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2015.08.12

第3回

身近に存在する「君が代」の五大観光地

辻田 真佐憲

身近に存在する「君が代」の五大観光地

明治初期に誕生して以来、波乱の歴史を歩んできた「君が代」。国歌でありながらも、その歴史や歌詞の意味がほぼ知られていない実に珍しい歌なのです。本連載では、6つの謎から「君が代」の歴史に迫る新書『ふしぎな君が代』の著者が、本には収録しきれなかった「あなたの知らない君が代」エピソードをお届けします。今回は観光地についてです。

訪ねてみたい「君が代」ゆかりの地

「君が代」というと、学校の入学式や卒業式、あるいはスポーツの国際試合くらいでしか関わりがないと思うかもしれません。しかし、実はわれわれの身近には、「君が代」にゆかりのある場所が意外とたくさんあります。
 そこで今回は、その場所を訪ねてみることにしましょう。

①JR飯田橋駅西口前
 JR飯田橋駅西口前は、なんと「君が代」作曲の地です。
 現在の「君が代」のメロディは、1880年ころに奥好義(おく・よしいさ)という雅楽家によって作られました。奥は、牛込見附にあった雅楽稽古所で宿直中に作曲したと証言しています。
 この場所は、現在の富士見町教会前の広場にあたります。再開発により、写真のようにきれいなスペースになっていますが、意外にも何の記念碑も立っていません。ほかの「君が代」観光地には何らかの記念碑が立っているのに、ここにだけ何もないのはふしぎな感じがします。

JR飯田橋駅前の富士見町教会。その前の広場が君が代作曲の地にあたる

②横浜市中区の妙香寺
 横浜市中区に所在する妙香寺には、「君が代発祥の地」という記念碑があります。そのため、ここはもっとも有名な「君が代」観光地のひとつでしょう。
 1869年秋、この寺で鹿児島藩の藩士たちが英国人フェントンから軍楽を習っていました。このとき、日本に国歌がないことが問題となりました。そこで、ある鹿児島藩士から相談を持ちかけられた大山巌らが「君が代」の歌詞を選び、これにフェントンが曲をつけた、とされています。
 以上は確定的な説ではありませんが、戦前から有力説のひとつとされてきました。そうした事情もあって、ここに「君が代発祥の地」という石碑が立てられたのです。

③浜離宮恩賜庭園の延遼館跡
 一方、「君が代」の歌詞が選ばれた経緯については、別の説もあります。それは、1869年夏に英国王子エディンバラ公が来日するのに合わせて、急いで国歌が作られたというものです。外国の貴賓がきて歓迎会も行うのに、国歌がないなんて国際儀礼上ありえないというわけです。ちなみにこの説でも、「君が代」を作曲したのはフェントンだったとされています。
 来日したエディンバラ公は、浜御殿にあった洋館・延遼館で盛大に歓迎されました。浜御殿は、現在の浜離宮恩賜庭園です。延遼館はすでに取り壊され、跡地を示す看板が立っているだけですが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて再建されるという話も出ています。往年の姿が復活すれば、新しい「君が代」の観光地ともなりそうです。

④江東区越中島の「明治天皇聖蹟碑」
「君が代」はいつ初演されたのでしょうか。それも正確なことは分かっていません。
 フェントン版の「君が代」は、1870年4月に駒場野で行われた天覧閲兵式で演奏されたとも、同年9月に越中島で行われた天覧閲兵式で演奏されたともいわれます。どちらにも、天覧閲兵式を記念した石碑が立っています。駒場野の記念碑は、目黒区立駒場小学校の敷地にあって見に行くことが難しいため、ここでは越中島の記念碑を紹介しましょう。
 越中島の記念碑である「明治天皇聖蹟碑」は、東京海洋大学越中島キャンパスの脇に立っています。1940年に「皇紀2600年」を記念して計画され、1943年に完成しました。ちょうど太平洋戦争のさなかにあたります。題字は、首相を務めた近衛文麿が揮毫しました。

⑤岐阜県揖斐川町の「さざれ石公園」
 最後に、関東以外の観光地も紹介しましょう。
 岐阜県揖斐川町には、「君が代」に出てくる「さざれ石」の産地と称する場所があります。それが「さざれ石公園」です。ここにも、「国歌君が代発祥の地」という記念碑が立てられています。揮毫したのは、中曽根康弘元首相です。
 ここは行くのがやや大変です。JR大垣駅から養老鉄道に乗って、終着駅の揖斐川駅まで行き、そこからタクシーに乗るというのが一番簡単な手段でしょう。それでもタクシーで片道6000円くらいかかるのですが。
 ただ、「君が代」に興味がある人には行く価値があるように思います。途中から「さざれ石公園」のために整備したと思われる道路が続き、この場所がいかに大切とされているかが実感できます。
 もっとも、揖斐川町の「さざれ石」が和歌「君が代」と関係していると断言できる確かな証拠はありません。ひとつの伝説と見るべきだと思われます。

「さざれ石」内にある「国歌君が代発祥の地」記念碑

 ほかにも、「君が代」にゆかりのある場所はたくさんあります。例えば、最初の「君が代」を作曲した英国人フェントンの妻アニー・マリアの墓地は、横浜の外国人墓地にあります。彼女は、日本滞在中に亡くなってしまったからです。
 また、海外の例では、現行の「君が代」を編曲したドイツ人エッケルトの墓地が、韓国のソウルにあります。エッケルトは日本を去ったあと、今度は大韓帝国のお雇い外国人になり、同国歌「愛国歌」を作曲しました。その後、日韓併合後のソウル(当時は京城)で亡くなり、その地で葬られました。
 このように、みなさんの周りにも意外と「君が代」にゆかりのある場所があるかもしれません。そうした場所を訪問すれば、「君が代」をより身近に感じられるのではないでしょうか。

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