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2015.12.24

光秀の子孫が恩讐を超えて解明した信長の真実!!

年末年始 連載(1)
プロローグ 信長脳を歴史捜査せよ!

明智 憲三郎

年末年始 連載(1)<br />プロローグ 信長脳を歴史捜査せよ!

【再掲】発売後から、また新たに熱い視線を浴びる『織田信長 四三三年目の真実 信長脳を歴史捜査せよ!』(明智憲三郎著)。従来の本能寺の変論とは違う新説を打ち出し、話題となった著者が今度は織田信長に挑んだ。そこで作品の中から気になるテーマを試し読み連載にて掲載。天才信長の頭脳を読み解き、驚愕の真実を目撃せよ!!

連載第一回は、作品のプロローグを掲載。著者が信長に挑戦した理由とは?


  戦国の世、尾張の片隅に生を得て天下統一という大事業に乗り出した織田信長。稀代の天才、カリスマなどと言われていますが、果たして信長が何を考えて決断・行動していたのかを現代人はどこまで理解できているでしょうか。

 たとえば、信長が天下に華々しくデビューすることになった桶狭間の戦い。その勝因は迂回奇襲戦法にあったと長らく信じられてきましたが、信憑性ある史料の記述によれば正面攻撃であることが判明しました。しかし、多勢に無勢の信長軍がなぜ正面攻撃で勝利できたのかが解明されていません。正面攻撃説を唱える研究者は「偶然・幸運」に過ぎないと主張しています。要は信長が何を考えて決断・行動したのか、よくわかってはいないということです。

 同じようなことが織田信長が討たれた本能寺の変についてもいえます。明智光秀が信長を本能寺で討てたのは信長の「油断」のせいであり、光秀にとっては「偶然・幸運」であり、最終的に謀反が失敗したのは「無策・無謀」だったからとされています。そのときに信長や光秀が本当は何を考えて決断・行動したのかが、やはりよくわかっていないのです。

 周到に企てたことが「偶然・不運」によって失敗に至る例は枚挙にいとまがありません。ところが、何も考えずに「無策・無謀」に行ったことが、たとえ途中まででも「偶然・幸運」によって成功を収める例は現実にはまず起きません。たとえば、将棋の名人戦のような勝負の世界を考えてみてください。棋士は「必然・必勝」の手を考えて指しており、「偶然・幸運」に期待して指してはいません。ましてや一族郎党の命という重いものへの責任を負った戦国武将が「偶然・幸運」に期待して決断するわけにはいきません。「必然・必勝」の作戦を立てて決断したはずです。

 それでは、いかにして彼らは「必然・必勝」の作戦を立てたのでしょうか。それが「感情・性格」に任せて得られるものではないことは確かです。彼らは自分の持てる「知識・論理」を最大限に駆使したのです。それは将棋の名人戦と同じです。対戦している棋士は次の一手を決して「感情・性格」によっては決断しません。むしろ「感情・性格」を抑えて、彼が長年かけて習得した「知識・論理」、いわば「将棋脳」を駆使して決断しています。このことは感情も性格も持たないコンピューターが、知識と論理をプログラムされてプロの棋士と互角に戦っている事実からも明らかです。これは「決断の常識」といってもよいものでしょう。

 十年前、私は真実を知りたい一念でこの「決断の常識」に立脚した二つの仮説を立て、本能寺の変の謎解きに挑戦しました。その二つの仮説とは「失敗すれば一族滅亡する謀反を決断するのだから、謀反を起こさねば一族滅亡するという危機認識があったはず」と「失敗すれば一族滅亡してしまう謀反を決断するのだから、絶対に成功するという目算を立てたはず」です。

 まず、本能寺の変や信長・光秀らに関して書き残された史料にもれなく目を通し、その信憑性を評価し、証拠となるものをすべて洗い直しました。すると、今まで見落とされていた証拠が予想以上にたくさん見つかりました。それらの証拠のすべてに辻褄の合うストーリーを復元していったところ、とうとう答、つまり真実に行きつくことができました。それは従来の定説や様々唱えられている説とはまったく異なるものであり、自分でもにわかには信じ難い驚くべきものだったのです。犯罪捜査と似ているので「歴史捜査」と名付けたこの手法への確信がなければ、自分の出した答を信じることなどできなかったと思います。

