毎日を1%ずつ新しく生きる! 刺激と感動のマガジン&ストア

★がついた記事は無料会員限定

2015.08.29

第10回

「喉の痛みには塩とレモン」がベトナム式

小原 祥嵩

「喉の痛みには塩とレモン」がベトナム式

ベトナムで起業した小原さん。ときに体調が崩すこともあるといいます。風邪で喉を痛めた小原さんに現地の社員が教えてくれたのは塩レモン湯。そこからベトナムの薬と医療事情が見えてきます――。

現地の病は現地の知恵で

 ホーチミンが自分の住処と思えるようになって久しいですが、異国の地での生活は気づかぬうちに疲れがたまるものなのか、あるいは不摂生のせいなのか、長く暮らしていると体調を崩してしまうことがあるものです。

 かくいう私も先日風邪で喉を痛めてしまいました。普段は少々体調が悪い程度であれば寝て治すため、病院に行ったり薬を飲んだりすることはほとんどないのですが、この時は人前で話をする機会を目前に控えており、なんとか治さねばと苦心しておりました。とはいえ、喉の痛み程度でわざわざ病院に行くほどのことでもないし、そうかと言って薬局に行ったとしてもベトナム語の出来ない私には、自分の症状を正確に伝えることが出来ません。(もう数年この国に居ながらなんとも情けない話なんですが……。)

 そんな時、以前インド旅行中に体調を崩した際、日本から持っていった薬が効かず苦しんでいたところ、見かねたインド人がくれた現地の薬でピタッと症状が改善したことを思い出し、現地の病は現地の知恵、ということでベトナム人の社員に相談してみることにしました。

 喉の痛みと聞いた社員は「コーヒーを飲んではダメ、これを飲みなさい」と塩レモン湯("Nước chanh muối")を持ってきてくれました。お湯にたっぷりの塩を入れレモンを絞っただけのシンプルな薬(?)は、思わず顔をしかめるほど塩辛く、吐き出しそうになりましたが、良薬は口に苦し、と飲み込んだところ、味はともかく、確かに喉の痛みは和らぎました。これに加え、薬局で購入した市販薬を飲んで、すっかり体調は元通り。

 ホーチミンの町中にはベトナム人経営のローカル薬局や外資系のドラッグストアがいたるところにあり、常駐している薬剤師に症状を伝えると、その場で薬を見繕って売ってくれます。処方箋も必要なく、どんな薬も小分けにして一錠単位から販売してくれます。しかも同成分の医薬品であっても日本よりも比較的安く買えることが多いです。ベトナム出張時に薬局で買い物していかれる人もいるぐらいです。

 

ベトナムの薬局。バイクで立ち寄りヘルメットをかぶったまま薬を買う人

  先のベトナム人社員を見ていても、どうやらベトナムでは若い世代であっても体の不調に対処する生活の知恵が今もなお受け継がれているように思います。さらに、こうした民間療法だけでなく、熱が出たらこの薬、喉の痛みにはこれ、という風に体調不良に対処する最低限の薬の知識も持ち合わせているようです。

 これには、今でも家族のつながりが強く、暮らしの中で世代を越えた知恵が伝えられる機会が多いことに加え、そもそも病院にかかることを好まないという人々の習慣が影響しています。

 日本でも特に大きな病院にかかると、待合室でさんざん待たされた挙句、診察はあっという間、そして診察後にはまた処方箋の受け取り・支払いまでにうんざりするほど待たされたという経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。

 

ベトナムの人が年に数回飲む「虫下し」の薬

  残念ながら、ここホーチミンのローカル病院事情はそれよりもずっと悪いのです。病院のプロセスに無駄が多いのか、順番を守らない人が多いのか、とにかく、すべての処理に時間を要します。朝早い時間でもすでに病院の待合室は多くの患者でごった返しているのが常です。簡単な診察ならまだしも、これがもしも入院となるとさらに事態は悪化します。当然症状にもよるのですが、ベトナムの病院ではなんとひとつのベッドに2,3人の患者が寝かされてしまうという事実があります。件の社員も子供の頃にひとつのベッドに3人で寝かされたことがあると言います。にわかには信じがたい話です。

 外資系の病院であれば設備も整っている上、医療レベルも相対的に高いのですが、治療費は高く、平均的な所得のベトナム人が気軽に利用できるような場所ではありません。

 かといって、ローカルの病院に行ってもなかなか診てもらえない、その上もし入院するようなことがあっても、前述のとおり治療の環境は決していいとはいえない。こんな状況であれば人々が病院に行くのをためらい、自分で対処してしまうのも納得です。しかし、民間療法も症状が軽いうちは効果があると思いますが、あくまで素人の知恵。対処出来る範囲には限界があります。素人判断で初動が遅れ、病院にかかった時には既に重篤で治療が間に合わないということも残念ながら起きてしまっているようです。

 ベトナム政府もこのような状況を手をこまねいて見ているわけではありません。今年になって保健省が2015年中に都市部の38の病院を対象に現状の改善を宣言しました。1ベッドに一人の患者を実現し、病院に運び込まれ処置を受けた患者は24時間?48時間以内に、必ずベッドにつくことの出来る環境を整備するというのです。一刻も早い対応を期待するばかりですが、その実現はいつになることやら……。

 日々暮らしが豊かになっていくベトナムですが、医療環境に関しては、いつでも安心して高度な医療サービスを受けられる日本との差は大きいなと今回の件で改めて認識しました。

  海外でのビジネスもまずは健康な身体があってのこと。人々の生活の知恵も借りながら、健やかなチャレンジを続けていきたいと思います!

 それではまた!

 

★がついた記事は無料会員限定

記事へのコメント コメントする

コメントを書く

コメントの書き込みは、会員登録とログインをされてからご利用ください

おすすめの商品
  • ピクシブ文芸、はじまりました!
  • 文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作!
  • 無理しないけど、諦めない、自分の磨き方
  • 時短、シンプル、ナチュラルでハッピーになれる!
  • ビジネスパーソンのためのマーケティング・バイブル。
  • 有名料理ブロガー4名が同じテーマでお弁当を競作!
  • ドラマこそ、今を映すジャーナリズム!
  • 砂の塔 ~知りすぎた隣人[上]
  • 小林賢太郎作品一挙電子化!
  • あなたがたった一人のヒーローになるためには?
文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作!
ピクシブ文芸、はじまりました!
エキサイトeブックス
今だけ!プレゼント情報
かけこみ人生相談 お悩み募集中!