先日、日本に出張していた時のこと(ベトナム拠点の私にとっては日本が出張先です)、ベトナム人の友人からメッセージが来ました。「日本にいるならお土産を買ってきてくれない?」と。経済成長期とはいえ多くのベトナム人にとって日本はそう簡単に行ける場所ではありません。ですので、このようなおつかいを頼まれることは珍しいことではありません。例えば、小さいこどものいる家庭では日本製のおむつや粉ミルクの人気は絶大です。今回もきっと家族や親族に頼まれたのかなと思ったのですが、そうではありませんでした。

ベトナム大手の新聞社で記者として働いているその友人は、現在日本政府による海外進学の奨学金獲得の選考の真っ只中でした。そして、近々行われる面接の際に、面接官に配りたいのだと言うのです。お土産を渡すことで、面接官に自分がどれだけこの機会を切望しているかを伝えたいと言うわけです。何としてでもチャンスを掴みたいという思いは理解できるものの、面接官に贈り物をするというのは、どうも納得が行きませんでした。贈り物で印象を良くしようとするのは、中身で勝負できないことの現れであり……というか身も蓋もない言い方をすると袖の下じゃないの?と。買って帰るのはやぶさかではないけれど、あなたにとって良い方法だとは思えない、むしろ逆効果になるのではと素直な意見を伝えた結果、友人も面接での贈り物は思いとどまったようでした。

しかし、後日この話を別の友人にすると、そうした振る舞いはこの国ではあまり珍しいことではないと言うので再び驚かされました。確かにこの国で暮らしているとビジネスや様々な物事を前に進めるために「手数料」を支払うことがあるのは事実ですが、一般の人が留学の切符をつかむために、当たり前のようにそのような選択肢を取ろうとするという事実にがんと頭を殴られたような衝撃を受けました。

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