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2015.10.03

『海に降る』ドラマ撮影現場潜入ルポ〈前編〉

原作者が見た、ドラマ撮影現場での有村架純さん

朱野 帰子

原作者が見た、ドラマ撮影現場での有村架純さん<br />

「読後感が爽やか」「深海生物に会いたくなった」「秀逸な幻想文学」「元気になれるお仕事小説」――。2012年の発売以来、多くの読者を惹きつけた人気深海小説『海に降る』(朱野帰子・著)がこのたび文庫版になりました。有村架純主演での連続ドラマも放送決定!(WOWOWにて2015年10月10日よる10時~〈全6回〉放送予定)ここでは『海に降る』文庫版がさらに楽しく読める情報をお知らせします。

有村架純さん、井上芳雄さんら豪華俳優陣が出演するWOWOW「連続ドラマW 海に降る」の撮影現場に、原作小説『海に降る』著者である朱野帰子さんが潜入しました。その模様を朱野さん自身の手によるイラストとエッセイで紹介します。作家の目に、ドラマの撮影現場は果たしてどのように映ったのでしょうか!? 
 

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絵:朱野帰子
 

「ディレクターさんが撮影現場を見に来てくださいっておっしゃってます」
というメールが、担当編集者のカオリンから来たとき、私は迷った。原作者が現場に来ることほど気を遣うものはないというじゃないか。ここは遠慮するのがクールなのではないだろうか。でも見てみたい。あの海の職場でどんな撮影が行われているのか知りたい。できれば透明人間になりたい。悩んだあげく、「文庫の見本をお渡しする、というテイを装って行きたいんですが……」と腰砕けの提案をして、見本が刷り上がる七月中旬に見学に行くことにした。

 当日、はるばる追浜まで、文庫本をどっさり入れた重そうな紙袋をさげてやってきた担当編集者を見て、申し訳ない気分になった。私が体裁を気にしたばっかりにごめんよ、カオリン……。追浜駅からタクシーに乗り、夏島貝塚を眺めながらドラマの舞台になる深海の研究所、JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)へ向かう。この道の先には、永遠の夏休みがあるようで、いつもどきどきする。
 

横須賀本部の中に入ると巨大な船たちがお出迎え。写真は手前に停泊していた半没水型双胴船〈かいよう〉。


 深海潜水調査船の整備場に一歩入ると、そこは本格的な撮影スタジオに変貌していた。〈しんかい6500〉はいない。俳優さんたちとの撮影をすでに終えて、マリアナ海溝へ出かけてしまったのだ。彼女がいつも白いボディを煌めかせて休んでいる場所には、耐圧殻のセットが置かれていた。実物の1.5倍の大きさに造られたというそれをドキドキしながら覗かせてもらう。耐圧殻の模型はいくつか見たことがあるけれど、そのなかでも群を抜いて精巧だ。液晶モニターまで本物。金比羅さんのお札もちゃんとある。つい「このセット、撮影が終わったらどうするんですか?」としつこく聞いてしまった。(※その後、このセットは新江ノ島水族館に置かれ、公開されることになった)

 



ドラマ撮影に使われた本物のセットが、新江ノ島水族館に展示されている。展示予定は11月下旬まで。(写真提供:新江ノ島水族館)


 まず、主演の有村架純さんに紹介していただいた。深雪の衣装(スーツヴァージョン)に身を包んだ有村さんは「わぁ〜!」ととびきりの笑顔を浮かべてくださった。一方、こちらは作家といっても、普段は家と保育園とスーパーの三角地帯からめったに出ないただの主婦だ。憧れの女優さんの目の前に立っているという幸せをどう表現していいかわからない。「楽しみにしています」と、月並みなことを言って、文庫本をさしだすのがやっとだった。

 高峰役の井上芳雄さんにも挨拶させていただいた。白いシャツの上に紺色のカーディガンという研究者の衣装に身を包んだ井上さんは、「(小説を書くときは)どのように取材をされたのですか?」と質問してくださった。緊張のあまり、咄嗟に「あっ、もともとマニアなので」と答えてしまった。井上さんは「マニアなんですか……」と考えこむようにつぶやいていた。困惑したのかもしれない。もっと作家らしい答えようがあったのでは。後でひとり反省会をしなければならないと思った。

 神尾役の筒井道隆さんは、潜航長の衣装がとてもよく似合っていた。配役を聞いたときから絶対に似合うだろうと思っていたが、まさかここまでとは思わなかった。開口一番、「僕ね、マニピュレーターの操作が随分うまくなりましたよ」とおっしゃったときは、実は俳優は仮の姿で、本当はここに勤めているのではないかと疑ったほどだ。「朱野さんは推進器が一つの旧型と、二つになった新型と、どっちが好きですか」と、すっかり〈しんかい6500〉に詳しくなっている筒井さんのうしろで、深海探査ファンの拡充のために日夜策略を練っている、JAMSTEC広報課の吉澤さんのメガネが不敵に……いや、とてもうれしそうに光っていた。

 

〈おまけ〉整備場のトイレで発見。しんかいの絵が描かれた袋に入っている。遊び心があって素敵。

 

後編につづく! 灼熱の撮影現場で朱野さんはなにを見た!?
後編は10月8日(木)公開の予定です。

 

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