毎日を1%ずつ新しく生きる! 刺激と感動のマガジン&ストア

★がついた記事は無料会員限定

2015.11.24

第二十四回

どうして相互扶助おばさんの話になったんだろう

小嶋 陽太郎

どうして相互扶助おばさんの話になったんだろう

 リサイクルショップで金のスカジャンを買ってからというもの、僕の中で空前のスカジャンブームが巻き起こっている。あれ以来、短い期間にポンポンと立て続けに追加で二着も買ってしまった。大学時代、基本的に服を買わなかった僕からするとこれはユユシキ事態である。
 大学時代になぜ服をろくに買わなかったかというと選ぶのがめんどくさかったからだ。一週間毎日同じパーカーで過ごすということを平気でやっていた(不潔)。あと、たまに買っても二千円以内じゃないと買いたくねえなあ、と思っていた(いまもわりとそう思ってはいる)。
 パーカーで思い出したんだけど、高校時代からものすごい頻度で着ているお気に入りのパーカーがある。紺と青の中間くらいの色のすっぽりかぶるタイプで、どことなくダサくてかわいい。(スカジャンしかり、「ダサくてかっこいい」とか「ダサくてかわいい」とか、そういうものに惹かれがちなことに気づいた)
 どういうかわいさかというとアメリカのホームドラマで、「ママ! ママ! 僕のカントリーマアムどこ? 見当たらないんだけど(ハニーローストピーナッツぽりぽり)」とか言ってるエレメンタリースクール高学年男子(152cm、86kg)が着ていそうなかわいさのパーカーである(カントリーマアムは不二家が作ってるからたぶんアメリカにはない)。
 ところで大学三年くらいのとき、インターホンが鳴ったので「はーい」と言って玄関のドアを開けると、おばさんが立っていたことがあった。おばさんがインターホンを鳴らして訪ねてくるのはよくあることなので、「ああ、おばさんが訪ねてきたな、このおばさんは、いったいどういう目的で僕の家を訪ねてきたおばさんだろう」と思っていると、その人は「あら学生さんかしら?」と言ってきた。僕は「ええ」と答えた。……のだが、そのあとのおばさんの発言が不可解だった。
「あらそう? 中学校の夏休みは長いのねえ」
 そのときの僕は大学三年だったので、だいたいハタチくらいである。
 おれ童顔じゃねーし、どう考えてももうちょい大人だろ。危ないババアかな……。
 軽く恐れながら「いや、まあ、ハァ……」と適当にいなしているとおばさんは、「相互扶助が大事なのよ。世の中には相互扶助が足りないの。相互扶助があればいろんなことがもっとうまくいくの」と相互扶助の大切さをひととおり説いて「目覚めよ」的な文言が表紙に大きく印刷された冊子を置いて帰っていった。ちゃんと危ないババアだった。
 その後ため息をつきながら居間に戻ってハッと思い当たったのだが、僕はそのとき、アメリカンエレメンタリースクール肥満坊や的パーカーを着ていた。そして僕は、「ああ、このダサくてかわいいパーカーのせいかな。この服着てたら中学生と思われてもしかたないか……」と思った。危ないババアとか思ってごめんなさい――という話である。
 でも僕は実年齢より下に見られたことが、この一回きりしかないし、十八くらいのときにそのパーカーを着てファミレスに行って「喫煙ですか禁煙ですか?」と聞かれていたので、やっぱりこの件に関しては相互扶助ババアがおかしかったんだなと、いま書きながら思いを新たにした。
 しかしスカジャンにハマったという話を書こうと思ったのに、どうして相互扶助おばさんの話になったんだろう。

★がついた記事は無料会員限定

記事へのコメント コメントする

コメントを書く

コメントの書き込みは、会員登録とログインをされてからご利用ください

おすすめの商品
  • ピクシブ文芸、はじまりました!
  • 文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作!
  • 無理しないけど、諦めない、自分の磨き方
  • 時短、シンプル、ナチュラルでハッピーになれる!
  • ビジネスパーソンのためのマーケティング・バイブル。
  • 有名料理ブロガー4名が同じテーマでお弁当を競作!
  • ドラマこそ、今を映すジャーナリズム!
  • 砂の塔 ~知りすぎた隣人[上]
  • 小林賢太郎作品一挙電子化!
  • あなたがたった一人のヒーローになるためには?
文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作!
ピクシブ文芸、はじまりました!
エキサイトeブックス
今だけ!プレゼント情報
かけこみ人生相談 お悩み募集中!