 是非、世の中にこの真実を知っていただきたいと思って書いた『本能寺の変 431年目の真実』(文芸社文庫)は多くの方々にご愛読いただき、出版一年目で二十七万部を超えました。私と同じようにこれまでの「本能寺の変」に納得できないでいた方が多かったのでしょう。「従来の本能寺の変論とは違う」ことを読者が評価してくださり、私の「決断の常識」や「歴史捜査」を支持してくださったのだと思います。そして戦国武将は誰もが一族の生き残りを最優先とする生存合理性に基づいて考え、行動していたという見方や歴史観に共感をいただいたように思います。

 一方で、出てきた答のひとつが従来言われたことのない「信長のある企て」だったために、その答を受け入れられない読者ももちろんいます。本能寺の変当日の信長・光秀・徳川家康らの行動の謎を説明できるのはこの答しかないのですが、「あの時点で信長がそのようなことをするわけがない」という思い込みに囚われて、証拠と論理の積み重ねによる蓋然性へのご理解をいただけないようです。

 現実に存在する証拠の分析やそれに基づく推理を抜きにして、「信長はこう考えたはずだ」という仮定を出発点にしたのでは正しい答には至りません。なぜならば、将棋の名人戦と同様に、戦国のプロの「次の一手」を現代の素人が読むのは至難の業だからです。そのことをご理解いただくためには、信長の決断の拠り所であった彼の「知識・論理」をより明快にするしかないと気付きました。明快になった信長の「知識・論理」を共有して、そこから「信長はこう考えたはずだ」と推理することができるようになれば、初めて誰もが同じ土俵で議論できるだろうと考えたのです。そこで信長の頭脳の中身、つまり「信長脳」を「歴史捜査」することにしました。

 他人の持っている「知識・論理」を解明することは相手が現代人でも容易なことではありません。ましてや、四百年以上前の人物についてです。でも、諦めてしまっては歴史の真実に近づくことはできません。一歩でも「戦国のプロ中のプロ」である信長に肉薄しようと決意して、「信長脳を歴史捜査せよ!」というミッション・インポッシブルに挑戦したのです。

 二〇一二年、「織田信長を英雄視する後世の評価を再考し、等身大の信長の姿を描いた」とする池上裕子著『織田信長』(吉川弘文館)が出版されました。信長の人生における事績が整理されて書かれています。この本の内容を補強するかのように二〇一四年には他の研究者らの本も次々と出版されており、新しい信長像を形成しつつあります。

 そこに描き出された信長の姿は次のようなものです。従来の「中世の破壊者」といったイメージとはだいぶ異なります。
・戦国大名が誰でも天下を欲していたわけではない、むしろ信長は特異な存在だった
・上洛は足利義昭を奉じたものであり、初めから義昭を排除するつもりではなかった
・朝廷を援助してうまく利用していた、自分が天皇になるつもりではなかった
・仏教を敵視して潰すつもりではなかった
・戦ばかり行っていたわけではなく、様々な経済政策も行って財力を蓄えていた
・独裁的ではあったが世間の評判もかなり気にしていた

 裏付け説明はいずれも納得できるものであり、本書はこれらの点に反論を述べるものではありませんし、信長の事績のすべてをあらためて洗い直すものでもありません。それらの事績の裏側にあった信長の決断がどのような「知識・論理」に基づいてなされたのかを分析していくことによって、彼が何を考え、何をしようとしていたのかを解き明かすものです。

 歴史捜査の結果、信長の「知識・論理」には現代人が保有していない膨大な「あるもの」が存在していたことが明らかになりました。「信長脳」の中身が解明できたのです。その「信長脳」を駆使して信長は天下統一戦を勝ち抜き、さらにその先へと進もうとしていたこともわかりました。

 お読みいただければ、「信長脳」についてほとんど知識を持たない現代人が信長の行動や「次の一手」を論じることが、いかに的外れなことだったかにお気付きいただけるでしょう。その気付きこそ英雄譚としての歴史を楽しむことから「真実の歴史に学ぶ」ことへの転換をもたらすものだと思います。

 なお、前著『本能寺の変 431年目の真実』は「検事調書」としての証拠や推理の厳密さを徹底して書きましたので、引用文はすべて原文を書き、出典名をその都度明記しました。本書はわかりやすさを優先して書きましたので、史料からの引用文は原文を減らして現代語訳を書くように努めました。原文を確認したい方は巻末の参考文献をお読みください。また、本書での本能寺の変の記述は信長に焦点を絞って深く掘り下げましたので、広がりのある本能寺の変の全貌をお知りになりたい方は前著も併せてお読みください。

二○一五年七月 著者

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