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2015.10.10

『男尊女卑という病』試し読み

夫婦同姓、育児負担、女性活用アピール…日本の男女平等は見せかけなの?〈第1回〉

片田 珠美

夫婦同姓、育児負担、女性活用アピール…日本の男女平等は見せかけなの?〈第1回〉

 男性が女性を軽んじてしまう様々なケースの分析から、男女が歩み寄る糸口を探る『男尊女卑という病』。静かに熱く注目される本書から、その一部を抜粋してお届けします。実際、悩まされている人も、そうでない人も、長年モヤモヤしていたものがスッキリするヒントが、本書で見つかるはず。
 最近は、女のほうが強くなったと言われますが、夫婦が同じ名字を名乗る「夫婦同姓」が世界からあらためて批判されたりと、隠れたところに根強い男女の問題がまだまだ潜んでいるようです……。

 

 

 男女平等が叫ばれて久しいが、実際には必ずしもそうなっていないと感じることが少なくない。

 たとえば、タレントさん同士の夫婦の場合、妻のほうが売れていて、夫のほうはそれほどでもないと、「格差婚」などと揶揄(やゆ)される。妻が出産後間もなく仕事に復帰して、夫が育児に専念する意向を示すと、「ヒモ夫」呼ばわりされることさえある。

 男女逆だったら、こうはならない。妻がいくら売れっ子だったとしても、家事や育児に専念して夫を陰で支えるのはむしろ美徳とされる。結婚を機に引退してから、一切表舞台に出なかった山口百恵さんがいまだに理想とされているのも、その表れのように見受けられる。

 もちろん、出産も授乳も原則として女にしかできないので、出産をはさんで一定期間妻のほうが産休や育児休暇をとることは必要だろう。ただ、その後は夫が育児に専念して、妻が稼ぐという選択肢があってもよさそうなものだが、わが国ではまだ少数派で、そういう選択をした夫婦は「変わり者」と見なされることが多い。

 共働き夫婦が増え続けており、今や1000万世帯の大台を突破しているが、それでも「夫が外で働き、妻は家庭を守る」スタイルへの支持がいまだに根強いことも最近の調査であきらかになっている。

 2015年3月に実施された調査で、「パートナー(結婚相手)に求めるものは主に家事力と稼ぎ力のどちらですか」という質問に対して、女性の87%が「稼ぎ力」と回答している。一方、男性の68%が「家事力」と答えているので、大多数の男女が「夫が外で働き、妻は家庭を守る」ことを理想にしている実態があきらかになったのである(フリーキャリア総研調べ)。

 特に若い世代では、共働きでなければ家計が成り立たないこともあって、「サラリーマンの夫と専業主婦の妻」という高度経済成長期の家族モデルは大きく変貌しつつある。また、「家事メン」や「イクメン」もマスコミでもてはやされている。それでも、女性の側からは、「家族を支える大黒柱はやはり夫であってほしい」という声が、男性の側からは、「妻に家庭を守ってもらうことで、安心して仕事ができる」という声が寄せられているところを見ると、昔ながらの家族のあり方はなかなか変わらないのかなと思う。

 おそらく、その背景には、希望の職種に就けないとか、職場でいつでも取り替え可能な「部品」としか見なされないとか、昇進に「ガラスの天井」があるといった女性の不満が潜んでいるのだろう。こうした不満を抱えながらクタクタになって働き続けるよりも、家庭に入ったほうが幸せになれると感じているのか、若い女性の専業主婦願望が最近高まっているという。

 このような生き方を非難するつもりは毛頭ない。ただ、夫に経済的に依存せざるをえない状況は、様々なリスクをはらんでいることを忘れてはならない。夫がリストラされるかもしれないし、夫が浮気して他の女のもとに走るかもしれない。あるいは、経済力のない妻だったら逃げられないだろうとたかをくくった夫からモラハラやDV攻撃を受けるかもしれない。

 もちろん、経済力だけが男女平等の指標ではない。だが、ひと昔前に「戦後、強くなったのは女性と靴下」というフレーズが流行したが、女性が強くなった最大の要因は、経済力をつけて自立できるようになったことである。

 そういう視点から日本をながめると、男女の賃金格差がなかなか縮まらない現状が浮かび上がってくる。男性と比べた女性の給与は、いまだに7割の水準にとどまっており(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)、欧米諸国の8~9割と比較すると、賃金格差がより大きいことがわかる。だからこそ、シングルマザーの貧困が社会問題になるのだろう。

 まあ、男女平等に関しては世界で一番進んでいるように見えるアメリカでも、男女の賃金格差はあるので、完全なる男女平等への道はかなり険しいのかもしれない。

 そのためだろうか、最近、アカデミー賞女優のメリル・ストリープが男女平等憲法修正条項のサポートを促すべく、アメリカの国会議員全員に手紙を送ったという。また、ミシェル・オバマ大統領夫人と対談した際に、「私たちは平等なように見えているわ。でも実際はまだそこにはたどり着けていないのよ」と語っている。

 すべてを手に入れたように見えるメリル・ストリープさえ、こんなふうに感じているくらい、男女平等の実現が難しいのだとすれば、その理由は一体何なのかを分析するのが本書の目的である。

 断っておくが、私はフェミニストではない。むしろ、フェミニストの主張に対しては批判的なまなざしを向けている。男女の違いをいったん受け入れて、男女の間にはわかりあえなさがあることを認めたうえで、お互いに生きやすい社会を築くにはどうすればいいのかを考えようというのが、私の立場である。

 また、いいか悪いか、正しいか間違っているかという価値判断は、できるだけ控える。このような価値判断は保留にしたうえで、目の前にある様々な出来事や騒動を取り上げて、精神分析的にはどのように捉えられるのかを論じていくことにしたい。

 まず第1章で、男尊女卑の感覚が無意識のうちに表れている言動を取り上げる。次に第2章で、その背景に潜んでいる男性優位を容認する社会心理について分析し、さらに第3章で、男性優位は無意識なのか、それとも学習したものなのかについて論じる。

 第4章では、社会の男女平等観の変遷を振り返り、第5章では、男女の違いをどう捉えればいいのか、具体的な事例にもとづいて分析する。

 最後に第6章で、男尊女卑のスパイラルに陥らないための処方箋を提案したい。
 あなたが、職場や家庭で男女間のわかりあえなさを何となく感じており、そのために悩んでいたら、是非お読みいただきたい。

 

 試し読み第2回「責任者は“男性”と思い込む人たち」は、10月13日(火)公開予定です。

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