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2015.10.13

朱野帰子×高井研 深海対談イベント

カリスマ科学者が語る、小説の力とは

朱野 帰子

カリスマ科学者が語る、小説の力とは

「読後感が爽やか」「深海生物に会いたくなった」「秀逸な幻想文学」「元気になれるお仕事小説」――。2012年の発売以来、多くの読者を惹きつけた人気深海小説『海に降る』(朱野帰子・著)がこのたび文庫版になりました。有村架純主演での連続ドラマも放送中!WOWOWにて2015年10月10日よる10時~〈全6回〉)ここでは『海に降る』文庫版がさらに楽しく読める情報をお知らせします。

 2015年9月某日、新宿ネイキッドロフトで超満員の深海イベントが開催されました。「『海に降る』文庫化を記念して……」というテイの企画でしたが、深海クラス(注・クラスタというほど数がいないためこう自称される)が何よりも求めていたものは、自他共に認める深海マニアの作家・朱野帰子さん(『海に降る』原作者)とカリスマ研究者・高井研さんによるガチのぶつかり合いだったのです!
発売数日で全席SOLD OUTした人気イベント「深海ドリーム第二夢 朱野帰子×高井研 海談kai-dan」(主催:深海ドリーム)の、熱すぎる模様をリポートします。

新宿ネイキッドロフトに、新たな伝説が加わった。


・事実の圧倒的面白さに、小説は対抗できるのか
第1部は朱野さんによる「小説『海に降る』ができるまで」。小説を書き上げるまで、物語の舞台・JAMSTEC(海洋研究開発機構)の皆さんが惜しみなく協力してくれたと明かします。正確に書くことに捉われすぎていた朱野さんに、パイロットの方がかけた「朱野さん、小説はエンタテインメントなんだから面白く書けばいいんです。たとえ間違えたところがあったって、それは僕ら現場にしかわからないよ」という言葉には、観客一同グッときました。

さらに今回の対談相手・高井研さん(微生物地球学者)への感謝が語られます。朱野さんはあるとき、科学的事実の与えてくれる圧倒的な面白さに、フィクションは太刀打ちできないと悩む気持ちが芽生えて、高井さんに「事実の前で、小説は何ができるでしょうか」とメールをしたそうです。すると高井さんのくれた答えは「事実にはインパクトがあるが持続力に欠ける。創作はそこに持続力を与えることができる」。小説は、事実とは別の角度から科学の面白さを支えることができると気づかせてくれる言葉だったそうです。


・小説『海に降る』はワシが育てた……!?
朱野さんとJAMSTECとの温かな思い出話が聞けて会場はほっこりムードに。話者は高井さんに交代です。すると開口一番「小説『海に降る』はワシが育てた」とのお言葉が。……聞き間違いでしょうか。一万歩ぐらい譲って仮にそうだとして、作家さん本人を前にそんなこと言えるもの!? 激しく動揺した私をよそに、会場内に慌てた雰囲気は皆無。どうやら深海クラスは高井さんの暴言暴論には慣れっこのようです。朱野さんも涼やかな顔で受け流しています(内心はわかりません)。

「この小説はワシが育てた」と語る高井さん(右)と、苦笑する朱野さん(中央)。

高井さんいわく、当初のゲラでは広報課の高峰浩二が深海への想いを語る場面に「全然説得力がない」と思ったのだとか。「でもこの小説を映像化までもっていってJA●Aを吹っ飛ばし、〈しんかい12000〉の建造につなげようと考えていたので、懇切丁寧にアドバイスした」と続けます。小説刊行後、思えばその野望が着々と実現しつつある今、高井さんのすごさ(と恐ろしさ)を感じずにはいられません。

話題は『海に降る』のその後とも言える、深海探査最前線にうつります。
「深海における生命の宝庫である熱水噴出孔。これを、広大な海の中から高速かつ低費用で見つける方法を僕たちJAMSTECは開発しました。ドラゴンボールに出てくるスカウターみたいなもんです」
「僕がとなえているのは〈沖縄トラフ熱水活動頻度世界最強伝説〉。沖縄トラフの周辺は誰もまともに調べていないけれど、熱水噴出孔が世界一存在している可能性がある。おそらく200ぐらいあるのではないかと睨んでいます」
ひとたび科学の話を始めると、その面白さに我々聴衆は夢中になってしまいます。第一線で活躍する研究者の論を間近で聴ける、贅沢な時間でした。


・爆笑を呼ぶスケーリーフット研究者
つづいてJAMSTECの若手研究者で、朱野さんが深海界の次世代アイドルと目すChong Chenさん(スケーリーフット研究者)が登壇です。子供の頃に日本に住んだことのあるチェンさんは流暢な日本語で話しだし、ネットスラングを巧みに織り交ぜたプレゼンで客席を爆笑の渦に巻き込んだのでした。

スケーリーフットの魅力について語るチェンさん(中央)。

深海の熱水噴出孔でスケーリーフットが発見されたのは2001年のことです。足を硫化鉄のウロコでおおったこの不思議な貝は、ずっと正式な学名が付かず、仮の名前がスペルを誤って広まったままだったそう。それを正したいと思ったところからチェンさんの闘いが始まりました。簡単なことのようで実は大変なことらしく、22歳の若造が世界の大御所科学者と渡り合うことになってしまいます。「そりゃプレッシャーはありましたよ。一晩眠れなかったです」(ひ、一晩!?)
その甲斐あって見事、正式な学名の名付け親になることができたのでした。
(さらに詳しい情報はこちらのブログがわかりやすいです↓
スケーリーフットの名前が決まるまで15年もかかった衝撃の理由/おち研


・もう深海にハマるしかない
最後はふたたび朱野さんのプレゼンです。お題は、さっき褒め称えたはずのJAMSTECの暗部について……。
「JAMSTECという組織はとても怖ろしくて、ひとたび深海に興味がある素振りを見せると決して離してくれないんですよ。あの暗黒組織はファンに飢えているんです!」という言葉に、真顔で大きくうなずく観客の皆さん。どうも深海マニアの世界はとてつもない闇に満ちているようです。しかしひとたび潜ってしまえば幸せなのはみなさんの顔つきから明らかで、だんだん羨ましくなってきました。

みなさんも小説『海に降る』を入り口に、ディープな深海の世界にハマる覚悟を固めてはいかがでしょうか。

〈文/前田香織(幻冬舎)〉
次回の記事は10月18日(日)公開の予定です。
 

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