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2015.09.08

第1回 『海に降る』原作者特別インタビュー・前編

有村架純主演ドラマの舞台が“深海”になった理由

朱野 帰子

有村架純主演ドラマの舞台が“深海”になった理由<br />

「読後感が爽やか」「深海生物に会いたくなった」「秀逸な幻想文学」「元気になれるお仕事小説」――。2012年の発売以来、多くの読者を惹きつけた人気深海小説『海に降る』(朱野帰子・著)がこのたび文庫版になりました。有村架純主演での連続ドラマも放送決定!(WOWOWにて2015年10月10日よる10時~〈全6回〉放送予定)
ここでは『海に降る』文庫版がさらに楽しく読める情報をお知らせします。


2009年にダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞した『マタタビ潔子の猫魂』を皮切りに、『真実への盗聴』『駅物語』『真壁家の相続』と話題作を送り出し続け、注目を集める作家・朱野帰子さん。今回は『海に降る』文庫化記念として、執筆当時の思い出や、文庫化で工夫したところ、映像化にあたっての本音を語っていただきました。『海に降る』を未読の方も既読の方も、お見逃しなく!


――『海に降る』文庫版の刊行、おめでとうございます! この本の読みどころといえば、深海や深海生物の描写がリアルで楽しいという点があります。かなり詳しく調べたり取材なさったりしたと思いますが、朱野さんはいつから深海に興味を持ったのですか?

朱野:私が最初に深海の世界に興味を持ったきっかけは、新江ノ島水族館の「クラゲヒーリングナイト」という、夜の水族館にお泊りするツアーでした。2008年ごろだったと思いますが、会社の同僚たちと一緒に行ったんです。ところが全然クラゲに興味が持てなくて(笑)、夜の水族館をプラプラ歩いていたら、暗い水族館の中でもひときわ暗いコーナーを見つけました。
 水槽をじっと見ていても、生き物がいないんです。これはきっと展示替え中のコーナーだろうと思いました。ところが脇に「チューブワーム」と説明書きがあるのを見つけて、どうやら水槽の中の、古い水道管みたいな細い管が生き物らしいとわかって驚きました。自分の認識している生物とはまったく違う形態のものたちがいる、それも海の底にいるんだ! と思いました。

J-EDI(深海映像・画像アーカイブス)/JAMSTEC
↑「チューブワーム」で検索すると画像が見られます。

 それで次の朝に水族館の売店で『深海生物ファイル』(北村雄一氏著 ネコ・パブリッシング刊)という本を買って、早速帰りの電車で読みました。深海生物の写真やイラストが載っている本で、浅海の生き物とはまったく違う、今まで自分が考えていた生命の概念を覆すような生物がたくさんいるもんだな、と衝撃を受けたのを覚えています。「しんかい6500」という深海に潜れる船があるということも、この本のコラムで知りました。
 それからしばらくして、「飛び出せ!科学くん」というテレビ番組でしょこたん(中川翔子さん)が深海に潜るのを偶然観ました。「深海は科学者やその世界のプロじゃない人でも潜れるんだ」と知って、その点は同じ極限環境でも訓練を受けた人しか行けない宇宙と違うな、と印象に残りました。

――そうやってだんだんと深海への興味が増していったのですね。小説の舞台はJAMSTEC(海洋研究開発機構)という深海や気候、地殻など海に関することを研究する機関ですが、JAMSTECについてはどんなきっかけで知ったのですか?

朱野:新江ノ島水族館でチューブワームに出会ったときに、帰ってすぐにJAMSTECのサイトを見たんです。すぐには理解できないような難しい研究紹介が多くて、知りたかった深海生物の話もほとんどなかったけれど、とりあえずメルマガに登録しました。
 しばらく経ったころ、JAMSTECの調査船「みらい」が北極航海に出るとメルマガで知り、「『みらい』への質問をなんでも募集します」とあったので、何の気なしに「北極にはどんな面白い生物がいますか?」って書いてメールを送りました。そしたら、しばらくして洋上の船から直接メールが届いたんですよ! 「巨大なクリオネがいました」と書いてありました。
 まさか直接メールが返ってくるとは思いませんでした。サイト上でQ&A方式で回答されるものと、普通は思いますよね。巨大なクリオネよりも、大きな機関のわりに、ずいぶん一般人との距離が近いなと、そっちに驚いてしまいました。へんな組織だなと。それがJAMSTECという組織に関する第一印象です。

――そうやって徐々に知っていった深海やJAMSTECのことが、『海に降る』という物語につながるきっかけはあったのですか?

朱野:それからはずっと、うすく、深海生物が好きでした。そんな中、作家としてデビューして1年目のころ幻冬舎の編集者さんから声をかけてもらって、「女の子が成長する胸キュンストーリーを書いてほしい」と言われたんです。
 かなりいろんなプロットを考えて提出しましたが、どれに対しても反応はあんまりよくなくて。もう出すものがない……と思いながらも次の案を絞り出した中に、自分が好きな深海についての話をこっそり入れておきました。「しんかい6500に主役の女の子が乗って深海に潜る」というざっくりしたイメージしかまだ考えていなかったですけど。すると、その深海ネタだけに編集者さんが食いついて、そのまま正式に企画がスタートしたんです。
 そうなったらもうやるしかないですから、専門用語がずらずら羅列されているJAMSTECのサイトにめげずに挑んだり、個人見学ツアーに行ったり、本をたくさん読んだり、パソコンの壁紙を「しんかい6500」にしたり、グッズを買ってみたりして、積み将棋を崩していくように少しずつ少しずつ、深海について理解していったという感じですね。



インタビュー中編につづく! 朱野さんが意外だと思った読者からの感想とは?
中編は9月13日(日)公開の予定です。
 

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朱野帰子『海に降る』
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