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2012.12.01

連載エッセイ78

マンガ家たちの赤裸々な性生活 
吉田豪『人間コク宝 まんが道』

中条 省平

マンガ家たちの赤裸々な性生活 <br />吉田豪『人間コク宝 まんが道』

 今年の夏に出た吉田豪のインタビュー集『サブカル・スーパースター鬱伝』(徳間書店)はすばらしく面白い本でした。
 いまや映画界の山田宏一に匹敵する芸能界のインタビュー名人である吉田豪が、そのフィールドをサブカルチャー界に置いてのインタビュー集で、じつに内容の濃い1冊です。しかも、この本は、個々のインタビューの中身が充実しているというだけでなく、ひとつの書物として統一したテーゼを掲げているという点で画期的でした。その命題とは、

「サブカルは四〇越えると鬱になる」

 というもので(5・7・5のリズムになっているところもお見事)、どんなに今をときめく有名人、人気者のように見えても、サブカルチャーの世界でトップレベルを維持している人々は、40歳を過ぎたあたりで鬱病の症状に襲われて大いに苦しむ、と吉田豪は断言します。その命題を実証すべく、リリー・フランキー、大槻ケンヂ、川勝正幸(本年初頭、火災事故で逝去。享年55。遅ればせながら合掌させていただきます)、菊地成孔、松尾スズキといった錚々たる11人に怒濤のインタビューを浴びせ倒すわけです。
 その結果、確かに、サブカルの立役者はその人気にもかかわらず(というか、その表層的人気と内心のギャップゆえに)40歳を越えたあたりで鬱的症状に陥る、という厳然たる事実が浮き彫りになっています。
 私たち読者は、もちろん面白半分でその苦悩の記録に接するわけですが、あの人気者たちが本当に恐ろしい苦しみの世界を経験していることが分かって、いささかショックも受けてしまいます。一般の消費者にとってサブカルは若き日の通過儀礼にすぎませんが、当のサブカルの先導者たちはその「若気の至り」的な遊びを、いい年になっても本気で追求しつづけねばならないのです。これは辛い! その辛さの真摯な記録として、『サブカル・スーパースター鬱伝』は必読の名著だといっておきましょう。
 そして、早くもまたこの秋、吉田豪による新作インタビュー集が発売されました。著者を「本人よりその人に詳しい史上最強の聞き手」と定義づけたその本の名は、『人間コク宝 まんが道』(コアマガジン)。大判2段組み(脚注を入れれば3段組み)で、細かい活字を詰めこんだ316ページはほんとうにへヴィな読みごたえがあります。

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