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2015.10.19

『男尊女卑という病』試し読み

友達夫婦の前で
妻を見下す夫の本心は?〈第4回〉

片田 珠美

友達夫婦の前で<br />妻を見下す夫の本心は?〈第4回〉

男性が女性を軽んじてしまう様々なケースの分析から、男女が歩み寄る糸口を探る『男尊女卑という病』。静かに熱く注目される本書から、その一部を抜粋してお届けします。
第4回は、友達の前で、夫からバカにされて悩む妻のケースから。夫は冗談で言っているのか? 本当に蔑んでいるのか? 背後にある心理メカニズムを探ります。

 

 妻を人前でバカにする夫
 公の場では一見ソフトな印象で、女性に理解を示していても、家に帰れば内弁慶(うちべんけい)で、あからさまに妻を見下す態度をとる男性もいる。

 たとえば、結婚して間もない20代後半の専業主婦の女性は、夫に頼まれた物を買い忘れたり、道に迷って待ち合わせ時間に遅れたりすると、「なんでこうなるの?」「どうしたらこんな簡単な道で迷えるの?」などと小バカにされ、そのたびにみじめな気持ちになっていた。

 友達夫婦と集まった飲み会でも、妻を貶(おとし)めるような話を彼は平気でする。妻を話のネタに場を盛り上げているつもりかもしれないが、面白い話でもない。周囲が微妙な空気になっているのに、デリカシーのない夫は気づかない。結婚する前は優しかったのに……とその女性は悩んでいた。離婚するほどの理由ではないにしても、毎日言われ続ければさすがにつらい。結婚している間中、私はバカにされ続けなければならないのかと悶々としているという。

 夫に普段から見下され、おまえは何もできないとか、バカとか豚とかそういった言葉を浴びせられて悩んでいる女性は結構いる。夫は笑いながら言うこともあるし、妻は夫に愛着もあるので、彼が愛情を持って言っているのか、本当に蔑(さげす)んで言っているのか、よくわからない。だから困るし、悩んでしまうわけである。

 このような夫は、なぜ当たり前のことのように、日常的に妻を軽んじる言動をとってしまうのか。

 一つ考えられるのは、その男性自身も職場で上司や同僚に見下されたり、小バカにされたりしている可能性があるということだ。男性は、自分が受けたのと同じ仕打ちを、自分より弱い対象──ここでは彼の妻──に加えることによって、攻撃された時に抱いた無力感や屈辱感、不安や恐怖を乗り越えようとしている。フロイトの娘アンナ・フロイトが「攻撃者への同一化」と名づけたメカニズムである(外林大作訳『自我と防衛』誠信書房)。

 いじめられっ子が自分よりさらに弱い者をいじめて、いじめっ子に変わるプロセスや、虐待を受けていた子供が大人になって自分の子供に暴力を振るう過程でも、このメカニズムは表れる。

 その男性は今の職場で、「なんでこんなこともわからないんだ」「ダメなヤツだな」などと上司にあきれられ、女性社員にもバカにされているのかもしれない。あるいは子供の頃から、おまえはダメな子だと親にさんざん蔑まれて育ってきたのかもしれない。言われたことへの怒りや不安を、その原因を作った上司や親に対して直接表すことができなければ、自分より立場の弱い者に向け変える「置き換え」によって発散するしかない。

 ただこれは無意識の行動なので、男性には、妻を傷つけているという自覚も、妻が嫌がっているという認識もない。

 だから女性の側としては、本当に嫌なら「傷つくからやめてほしい」と夫にはっきり言うべきである。我慢し続けると、鬱(うつ)になったり、消化器系の病気になったり、じんま疹(しん)が出たりして、心身の症状の形で表面化することもある。先の奥さんはまだ結婚したばかりだが、夫のこうした仕打ちに40年も50年も耐え続け、離婚を決断できないまま体調を崩してしまう女性も少なくない。

 

最終回「週末になると動悸や不安がとまらなくなる60代女性の例から」は、10月22日(木)公開予定です。

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人前で妻をバカにする夫、「男の責任者を出せ」と騒ぐ男性客、女性上司に反発を覚える男性社員、女性の結婚・育児・家事にまつわる社会の無言の束縛や圧力……。男女平等社会は当然と思われるようになった今もあちこちで目にする男性優位の“上から目線”。なぜ今も? 家庭や地元で刷り込まれたからか? 無意識か? そこに潜む意外な心理的病理を、注目の精神科医が分析。男と女のわかりあえなさを踏まえつつ、お互いが歩み寄る糸口を探る、新しい男女の解剖書。

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