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2015.09.30

第2回

物事は「タテとヨコ」「国語ではなく算数で」考える

出口 治明

物事は「タテとヨコ」「国語ではなく算数で」考える

 60歳にして戦後初の独立系生保を開業した起業家であり、ビジネス界きっての読書家でもある、ライフネット生命株式会社代表取締役会長兼CEOの出口治明さん。
 その出口さんの新刊『人生を面白くする 本物の教養』が、本日9月30日に発売になります。刊行を記念して、本の読みどころを5回にわたってご紹介する、「出口塾」を開講します。

 第2回はまず第3章「出口流・知的生産の方法」から抜粋。《教養には「知識がある」だけでは不十分で、それに加えて「自分の頭で考える」ことが不可欠です。》と述べられたあと、以下のように続きます。

 *** 

 物事を考えるには、いくつかのコツがあります。その第一は「タテ」と「ヨコ」で考えるということです。「タテ」は時間軸、歴史軸、「ヨコ」は空間軸、世界軸です。「タテ」と「ヨコ」で考えることは、時間軸と空間軸という二つの視点を交えて、いわば二次元で考えるということです。

 たとえば、戦後の日本はきわめて特殊で幸せな時代だと言いました。「タテ」と「ヨコ」を組み合わせて考えると、そのあたりの事情がより明確に見えてきます。

「タテ」の視点を千年単位に伸ばし、「ヨコ」の視点を隣国・中国に向けてみましょう。

 中国は四千年もの長い歴史を持つ国ですが、その長い歴史において平和で豊かだった時代(盛世)がどれだけあったのかというと、わずか四回しかありません。最初は文景の治(紀元前一八〇~紀元前一四一年)と呼ばれる時代で、前漢の文帝と景帝の治世です。次が貞観(じょうがん)の治(六二七~六四九年)で、唐の太宗・李世民の時代。その次が開元の治(七一三~七四一年)で同じく唐の九代皇帝・玄宗の時代の前半です。そして最後が清の康熙帝、雍正帝の時代(一六六一~一七三五年)です(なお、乾隆帝の時代の前半を含める考え方もあります)。四回の盛世を合計してもたった二百年足らずです。

 それから考えると、戦後の日本が曲がりなりにも七十年間平和で豊かな時代を享受できたのは、奇跡的に幸運なことだったと考えられます。このように「タテ」と「ヨコ」の視座を持つことで、歴史的、世界的な見方が可能となり、物事の本質をよりはっきりととらえることができます。

 また、人間は神様ではありませんから、その知恵にはおのずと限りがあります。パーフェクトな考えを一回で思いつくことはまず不可能です。「タテ」の発想で先人が繰り返した試行錯誤から学び、「ヨコ」の発想で世界の人々の考えや実践法を学ぶことは、大きなヒントになります。時間と空間を乗り越え、市場の淘汰(とうた)にさらされてなお残っているものは、合理的な最適解である確率が高いのです。

 第二に、「国語ではなく算数で」考えるという視点が重要です。これは要するに定性的な発想だけではなく定量的に物事を考えてみようということです。

 物事を「国語」で考える、すなわち定性的に考えると、物事の筋道を見出すことはできますが、事実の有無、事柄の大小や軽重、相互の関係などは必ずしも明確にはなりません。そのため、筋道が成り立ちさえすれば、どんな理屈でも言えてしまうという一面があります。

 それに対して「算数」で考える、つまり定量的な視点を加味すると、物事をより正確に把握することができます。

 たとえば、よく「外国人が増えると犯罪が増える」と言う人がいます。外国にはすごい犯罪組織があって、そういう連中がやってきたら日本は大変なことになる、といった趣旨なのでしょう。そのように言われると、定性的に考えてつい「あ、そうかも」と思ってしまうかもしれませんが、本当なのでしょうか。

 この十年間の状況を定量的に見れば、実際どうなっているかが分かります。日本に居住する外国人の数が増えているのに対して、犯罪の発生件数はじつは減少しています。つまり、定量的な事実としては、「外国人が増えると犯罪が増える」という理屈は成り立たないのです。

「外国人が増えると犯罪が増える」という見解を「国語」だけで考えると一見ありそうに思えますが、「算数」で考えると間違った命題であることが明らかになります。「国語ではなく算数で」というのはそういう意味です。

 このように、物事を考える際には理屈だけではなく、常に数字(データ)を参照して考えることが重要です。数字に基づかない理屈は説得力を欠いていると疑うべきです。

 ***

 このような物事の考え方、そして出口さんの生き方は、何によって培われたのでしょうか?

 

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