こんなにガツンとやられっぱなしとは(國分)

麻木 暴走したら一番まずい行政機関は警察、検察。それと司法の暴走っていう可能性もあるよね。いまの日本に一番欠けているのは、その問題があまり取り上げられないことだと思う。細かい警察の不祥事なんてどうでもいい。だって何十万人も人がいたら、中にはおかしな人もいる。それよりはるかに大事なのは、司法制度とか警察行政をいかに民主的にチェックできるかっていうことで、その議論が、この国でははなはだ弱いと思うの。

 いくら住民運動が盛り上がったり、住民投票法案が日本中で議論されたりするようになっても、警察や検察っていう行政権力、それから司法権力である裁判所についての民主的チェックはどうなってるんだっていうことを、同じようなバランスで問題にしていかないと、ただのガス抜きみたいな「御用住民投票」にされかねない。

國分 そのとおりですね。僕にとって今日の一番の教訓は、言論人が左翼縛りを振り切ったのはいいけど、権力に対する警戒感を失ったら、ただ利用されるだけの御用学者になってしまうということ。それは言論人にだけ当てはまるんじゃなくて、「御用国民」になっちゃいけないという、日本人全体に向けた、麻木さんからの素晴らしいメッセージでもありますね。

麻木 えっ、いやそんな。なんか私、言い過ぎちゃった(笑)。

國分 期待以上の盛り上がりでした(笑)。

麻木 今日は思ったことを正直に全部言おうと思って来たのね。せっかく先生と話をするんだから。いつもならこんなに言わないんだけど。だっていつもこんなふうにしゃべってて、仕事なくなったら、どうしてくれます?(笑)

國分 どうしたらいいかわかりません、すみません(笑)。でも麻木さんとお話ししていて思ったのは、うまくバランスをとって自分が発言できる場はきちんと確保しつつも、言うべきときは言うっていうことの大切さですね。

麻木 これはタレントに限らず、誰でもそうなんだと思うの。人間は生きている以上、社会における立場っていうものがあって、それを考えれば、何でも好き放題言えるわけじゃない。

 ただ、いまの日本は、政治的な発言をすることのリスクがあまりにも大き過ぎ。べつに革命を起こすぞって言ってるわけでもない、テロを煽ってるわけでもない。まっとうに生きていて、そのうえで「私はこう思う」っていうようなことすら、なかなか言いづらいっていうのは、どうなんだろう。

 でも私ももう五十いくつにもなったし、子育ても一段落したし、ま、いっか(笑)。

國分 非常に心に響くメッセージでした。

麻木 先生と話すのが楽しくて、今日はフルスロットルでした(笑)。

國分 「先生」はやめてくださいよ、「國分さん」とか、「國分君」でもいいですから(笑)。

麻木 いや、やっぱり「先生」。「功ちゃんって呼んで」とか、そういうのはダメ(笑)。インテリゲンチャなんだから。

國分 はい、そうでした、自分の立場を自覚しないといけないですね。今日はもう、うなずくしかなかったです。こんなにガツンとやられっぱなしになるとは(笑)。本当にありがとうございました。(了)

[構成:長山清子 撮影:隼田大輔、岩沢蘭(第1回)]

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