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2015.05.24

最終回

天皇の料理番が守ってきた、料理のこころ

谷部 金次郎

天皇の料理番が守ってきた、料理のこころ

天皇家の普段のお食事は、贅を尽くしたごちそうではなく、野菜中心のバランスのとれた献立でした。

天皇陛下の長寿と健康を26年間支えた料理人が、宮内庁大膳課で培われた料理のコツと“こころ”とともに、97の和のレシピをご紹介する書籍『天皇陛下料理番の和のレシピ』。この書籍の内容をダイジェスト版でお届けします。

前回の記事:天皇の料理番、思い出の屋台の天ぷら


*  *  *
 

皆さんに是非ともお伝えしたいのが、料理のこころです。大膳課で大切にされていた嗜みをお話ししましょう。

 

余すところなくすべていただく

 一つは「一物全体食(いちぶつぜんたいしょく)」という考えで、食べ物全体を食べることです。野菜は葉も根も実も食べ、魚は頭から尾まで食べ、肉類なら骨からもスープを取って、全てをいただくのです。植物の栄養素は、その食物全体にあるのですから、一部分だけ食べたのでは偏りが生じます。

 実際に、陛下はお好きだった焼きいもを、皮つきのまま召し上がっていました。大根の皮はせん切りにして、切り干し大根にしました。大根の葉もさっと炒めて、塩味でいただいておりました。にんじんの皮もきんぴらごぼうに使っていました。

 ただし、これらは有機栽培のものでないと難しい部分もあるでしょう。ですが、食べ物はなるべく捨てずに余すところなく使うというのは、皆さんにも是非実践していただきたいところです。

 そのために、拙著『天皇陛下料理番の和のレシピ』では素材ごとにレシピを紹介しています。掲載している鯛一尾の使いきりは、本当におすすめです。切り身より一尾で買ったほうが安いですし、こうしていただくと捨てるところなどないことがわかります。

 

人間は土からは離れられない

 もう一つの「身土不二(しんどふじ)」は、「体と環境(土)は、不可分(不二)である」という考えです。これは中国薬膳に由来する考え方で、人間も環境の産物である以上、日常暮らしている土地で穫れる季節のものを食べることで、体は環境に調和し、健康でいられる、というものです。もともとは、「暑い地域や季節には体を冷ます作物が穫れ、逆に寒い地域や季節には体を温める作物が穫れるので、その土地、その季節に穫れるものを食べることで、一元一体となるべきである」という教えだといいます。

 私の母などは、地産地消という言葉が生まれるずっと前から、「住んでいるところの一里四方のものを食べて暮らせば、丈夫でいられる」とよく言っていました。

 

鯛のごま茶漬け

撮影/原務、しのぎ平飯碗/チョイス、布/ソールパーノ

この料理で使う鯛は、刺身ほどの鮮度が必要です。

ですから鯛の使いきりのなかでも最初に作っていただきたい一品です。



◆材料(2人分)
鯛(頭に近い部分) … 120g

A) 白練りごま … 大さじ2
A) 濃口しょうゆ … 大さじ2
A) だし … 大さじ1

ご飯 … 360g(2杯分)
煎茶 … 適量
三つ葉(粗みじん切り) … 適量
白いりごま … 適量
 

◆作り方

1) 鯛は刺身用に10~12枚に切る。

2) A)を混ぜ合わせ、1)を漬け、10分ほどおく。

3) ご飯に2)をのせ、A)の漬け汁を小さじ1入れ、熱い煎茶をかける。三つ葉、いりごまを散らす。

 

※この連載は今回で最終回です。本文にも出てくる鯛の使いきりやその他のレシピ、この連載で紹介し切れなかったコラムなど、興味を持たれた方は是非書籍『天皇陛下料理番の和のレシピ』をお求めください。

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