◆スター・ウォーズ、007、ロッキー……今は歴史の何周目?

 今年1年を、自分なりに総括してみたいと思います。紅白はマッチが大フィーチャーされ、聖子が大トリ。かつて恋愛関係にあったとかないとか言われる2人の共演が話題ですが、そんな昔の因縁なんか多くの人にはどうでもいいんじゃないかと思いながらも、今街ではロッキーとスター・ウォーズと007の続編映画が公開中であるということに思い当たりました。僕らは大きな歴史の流れに流されているのではなく、小さな歴史のサイクルという回し車をクルクル回るハムスターのように時間を過ごしているようです。

 毎年、12月のこの時期になると、僕は新刊のミステリ小説が読みたくなります。今読んでいるのは、発売されて即大ベストセラーになっているスウェーデンミステリの『ミレニアム4』です。これもかつての人気シリーズの続編。このシリーズ、デビッド・フィンチャーによって映画化もされていますが、第1作『ドラゴン・タトゥーの女』が日本で刊行されたのは、7年前のこと。実は、このシリーズの最初の3部作の著者、スティーグ・ラーソンは、すでに他界しており、この最新作は別の著者の手によって書かれています。小さな歴史のサイクルが著者の死ぐらいでは止まらないということは、藤子・F・不二雄の死後も続く『ドラえもん』などで証明済み。『スター・ウォーズ』もルーカス(生きてるけど)の手を離れ、新しい世代であるJ・J・エイブラムスの手に委ねられているし。すでに2周目ですらない世界です。

 さて『ミレニアム4』、久々の新作を読んで、その世界観の変貌ぶりにまず驚きました。このシリーズの主人公は、左派で正義感の強いジャーナリストです。これまでも謎の解決と同時に、巨大財閥などを告発するような物語が続いてきました。しかし、最新作は、ジャーナリズム自体がすでに「儲かるものではない」という時代状況の描写から始まります。スウェーデン国内では、ジャーナリズム=調査報道はもう期待されておらず、報道メディアは、むしろ国の健全な経済的発展を疎外するものとして捉えられてしまっているようです。どうせお前らは、社会悪をでっち上げて叩いていい気になってるだけだろ、みたいな。主人公のミカエルが専属ライターとして書いてきた雑誌「ミレニアム」(シリーズ名は、この雑誌名から取られている)も、ついに大手に乗っ取られてしまいます。

◆新聞もテレビもダメになった、その先の歴史

 あらら。そんな報道メディアの在り方は、日本も同じ。例えば今年は、…

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