若手は新作で、歌舞伎座以外で奮闘していた

 歌舞伎ファンの正月は忙しい。大阪を含めて5つの劇場で上演されるからだ。歌舞伎座、新橋演舞場、国立劇場、浅草公会堂、そして大阪松竹座。役者たちは一門別あるいは世代別にそれぞれの劇場へ散る。

 新橋演舞場は、ここ数年、海老蔵の座長公演で初芝居となっている。

 海老蔵が2015年の正月に選んだのは準新作の「石川五右衛門」だった。漫画原作者の樹林伸(きばやししん)が書き下ろしたストーリーを歌舞伎として脚色したものだ。海老蔵は石川五右衛門で、豊臣秀吉の宝物を狙っている。5年前の初演では秀吉を父12代目團十郎が演じた。五右衛門という大泥棒が実在したのは確かだが、彼は素性も何もかもよく分からない。そこで、この海老蔵版では秀吉の隠し子という設定だ。

 敵と思っていた男が自分の父だった――まるで「スター・ウォーズ」だなあと初演の時は思ったものだ。秀吉と五右衛門を現実の父子である團十郎と海老蔵が演じたので、よけいに面白かったが、その12代目も亡くなってしまった。今回は市川右近が秀吉を演じ、5年前に上映した部分はかなり短くし、その後の物語を大幅に付け加えた準新作としたのだ。つまり短縮版と続編の要素を持つ。続編が生まれるあたりも「スター・ウォーズ」的だが、これは別に「スター・ウォーズ」に限った話ではない。

「スター・ウォーズ」気分で始まった2015年の歌舞伎は、翌2月、さらに「スター・ウォーズ」の世界へ接近した。

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