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2015.09.13

第2回 『海に降る』原作者特別インタビュー・中編

有村架純主演の深海ドラマ 海洋の現場で働く人たちからの感想とは?

朱野 帰子

有村架純主演の深海ドラマ 海洋の現場で働く人たちからの感想とは?<br />

「読後感が爽やか」「深海生物に会いたくなった」「秀逸な幻想文学」「元気になれるお仕事小説」――。2012年の発売以来、多くの読者を惹きつけた人気深海小説『海に降る』(朱野帰子・著)がこのたび文庫版になりました。有村架純主演での連続ドラマも放送決定!(WOWOWにて2015年10月10日よる10時~〈全6回〉放送予定)ここでは『海に降る』文庫版がさらに楽しく読める情報をお知らせします。

『海に降る』文庫化記念として、朱野帰子さんに執筆当時の思い出や、文庫化・映像化にあたっての本音を語っていただくインタビューの中編です。前編では朱野さんが深海を好きになったきっかけや、深海を小説のテーマに据えることになった経緯を伺いました。中編では、朱野さんにとって思い入れのある登場人物や、読者の方からの意外な反応が明らかに!

前編はこちら


――単行本の刊行は2012年1月でした。文庫版の刊行は2015年7月なので、この間に深海をとりまく状況にも変化があったと思いますが、文庫版ではどのように手を加えましたか?

朱野:まずひとつ目は、私自身が成長したということがあります。単行本を執筆した当時は「調べたことを伝えたい!」ということと、「深海や深海探査が好きだ!」という気持ちが暴走してしまい、今読むとあちこちにアラが目立ちました。ひとりよがりだったり、説明がへただったりするところを、3年後の私が「ここはもう少し冷静に」「ここはわかりやすく書いたほうがいいよ」と手直ししてあげた、という感じです。ただ、暴走によって生まれた熱量も捨てたくはありませんでした。今の自分にはとてもだせない力なので、そこは残すように心がけました。
 あともうひとつ、単行本が出た当時には深海に興味がある人が周りにほとんどいませんでしたし、JAMSTEC自体も全く知られていませんでした。だから当時は「深海とは何か」「JAMSTECとは何か」を伝えることにかなり力が入っていたのですが、3年経って、深海に興味を持つ人も増えたので、説明過多な部分は削りました。
 また、物語の舞台は2012年当時のままにしてあります。「しんかい6500」のスペックや取り巻く状況も当時のまま。次世代探査機の名前のみ「しんかい11000」から「しんかい12000」に変えました。単行本刊行直後に潜水能力の目標が修正されたからです。万が一地殻変動が起こって11000メートルより深い部分が現れたときのために12000メートル潜れるようにするみたいです。万が一地殻変動が起こって……ってできれば人間の住んでないところでお願いしたいですけど

――本書には魅力的な登場人物がたくさん出てきますが、なかでも朱野さんにとって思い入れのある登場人物はいますか?

朱野:広報課職員の高峰浩二に一番思い入れがあります。小説の構想を練っていたころ、まずはどうやったら深海に興味を持ってもらえるかを考えました。そこで、「一般人が潜水船に乗って深海に行こうとする」話にしようと思ったのです。
 高峰は転職してきたばかりの広報課職員で、科学者でもなければ調査船のパイロットでもありません。そういう普通の人が深海に行こうとするなら、どういう方法があるかをものすごく考えたので、高峰の設定にはとても思い入れがあります。
 10月からのテレビドラマでは、彼は研究者になっていますが、これもまた時代の趨勢に合っているなと思いました。深海に興味を持っている人がかなり増えましたから、それにともなって、よりディープなストーリーが楽しめるのではないかと思います。


――『海に降る』を読んでくれた方の感想で印象に残っているものや、意外だった感想というのはありますか?

朱野:「それまで深海にまったく興味がなかったけど、読んだ直後にいてもたってもいられなくなって、JAMSTECに見学に行っちゃったよ」という人が、知人に何人かいたことが、もっとも印象深かったです。「面白かった」って言われるのがもちろん一番嬉しいんですけど、でも、自分の書いた話で実際に人が動いてくれるって嬉しいですよね。必ず見学に行ってくれということではないですけど(笑)。
「深海探査の現場がリアルに書かれている」という感想もいただきました。とはいえ、海洋科学の現場で働く方々からは「こんなのお話の世界だよね」と思われるのでは、と内心覚悟していました。ところが意外にも、現場に近い人たちが一番喜んでくださいました。彼らの方がむしろエンターテインメントに寛容だったというのが意外でした。
 無人探査機の高名な研究者の方がツイッターで『海に降る』の感想をつぶやいてくださったこともありました。多岐司令が夢を語る場面について「俺もこういうことを言ってみたい」とおっしゃっていて、それも意外でした。書き手である自分は「現実の人間はここまでかっこつけたこと言わないだろうな……怒られそうだな……」と思いながら書いてたりするんですけど、本職の方々はそのぐらいの熱い気持ちを持って仕事をしているんですよね。現実の方が小説以上にロマンチックだったり、情熱的だったりするのかもしれません。

インタビュー後編につづく!「原作とドラマで筋が変わるのは嫌じゃないですか?」という問いに、朱野さんはどう答える?
後編は9月18日(金)公開の予定です。
 

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