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2015.08.05

第9回

地震のないベトナム。レンガの家で大丈夫?

小原 祥嵩

地震のないベトナム。レンガの家で大丈夫?

経済成長を続けるベトナム。私がホーチミンに拠点を移してからのわずか数年の間でも、人々の暮らしや街並みは目に見えて変化しています。自動車の増加や地下鉄工事の進展、様々な店舗の出店に加え、特に景観を変化させているのは至る所で建設されている商業施設や高層マンションではないでしょうか。

そんなホーチミンの工事現場を通りかかると必ず山積みにされているのが素焼きのレンガです。赤土色をした中空の直方体で、互いを打ち付けるときんっと甲高い音がします。このレンガを積み、その隙間をセメントで塗り固めることで大抵のベトナムの建築物は建てられているのです。セメントで固めているとはいえ、レンガを積み上げるだけで建てられた建物の強度は大丈夫なんでしょうか。(童話ではレンガの家が一番丈夫とされていますけれど。)なにせ、レンガの一つ一つの強度は決して丈夫とは言えない上に、雨季のこの時期には高く積まれたレンガは雨ざらし状態。レンガ一つ一つの大きさにもバラつきがあるんですから。

レンガ造りの家


ベトナム人の友人にそのことを伝えると「もし地震が来たら、全部ぺしゃんこになるでしょう。でも大丈夫。ベトナムには大きな地震は来ませんよ」と笑い飛ばされました。しかし、地震大国日本から来た身としては、もし万が一地震が起きたらどうするんだ……と不安を覚えます。

過去を振り返ってみると、ベトナムで大きな地震があったのは14年前のこと。南部でマグニチュード5.5の地震があり、1名の方が亡くなったそうです。更にその前は1983年にベトナム北西部、中国国境沿いに位置するディエン・ビエン・フーで起きたマグニチュード5.3の地震です。このように十数年に一度しか地震が起きないのであれば、普段から地震に備えろと言うのは無理かもしれません。

数年前に近隣国で大きな地震があった際に、その余波がベトナムにもやってきました。当時の様子を知る日本人曰く、ホーチミンで感知されたのは震度1程度の微弱な揺れで、「あれ揺れたかな」と思いながら仕事を続けようとすると、ベトナムの従業員たちはパニック状態になってしまったんだとか。地震に慣れすぎている日本人も初動が遅れてしまいかねませんが、かと言って何も備えのない状態では大地が揺れるというのは我々が思っているよりも遥かに恐ろしいことのようです。

では、日本でいう「地震雷火事親父」に当たるものがベトナムにもあるのでしょうか。(ちなみに「親父」とは台風を意味する「大山風(おおやまじ)」が変化したものとする説があります。)ホーチミン在住のベトナム人の友人に聞いたところ、日頃から備えておくべき事象・災害を指す言葉は特に思い当たらないとのこと。しかし、ベトナムに自然災害がないというわけではありません。南北3,200kmにも渡る長い海岸線を持つベトナムは地震こそないものの、台風による暴風雨とそれに伴う洪水で多くの方が被害に合っています。ホーチミン市内でも暴風で街路樹が倒れ、通行中のバイクに当たって怪我人が出ることが毎年起きています。

特に南中部沿岸地域は国内で最も雨量が多く、毎年襲来する台風による被害も少なくありません。短くて急な河川、狭い平野、深く入り組んだ海岸線という地形をもつため、大雨の際には頻繁に洪水が発生してきました。北部や南部と比べると中部が最も自然災害の脅威にさらされている地域なのです。

そんな中部の都市ダナンの海岸沿いには、台風による被害が少なくなるようにと観音像が建てられました。高台から海を見渡せる位置にそびえる巨大な観音像。人々の祈りが通じたのか、観音像の建立以降、台風の襲来やそれに伴う被害が少なくなったのだとか。

ダナンの観音像


このように地域で異なる気候はベトナムの人々の気質にも影響しています。北部の人は落ち着きがあり、内向的で礼儀を重視する。比較的厳しい自然条件下で生きる中部の人々は忍耐強く、勤勉、倹約家。外交的でのんびり、おおらかな南部の人々と一般的に言われています。日本の典型的な地域のイメージになぞらえて、北部は東京、南部は大阪、中部は東北と言われたりもします。当然、方言もそれぞれ異なり、特に中部は訛りが強いんだとか。中でも観光地で有名なホイアンの訛りは有名で、他の都市の人には聞き取れないほど独特の訛りがあるんだそうです。ホイアン出身の友人は大学進学を機にホーチミンで暮らし始めた時、自分の訛りが恥ずかしくて必死にホーチミンの言葉を覚えましたと話してくれました。今ではすっかりホーチミン弁が板についたと言う彼女ですが、実家の家族や友人と話すときだけホイアン弁になるんだとか。この話を聞いて、ポロリと地元の言葉が出て恥ずかしそうな顔をしていた学生時代の友人を思い出しました。

夕暮れのダナンの海岸線


ベトナムは毎年9月が新学期。あと一ヶ月もすれば、また各地から集った若者たちの上京(?)物語が始まることでしょう。

それではまた!

 

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