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2015.06.23

『運を支配する』第3回

見切りにも「いい見切り」と
「悪い見切り」がある

藤田 晋/桜井 章一

見切りにも「いい見切り」と<br />「悪い見切り」がある

 

 

このまま進むべきか? あきらめるべきか? この2択のタイミングを間違えて、多くの人が自滅する。どうすればいいのか。

 

見切り


見切りのタイミングを間違えるな ーーー桜井章一


 麻雀の勝負においては、リスクを恐れない勇気と見切る力の2つが勝負の行方を大きく左右する。この2つをバランスよく持っていることが当然一番望ましいのだが、勇気はあっても、見切る力が弱い人がけっこう多い。

 見切る力を伴わない勇気というのは、えてして蛮勇(ばんゆう)になりがちだ。

 見切る力は、何かを捨てなければいけない決断に際して発揮されるものなので、どこか後ろ向きにとらえられがちだ。それゆえ、あまり磨かれないのかもしれない。

 見切る力がないために、致命的なミスを犯し、負けてしまうことはよくある話だ。

 それがわかりやすい形で出るのが、ギャンブルの世界だ。より大きな成果や報酬を求めるあまり、引き際を見切れず、墓穴を掘るケースが非常に多い。

 ところで見切りには、「いい見切り」と「悪い見切り」がある。

「悪い見切り」には、大きく2つのパターンがある。一つは勝負において劣勢に回り、挽回を早々にあきらめてしまうケース。もう一つは、反対に戦況が優位に進み、「これで勝負はもらった」とばかり最終局面で見切ってしまうケース。

 この2つのパターンがダメな理由は、いずれも勝負を途中で投げているからである。どんなに不利な戦況でもそこからひっくり返すチャンスはあるものだし、反対にほぼ勝ちそうな展開でも、最後の最後でまさかの逆転をくらうことはありうるのだ。

 一方の「いい見切り」は、登山にたとえるとわかりやすい。

 山の気象は急変しやすい。苦労して登ってやっと頂上が見え始めたときに、にわかに雲行きが怪しくなってきた。そのとき「こんなにきつい思いをして登ってきたんだから、ここで引き返すわけにはいかない」と思ってそのまま頂上を目指せば、激しい雷雨や強風に見舞われ、遭難の危険すらある。

 そのように命に関わるときには、「勇気ある撤退」という見切りをすることがとても大事なのだ。

 仕事でも、見切りのタイミングを間違えて、身を滅ぼす人がいる。

 大きな成果を求めて必死に頑張っているものの、なかなか思うようにいかない。ここで退却すれば大きな損失が出てしまう。あきらめるわけにはいかない、なんとかしなくてはと踏ん張るが、残念ながら目標は当人の能力をはるかに超えている。深追いすればするほど損失は膨らむばかりなのに、後に引き返せない。このようなときは、できるだけ早くいい見切りをして、あきらめるべきなのに、それができないのである。

「このまま前に進むべきか?」、それとも「あきらめるべきか?」。2つの選択肢を目の前につきつけられることは、生きていればいくらでもある。

 いい流れをつくっていくには、要所、要所で生じる迷いを、いかに素早く見切るかということも大切だ。

 捨てたり、あきらめる代わりに、別のいいことがあったり、何か大事なものが守られるのだという発想の転換が柔軟にできるかどうか。そのことが、いい見切りをしかるべきタイミングでしていく決め手となるのである。



「見切り」には予めルールをつくっておく ーーー藤田 晋

 仕事において「見切り」という判断はとても重要です。見切りがうまくできなかったために損失を膨らませてしまうことは、誰しも経験していることでしょう。

 会社を潰してしまう原因の多くは、見切りの悪さです。逆にいえば、うまく見切ることができていれば、会社というものはなかなか潰れません。でも、まだうまくいく可能性が残されているのに、そこで見切るかどうかの判断は非常に難しいものです。

 経営をしていると、事業が伸び悩んだとき、それを続けるべきか見切るべきかという判断を迫られる局面にしばしば直面します。

 それに携わっていた人たちの顔を思い浮かべると、彼らにもうちょっと賭けてみようかと思ったり、これ以上やると悲惨なことになるかもしれないという気持ちにかられ、損切りして新しいことに取り組んだほうがいいのではないかと考えたりと、決断に際してはさまざまな思いが去来します。いざとなると、簡単にスパッと見切ることはなかなかできないものです。

 きわどいところで踏ん張ったらうまくいったという粘り勝ちのパターンが頭をよぎります。逆に粘ったことでずるずる損失を膨らませて辛い思いをしたパターンも頭をよぎって悩みます。

 チームワークがよくて、みんな気持ちよく仕事をしているときほど、見切りのタイミングを先送りしがちです。雰囲気を悪くしたくないからです。しかし、それを避けると、今度はずるずると取り返しのつかないところまで行ってしまいます。そうすると仲がよかったチームも最後はもめにもめます。見切るのが辛くて先送りしたのに、後からそれが、何倍も悲惨な状態になって返ってくるのです。僕はそれを何度も見てきているので、スパッと見切ることがどれだけ大切か身をもって学びました。

 決断の局面では勝負勘が問われるのですが、どれだけ勝負勘を働かせても、いくら経験を積んでも、「見切り」の判断だけは本当に難しい。あまりにも難しいので、僕は事業に失敗の兆しが見えてきたときに見切るための「撤退のルール」をつくりました。ある期間内にこれだけ赤字になったら撤退とか、何期連続減収・減益になったら事業を見直すといったルールを社内に設けたのです。

 これはそもそも、ネットビジネスが失敗するおおよそのパターンが経験則的にわかったために設定できたルールなのですが、それでも撤退基準をつくるのはかなり難度の高い作業でした。でも、このルールをつくり上げたことで、見切りの判断がとてもしやすくなったのは確かです。

 通常、株式ファンドの運用では何%以上、下落すると自動的に売却するというルールを設定していますが、「撤退のルール」はこれに近いものがあります。麻雀でも、「ここまで親のリーチがこなければ行かない」とか「カンチャン待ちで役がなければリーチしない」など自分なりの見切るルールを持っている人は強い。なぜなら麻雀はメンタル勝負でもあるのですが、ルールが感情を排したタフな見切りをしてくれるからです。

 こうしたルールは判断の難しい局面において、「軸」の役割を果たしてくれます。もう少し粘るという判断を下すにしても、どれくらい許容するのかという考えの土台になるので、ルールがあるのとないのとでは雲泥の差となります。

 先ほど述べた当社の「撤退のルール」にしても例外はあります。社運を賭けて立ち上げたAmeba事業に関しては、そのルールから除外したのです。

 この事業は当社にとってなんとしても立ち上げなければならない事業だったので、「撤退のルール」の対象から外し、4年もの間、赤字を垂れ流し続けました。そして5年めに僕は「これで立ち上げきれなければ社長を退く」と宣言して、自分の進退を賭けていました。

 結局、最後に大きな成功を手にしたわけですが、Ameba事業は黒字になるまでの赤字の期間も気を緩めることなく、引き締まった状態を維持することができました。それは、「撤退のルール」をきちんと守っている事業が社内には他にいくつもあって、それに対して特別扱いをしてもらっているという申し訳ない気持ちが、Amebaの部署内に緊張感を生んだからだと思います。

 始める前から「見切り」のルールをつくるというのは、相当大変な作業です。夢と希望にあふれているタイミングで、誰もそんなことを考えたくはない。でもそれをやるかやらないかの差が、その後の運命を左右するのだと思います。

 

連載第4回「成功パターンがなぜ〈弱み〉になるのか」は、6月26日(金)公開予定です。 

 

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