先週のパリ同時多発テロを受け、米露仏はIS空爆での連携を強化、また欧州各国では難民流入阻止の声が高まっている。そんな中、ドイツの姿勢に注目が集まっている。これまで、経済面でも脱原発政策でも、難民流出問題でもドイツは強いリーダーシップをとってきた。「ドイツを見習え」という声は日本でも根強いが、しかしそんな優等生に近頃、暗雲が。長引くVW排ガス不正問題は世界経済を揺るがしかねず、旗ふり役の難民対策は、現実的には相当問題がある。今ドイツに何が起きているのか? 今回のテロはドイツにどんな影響を及ぼすのか? 優等生ドイツをなぜ警戒すべきなのか?
 ベルリン特派員として現地で10年活躍、綿密な現地取材とインタビューで、最近、新書『ドイツリスク』を書き上げた、読売新聞編集委員の三好範英氏に聞いた。「実はドイツは警戒すべき国」って、ホントですか?

 

◆合理的ではなく、自己陶酔的に動く国

 ドイツがこのところ注目を集めている。輸出で大もうけしているのに、ユーロ危機ではギリシャへの救済を拒んだのは傲慢ではないのか。今年、100万人にも達する多数の難民認定希望者(以下「難民」)がドイツめがけて押し寄せているが、本当に受け入れられるのか。パリの同時テロでは実行犯の一人が難民を装って欧州に入ったことが分かった。さらに、世界に名だたる自動車メーカーであるフォルクスワーゲン(VW)が、排ガス量をごまかしていたことが発覚した。

 それぞれ、起きている出来事の一面を取り出しただけだが、ドイツはどうなっているのか、ドイツ発でいろいろな問題が起きているのではないか、そんな印象を持っている人も多いことだろう。

 私は9月、『ドイツリスク 「夢見る政治」が引き起こす混乱』(光文社新書)を上梓した。意図したわけではないのだが、何か今日の事態を予見するようなタイトルと内容になってしまった。

 私はこの本で、ドイツ人の「夢見る」性格、一言で言えば、自分の掲げる理想に酔ってしまって、現実がよく見えなくなってしまうドイツ人の国民性の一つの側面が、様々な問題、つまり「ドイツリスク」を生んでいるのではないか、という見方を書いた。

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