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2015.11.10

切り落とされた鶏の頭、繋がらない携帯。何で私がこんな目にあうの~!?

心霊コンサルタント 青山群青の憂愁 Ⅲ

入江 夏野

心霊コンサルタント 青山群青の憂愁 Ⅲ

  キャラノベ界に、クールでイケメンな心霊コンサルタントが登場!
 11/12発売の文庫『心霊コンサルタント 青山群青の憂愁』の刊行を記念して、全5回のためし読み記事を公開いたします! 
 次々起きる怪奇現象を解決してもらうため、貧乏女子大生・花は、心霊コンサルタント・群青を紹介される。長髪に藍染の袴姿、ブルーのカラコンをした群青は、超感じ悪いけど、腕は確か。洗面台一杯の鶏の頭、血染めのライブ会場などの謎を“降霊”して次々解決! “心霊コンサルタント”青山群青が紐解く怪奇ミステリ、始まります。



<著者の入江夏野さんより、plusへメッセージが届きました!>

 はじめまして。入江夏野と申します。
このたび、みなさんのもとへお届けする物語の主人公「青山群青」は、イケメンだけど一癖も二癖もある男。
 よくいえば、世界一ハカマを美しく着こなす「ハカマ王子」となりますが、「いや、単なるコスプレイヤーだろ」なんて突っ込みを入れたくなる場面もご用意してあります。
性格はぶっきらぼうで、ちょっぴり俺様な一面もあるようです。それでいて相談事が舞い込めば、真摯に依頼人の話に耳を傾け、難事件から珍事件までを鮮やかに解決。貧乏女子大生「花」が彼に胸ときめかせるのも、当然の流れでしょう。
「心霊コンサルタント」を名乗る群青は、相談者の前で「降霊」して様々な事件を解決します。でも、花は最初、疑問に思います。彼には本当に「霊能力」はあるのか? そんな男が存在するのか? もしかして、彼はとんだペテン師野郎なんだろうか……?
 読者の皆さまも当然、疑わしく思われることでしょう。
 実は、ここに哀しい秘密が秘められているのですが、それは読んでのお楽しみということで!
 ただし、これだけはみなさんにお約束いたしましょう。
 最後の秘密が明らかになったとき――
 あなたの心には青山群青が棲みついています。 
 

<登場人物紹介>

青山群青 (あおやま ぐんじょう)
24歳。「心霊コンサルタント」のときは、石川五右衛門のような羽織袴のコスプレ(もと弓道部員なので)、青いコンタクトレンズ、手には革の手袋。クールなイケメン。細マッチョ。「降霊」してオカルトなナゾを解決するが……。

小日向花 (こひなた はな)
広尾のお嬢様女子大2年生。貧乏苦学生でアルバイトばかりしてる。群青に片想い。

 

塩村一生 (しおむら いっしょう)
34歳。兆徳寺住職。大柄、筋骨隆々、ソフトモヒカン。日本人離れしたルックス。墨色の法衣。声が大きくて優しく面白い。

青山一翠 (あおやま いっすい)
34歳。群青の兄、一生の親友。3年前の事故で植物状態で入院中。
 

 

第一話 ドクダミ館の怪

 人間は、意外とタフにできているらしい。

 花はいつの間にか眠りに落ち、悪夢にうなされるようなこともなく、いつもより一時間早い朝六時にセットした目覚ましのアラームで目が覚めた。

 長い髪の女の人も、誰かに肩を掴まれたことも、コミックや小説といった架空の世界の出来事のように思え、実感が湧かない。

 ――何だ、夢だったのか。

 大きく伸びをしてから、勢いよくベッドから降りた。

 五十嵐フラットは賃貸アパートとはいえ、外国の建物を参考に設計されたというだけあって、ところどころに異国情緒が漂う。

 花がとくに気に入っているのは、水色に塗装された洗面所とトイレのドアだった。いい感じに色褪せ、新築の建物では絶対に味わえぬ優しいアンティークな風合いを醸し出している。

 そのドアを開け、洗面所に一歩足を踏み入れた瞬間、口から心臓が飛び出そうになった。

 正面の鏡に落書きされた赤い文字が、目に突き刺さるようだ。

 

 おはよう、花さん

 

 ドロドロした赤い塗料のようなものは、血だろうか。

 あっ、と洩らして花は口を押さえた。文字の周りに、肌色の肉片らしきものが貼り付けられている。花にはそれが、切断された人間の舌のように見えた。

 瞬間的に鏡から目を逸らした花は、下の洗面ボウルを見て、さらに腰を抜かしそうになった。白い陶器の洗面ボウルが、切り落とされた鶏の頭で溢れ返っていたからだ。

 小さなブツブツが無数に浮かぶ肌色の鶏冠。尖った嘴。死んでいるのに、一斉にこちらを睨む目、目、目……。

 「キャーッ!」

 その場から逃げようとした花は、洗面所のマットで足を滑らせ、派手に転倒していた。膝頭を思い切りぶつけたけれど、痛みは感じない。

 そのまま床を這ってベッドへ歩みよると、枕元の充電器に立てかけた携帯電話にしがみつく。しかし、またもやアンテナが「圏外」になっている。

 「もーっ!」

 ちょっとやそっとのことではカッとしない花も、このときばかりは抑えきれない怒りに携帯電話を投げつけた。

 とはいえ、壁にぶつけたら電話が壊れてしまう。予定外の出費は冗談じゃない、と無意識にクッション性のあるベッドの布団めがけて投げているところが、少ない仕送りとアルバイトに励んで何とか生活している苦学生だった。

 着替えているような余裕はない。壁のフックからレインコートを取ってパジャマの上に羽織ると、外に飛び出した。

 ザーッという激しい雨音が響くなか、首をすくめて隣の部屋へと急ぐ。

 一〇二号室のチャイムを鳴らしながら「おはようございます。小日向です」と告げると、奥から「ハーイ」と声がして、すぐにドアを開けてもらえた。

 グレーのジャージ姿の美穂子さんの背後から、外気と入れ替わりにトースターでパンを焼く匂いとコーヒーの香りがふんわり流れ出てくる。

 「おはよう、花――」

 目が合うなり、美穂子さんの顔から笑顔が消えた。

 「何があったの?」

 「事情はあとで話します。その前に、電話をお借りできますか。私のケータイ、電波が圏外で使えないんです」

 「了解。ちょっと待ってて」
 

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