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『糖質制限の真実』刊行記念インタビュー なぜあなたのダイエットは失敗してきたのか

2015.11.27 公開 ツイート

第4回

でも、食事をざる蕎麦や果物だけにしたら、やせられるんでしょ? 山田悟

 1食あたりの糖質量を、一定の値に抑えて食べる「ロカボ」が、これまでの徹底的な炭水化物抜きやカロリー制限とは違い、“おいしく楽しく食べて健康になれる食事法”として、大変注目されています。
詳しくは『糖質制限の真実』(山田 悟著)を読んでいただくとして、この食事法で一番気になるのは、どれほどのダイエット効果が期待できるのかということではないでしょうか。
『糖質制限の真実』刊行記念として、著者の山田先生にお伺いしたインタビュー。「栄養学はこの10年で大きく変わった」と言う先生からは、今までの常識を覆すような驚きの話が次々と出てきました。
さて、第4回目は? (聞き手:佐藤誠二朗)

 

 お酒は飲めるのでしょうか?

山田 さて、ざる蕎麦ですが。

———もう驚きません。ざる蕎麦を食べていても、痩せられないんですよね?

山田 なぜ痩せられないか、分かりますか?

———糖質が多い上に、他の栄養素が少ない食べ物だからですか?

山田 その通り、正解です。緩やかな糖質制限=ロカボの食事法を実践する際、気をつけなければならない食べ物がいくつかあります。今日はその話をしたいと思っています。

———前回までのお話を聞いていなかったら、ざる蕎麦が良くないなんて、なかなか想像できませんね。

山田 私が診察している糖尿病の患者さんでも、「昼はざる蕎麦一枚しか食べていません!」と自慢げに言う方がいます。でも血糖値を測ってみると、正常値を大幅に上回っているんですね。

———そんなにすぐ出てしまうんですね。でもこれまでの世界で考えると、ざる蕎麦なんて低カロリーで、とてもヘルシーだと思っちゃいますもんね。

山田 逆にそこが問題なんです。ざる蕎麦一枚だと、わずかなネギやノリ以外、具材がありません。糖質ばかりで、たんぱく質や脂質、食物繊維はほとんど摂れていないということになります。つゆにはみりんも含まれますし、そば湯にも糖質がたっぷり含まれています。だから血糖値が上がって当たり前です。

———でも、蕎麦はおいしいですよね。私は大好きです。食べられないとなると淋しいです。

山田 食べたい人はかしわや玉子をつけて、たんぱく質を同時に摂るようにするといいですね。それから、昼間からは難しいかもしれませんが、焼酎を一緒に飲むのも一つの手です。
———焼酎? お酒はいいんですか?

山田 醸造酒には糖質が含まれますが、焼酎のような蒸留酒は糖質ゼロなんです。それに、適度なアルコールは肝臓の糖の放出にブレーキをかける方向に働きます。焼酎をやりながらつまみを食べ、シメに蕎麦という食べ方だったら、あまり血糖値は上がりません。

———面白いですね。粋な感じで蕎麦をじっくり楽しむほうが、血糖値が上がらず、太らないということなんですね。

山田 そうなんですよ。

———もうひとつ、果物のことですが。果物は全般的に低GI食、つまり血糖値を上げない食べ物だと言われますよね。だから糖質制限の観点からも、ヘルシーなのではないですか? 「朝の果物は金」なんていう言葉もありますし。私は朝、果物だけしか食べないこともありますよ。

山田 あぁ……。

———あ、まずいですか?

山田 ええ、まずいです。危険と言ってもいいかもしれません。

———危険!? 

山田 たいていの果物は糖質をたっぷり含んでいます。特に最近の果物は、甘味を増す方向に品種改良がされていますので、ほとんどお菓子と考えたほうがいいのです。

———でも血糖値は上がらないんですよね? それはなぜですか?

山田 果物の甘さの元が果糖だからです。果糖は体内に取り入れられると、肝臓で10~20%だけブドウ糖に変換され、残りは果糖のままで血中を回ります。おさらいになりますが、血糖値というのは血中のブドウ糖の量を計測した値なので、果物を食べてもあまり上がらないんです。

———血糖値さえ上がらなければいいんじゃないのですか?

山田 それが違うんです。果糖は体内で中性脂肪に変化して内臓にくっつき、脂肪肝などを引き起こしやすくなります。その結果、血糖値を下げるインスリンの働きが弱くなってしまうのです。

———怖いですね。

山田 果物は短期的に見ると、血糖値が上がらないので健康的なように見えますが、長期的に見ると危ないんですね。特に朝は血糖値が上がりやすくなっていますので、そこに果物を食べて果糖とブドウ糖をたっぷり入れるわけですから、高血糖と肥満を維持してしまうような食事法ということになります。

———今日、それを知って良かったです。健康に良いというイメージがありながら、実は気をつけたほうがいいという食品は他にもありますか?

山田 ええ、他にもいろいろありますよ。詳しくは『糖質制限の真実』を読んでいただくといいと思います。

———はい。今日はありがとうございました。

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『糖質制限の真実』刊行記念インタビュー なぜあなたのダイエットは失敗してきたのか

この10年で栄養学が激変。ダイエットにいいとされてきた常識が、ことごとく覆されているってご存知でしたか? 驚きの事実と本当にきくダイエット法、徹底解説します!

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山田悟 北里研究所病院 糖尿病センター長

1970年東京都生まれ。北里研究所病院 糖尿病センター長。日々1300人の患者と向き合いながら、食べる喜びが損なわれる糖尿病治療において、いかにQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を上げていけるかを追求。糖質制限食に出会い、2012年『奇跡の美食レストラン』(幻冬舎)を刊行。2013年11月14日、緩やかな糖質制限食=ロカボの考え方を普及させ、作り手にも食べる側にも、より良い社会の実現を目指す、一般社団法人 食・楽・健康協会を立ち上げる。

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