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2015.10.06

第12回

お葬式も結婚式も賑やかなのがベトナム流

小原 祥嵩

お葬式も結婚式も賑やかなのがベトナム流

故人と関係ない人も立ち寄るベトナムのお葬式

ホーチミンという街はとかく騒々しい街です。ひっきりなしに往来するバイクや車の大群からは排気音とクラクションが鳴り響き続け、路上に面した店舗では呼込みのためなのか音量調整が利かないのか分からないけれど、会話もままならないほどの大音量の音楽が特大スピーカーから流れてくる。そんな環境なので自ずと人々の話し声のボリュームも上がり、喧嘩でもしてるのかなと思うほどに張り上げた声の応酬がそこかしこで見受けられます。さらに日が暮れても騒々しさは衰えることはなく、飲みに出かければ大音量でクラブミュージックが響き渡る飲み屋が軒を連ねるなど、ますます騒々しさに拍車がかかるばかり。この様子をして人々に「ベトナムは活気がある」「経済成長期の日本のようだ」と言わしめているわけです。

そんなホーチミンも深夜になると少しずつ騒々しさがトーンダウン。草木も眠る丑三つ時にはさすがのホーチミンも人気が途絶え、静かな夜の帳が降り、ようやく街は眠りにつくのです。

 

眠らない街、ホーチミン

と、ようやく訪れた眠りを切り裂くように、ジャジャーン! とラッパや太鼓の音が鳴り響くことがあります。

はじめてこの音を聞いた時は素破なにごとか! と思わず飛び起きました。時計を見ると朝5時。こんな時間に楽隊の演奏とは、いくらホーチミンが騒々しいとはいえ度が過ぎている。(野球の応援団が鳴らすラッパや太鼓の音をイメージしてください。)これはガツンと言ってやらねばと思ったのですが……実はこれベトナムの伝統的なお葬式の一幕なんです。この楽団の演奏は出棺時に行われ、死者を弔い、次の世に送り出すための魔除けの意味があるそうです。また、出棺時の楽団の演奏だけでなく、故人を偲び一晩中カラオケを歌い続けることも少なくありません。さらにベトナムでは親族・知人を問わず訪れた弔問客は誰でも料理を用意してもてなします。葬儀が行われている家の前にはケータリングの会社がテントを張り、簡易の調理場からせっせと弔問客に料理を給仕をします。葬儀は家の面した道路にせり出して行われるので、故人とは直接関係のない人が食事をしていくこともあるんだとか。ちょっと想像できないですよね。

そんなベトナムは国民の8割が仏教徒です。それもタイやミャンマーのような寺や仏像が金色に輝くド派手なイメージの上座部仏教ではなく、日本と同じく大乗仏教が伝播しています。ただ、伝搬した仏教は同じですが、しめやかに厳粛に行われる日本の葬儀とベトナムのスタイルは大きく異なりますね。これはベトナムでは儒教や道教と混ざり合いながら仏教の教えが拡がっていったためです。ベトナムのガイドブックなどを見るとベトナムは日本と同じ大乗仏教と書いてあることがありますが、実際人々の暮らしを見てみると、その国特有の作法や所作があるものです。

  

結婚式は見栄の張り合い? 300人超の披露宴

さて、賑やかしいのは葬儀だけではありません。

平均年齢28歳と若い世代の多いベトナム。結婚式が賑やかになるのは当然と言っていいでしょう。皆さんがベトナムに旅行に来られた時に披露宴に参加する機会を得ることはさすがに難しいかもしれませんが、街中を歩けばそこかしこでドレスに身を包んだ花嫁とビシっと正装した花婿が写真撮影をしている姿をそこかしこで見かけると思います。

 

新郎新婦入場を彩るダンサーとド派手な演出

ベトナムの披露宴はその規模の大きさに驚かされます。近年では大規模な披露宴会場が次々とオープンし、大きな会場を貸し切って300人規模の披露宴が開かれるのもざらです。前述の葬儀の弔問客ではありませんが、披露宴に列席するのは親族友人、会社の関係者に留まらず、友達の友達までとにかくみんな祝いに来てよ!とオープンなのがベトナムスタイル。日本では日取りが決まったら前もって出席をお願いすると思いますが、ここではフランクに「明後日いとこの披露宴があるんだけど良かったらどう?」と直接会ったこともない人のパーティへのお誘いを突然受けることもしばしば。友人の披露宴に参加した時には隣に座った男性に「今日って誰が結婚するの?」と聞かれた時には本当に驚きました。

それにしても、どうしてそこまでして多くの客を呼ぶのかと不思議に思い、ベトナム人の友人に聞いてみたところ、「結婚は家族同士の面子がかかっている。どれだけ多くの人を招待できるかで、その家の豊かさやコネクションの強さを誇示するのさ」とのこと。なるほど、さすが見栄と面子の国と唸らされました。

 

純白のドレスに身を包んだ花嫁と緊張の面持ちの新郎

嬉しいことも悲しいことも皆で分かち合おうというベトナムの人々の人生観はとかく下を向きがちな我々日本人としては少し見習ってもいいかもしれませんね。

ところで、過日、私は家族の結婚式・披露宴に参加するために日本に一時帰国しました。爽やかな秋晴れの下、両家の親族のみが参加しアットホームで笑顔の絶えない時間を過ごしました。ベトナムの友人たちには驚かれるような規模かもしれませんが、参加者それぞれがお互いの顔を見ることができ、それぞれの声が届く距離の方が、新たな家族誕生のお祝いの席としてはしっくり来るなあと個人的には思います。

それではまた!

 

 

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