのない女」に映るだろう。年頃の女がみんなコセコセと上目遣い攻撃したりキャラキャラ笑ったりボディタッチ攻撃を繰り出したりしているとき、一番目立つのは「それをやっていない女」だ。落ち着いている女は、落ち着いていることで十分気を引くことに成功している。それだとちょっと足りないな、というときだけ、上目遣いなりボディタッチなりおかずを添えればいい。いわば「落ち着き」はごはんとみそ汁。目立たないけれど、それがなければ心惹かれない。おかずばかりが並ぶ食卓はすぐに飽きるし、胸やけしてしまう。
 ここまで読んでもまだ、「落ち着いただけでほんとにモテるの?」と思われる方は、逆の立場になってみてほしい。あなたは「落ち着きのない男」を好きになれるだろうか? 男は落ち着きがなくても別にいいよ!とおっしゃるなら、必殺「落ち着きのない中年男性」を思い浮かべてほしい。私は字面を見るだけで動悸がする。間違っても友達に紹介なんてしたくない。ゴルゴ13の落ち着きっぷりを見習ってほしい。
 というわけで、私もこれから「落ち着き系」を目指して精進したいと思う。最終的には小雪のようにいつも余裕あふれる笑みを浮かべ、神々しさを感じさせるまでになるのが目標だ。松ケン、ゲットだぜ!!
 

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瀧波ユカリ『女もたけなわ』
長い女の一生で、恋に仕事に遊びに全力で取り組む時間と体力があり、最高に盛り上がっている時期が、女の「たけなわ」。でも「たけなわ期」は、恥をかいたり、後悔したり、落ち込んだりの連続。そんな茨のたけなわ期を滑って転んでを繰り返しながら突っ走って見えてきたのは……。煩悩を笑い飛ばす、生きるヒント満載の反面教師的エッセイ。

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