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2015.11.08

金縛りに物音……私の部屋には、誰がいるの?

心霊コンサルタント 青山群青の憂愁Ⅱ

入江 夏野

心霊コンサルタント 青山群青の憂愁Ⅱ

  キャラノベ界に、クールでイケメンな心霊コンサルタントが登場!
 11/12発売の文庫『心霊コンサルタント 青山群青の憂愁』の刊行を記念して、全5回のためし読み記事を公開いたします! 
 次々起きる怪奇現象を解決してもらうため、貧乏女子大生・花は、心霊コンサルタント・群青を紹介される。長髪に藍染の袴姿、ブルーのカラコンをした群青は、超感じ悪いけど、腕は確か。洗面台一杯の鶏の頭、血染めのライブ会場などの謎を“降霊”して次々解決! “心霊コンサルタント”青山群青が紐解く怪奇ミステリ、始まります。

 
<著者の入江夏野さんより、plusへメッセージが届きました!>

 はじめまして。入江夏野と申します。
 このたび、みなさんのもとへお届けする物語の主人公「青山群青」は、イケメンだけど一癖も二癖もある男。
 よくいえば、世界一ハカマを美しく着こなす「ハカマ王子」となりますが、「いや、単なるコスプレイヤーだろ」なんて突っ込みを入れたくなる場面もご用意してあります。
性格はぶっきらぼうで、ちょっぴり俺様な一面もあるようです。それでいて相談事が舞い込めば、真摯に依頼人の話に耳を傾け、難事件から珍事件までを鮮やかに解決。貧乏女子大生「花」が彼に胸ときめかせるのも、当然の流れでしょう。
「心霊コンサルタント」を名乗る群青は、相談者の前で「降霊」して様々な事件を解決します。でも、花は最初、疑問に思います。彼には本当に「霊能力」はあるのか? そんな男が存在するのか? もしかして、彼はとんだペテン師野郎なんだろうか……?
 読者の皆さまも当然、疑わしく思われることでしょう。
 実は、ここに哀しい秘密が秘められているのですが、それは読んでのお楽しみということで!
 ただし、これだけはみなさんにお約束いたしましょう。
 最後の秘密が明らかになったとき――
 あなたの心には青山群青が棲みついています。

 

<登場人物紹介>

青山群青 (あおやま ぐんじょう)
24歳。「心霊コンサルタント」のときは、石川五右衛門のような羽織袴のコスプレ(もと弓道部員なので)、青いコンタクトレンズ、手には革の手袋。クールなイケメン。細マッチョ。「降霊」してオカルトなナゾを解決するが……。

小日向花 (こひなた はな)
広尾のお嬢様女子大2年生。貧乏苦学生でアルバイトばかりしてる。群青に片想い。

 

塩村一生 (しおむら いっしょう)
34歳。兆徳寺住職。大柄、筋骨隆々、ソフトモヒカン。日本人離れしたルックス。墨色の法衣。声が大きくて優しく面白い。

青山一翠 (あおやま いっすい)
34歳。群青の兄、一生の親友。3年前の事故で植物状態で入院中。
 

 

第一話 ドクダミ館の怪


「歯ブラシが消えていたんです」

 温かいコーヒーを口に含むと、少し落ち着いた。

 「隣のお風呂場を覗くと、もっとびっくりすることが待っていました。いつも洗濯物を干しておくポールハンガーに、ひまわりの花が四輪、洗濯ばさみで止めてあったんです。といっても、造花でしたけど」

 「ひまわりの造花が吊るしてあった?」

 眉をひそめる美穂子さんに、花は先週の出来事を報告した。

 「近くの百均でひまわりの造花を見かけ、殺風景な部屋に飾ったら雰囲気が少し明るくなるかもしれない、と閃いたんです」

 しかし、考えた末に、結局、ひまわりの花は我慢することにした。

 「部屋に忍び込んだ犯人は、あのとき私がひまわりの造花を諦めてバケツに戻すのをどこかから見ていたんじゃないでしょうか?」

 「やだ、怖い……」

 「そうなんです。犯人が部屋のどこかに隠れていたら……と考えたら怖くて。とりあえず、今夜はマン喫に避難しようと思って出てきました」

 「マンガ喫茶では落ち着いて眠れないでしょう。だったら、私の部屋に泊まるといいわ……といってあげたいところだけど――」

 美穂子さんが苦笑を洩らした。

 「散らかっていて、とても花ちゃんを泊めてあげられるような環境じゃないのよ。……ねえ、だったらこうしない。私が花ちゃんの部屋に一泊するの。どう、それならもう怖くないでしょ?」

 美穂子さんの提案に、花は一も二もなく飛びついた。

 「お願いします」

 「お腹が空いてるんじゃない? 夜ご飯は?」

 「ご心配なく。バイト先でまかないご飯を食べて、満腹です」

 「そ。じゃ、そろそろ帰りましょう」

 腕時計を見ると、午前零時をとっくに回っていた。

 「美穂子さんは明日もお仕事ですよね。なのに、いろいろ心配おかけしてすみません」

 五十嵐フラットに住んで二十年近い美穂子さんは、六本木に本社のあるIT企業に勤めているという話だ。

 「困ったときはお互いさまよ」

 美穂子さんが突然、警戒するように歩く速度を落とした。

 「あそこに人影が見えるでしょ」

 「管理人さんじゃないでしょうか」

 三十メートルほど先の五十嵐フラットに面した歩道を、銀髪の男性が懐中電灯を左右に振りながら歩いている。

 「慎一郎さん」

 後ろから呼びかけると、長身の男性がくるっと振り返った。

 やはり慎一郎さんだった。だが、いつもと雰囲気が違う。

 普段は正統派の美男と呼ぶのが相応しい端整なマスクが、持っている懐中電灯の青味がかった明かりに下からライトアップされると、色白の皮膚と赤い唇が闇にくっきりと浮かび上がり、どことなくホラー映画に出てくる凶悪な殺人鬼みたいだった。

 「あ、失礼」

 怯えきった花たちの顔を見て、気づいたらしい。慎一郎さんは懐中電灯の向きを変え、真っ暗な足元を照らしてくれた。

 「お揃いでお出かけでしたか」

 「いえ、それが――」

 花は簡単に事情を説明した。

 「留守中、誰か部屋に忍び込んだ人がいるのは間違いありません。でも、玄関ドアと窓は内側からロックしてありました……」

 「それはまた奇妙ですね」

 慎一郎さんは考え込むように、「うーん」と洩らして顎を触っている。シミひとつない陶磁器のように綺麗な手は、資産家の一人息子に生まれ、重労働など知らない人のものだった。足が不自由な母親の世話をしながらアパートの管理を担当し、たまに翻訳の仕事をしているらしい。

 「差し支えなければ、お部屋の中を拝見できますか」

 「はい、お願いします」

 シューズボックスの上に飾ったスヌーピーのぬいぐるみを除いて、必要最小限のものしかない花の部屋は、良くいえばシンプル。悪くいえば、殺風景だった。

 「スリッパもなくてすみません。あ、美穂子さんはこれを履いてください」

 花が自分のスリッパを揃えて差し出すと、美穂子さんは「いいの、いいの」といって裸足で洋間に入っていく。

 「さあ、どうぞ」
 

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