毎日を1%ずつ新しく生きる! 刺激と感動のマガジン&ストア

★がついた記事は無料会員限定

2015.05.01

キョーレツ対談【前編】

ダサくてもいい、ひねこびてない生き方であれ!

小野 美由紀/佐々木 俊尚

ダサくてもいい、ひねこびてない生き方であれ!

2月にデビュー作となるエッセイ『傷口から人生。 メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった』を出版した文筆家の小野美由紀さん。『自分でつくるセーフティネット~生存戦略としてのIT入門~』などで、鋭い分析から、社会の規範なき今、私たちはどうやって生きるべきかを示唆し続けてきた、作家の佐々木俊尚さん。今回の対談では、本の感想から、ドロップアウトした人が生きやすい社会、ロールモデルなき時代にいかに自分の生きる姿勢を組み立てていくか、といった話が展開されました。前編、中編、後編の3回にわたってお届けします。

  

ダサくてもいい、ひねこびてない生き方

小野美由紀さんデビュー作『傷口から人生。~メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった~』

佐々木 著作を読みました。すばらしかったです。

小野 ありがとうございます。

佐々木 一見、流行のいわゆる「こじらせ女子」的な本、キラキラ系にもなれず、かといって平凡な人生も歩めない、そういった女性についての本なのかなあっていう印象で始まるんだけど、読んでみると全くそうではない。わりに、ひねこびてないというか。

小野 ひねこびてない(笑)

佐々木 うん、まっすぐな感じの印象を受けました。普通だったら、失恋したり、就活がうまくいかなかったり、パニック障害になったりしたら、人間って斜に構えてこじれちゃったりするじゃないですか。でも、小野さんの場合は全然斜に構えることなく、ちゃんと自分で引き受けようとしている。爆発したり、倒れたり、いろんなことがありながらも、そこで逃げずに、最後まで向き合った結果がこうなんだよっていうのを描いているのは、今までのそういう本とは全然違う。「斜に構えるのってかっこ悪いじゃん、ダサくてもいいからまっすぐ引き受けようよ」っていう、今の時代観を象徴していて、とても面白かったです。

小野 ありがとうございます。

佐々木 小野さん、マジメだよね。

小野 あははは、そうですね(笑) いろんな人に言われます。逆にマジメじゃない人って、挫折したときにどう捉えるのか私には想像できないんですけど。

佐々木 たとえば、趣味に逃避したりとか、自分よりダメな男見つけて付き合ったり。あとは酒井順子さんみたいに「負け犬」って言い方をすることで、逆レッテル張りっていうのかな、アイデンティティに別の表現を与えて、自分自身が引き受ける苦しさをなんとなく回避するみたいなケースが多いと思うんだよね。サブカル女子とかってそういうもんでしょ?

小野 そうです……かね。

佐々木 みっともない思いをしたくないから、「ボサノヴァ聴いてる私ってかっこいいでしょ?」みたいな。

小野 それ『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』ってマンガのことですか?(笑)

佐々木 そうそうそう(笑) 普通の人は聴いていないかっこいいブリティッシュの音楽聴いてるから私は、みたいな。本当は自分をダメな人間だと思っているんだけど、表面的には文化的なレベルが高いっていう姿勢を取ったりとか。でも、小野さんの場合はそういうのが一切ないでしょ?

小野 うーん、そうですかね……自分ではよくわからないんですが。

佐々木 僕は、1961年生まれでバブルの最初期の頃の世代なわけです。80年代が20代だったので。あの頃、ダサいものはかっこ悪いよねっていうのを90年代ぐらいまで文化的に引きずってたと思うんだよね。それが、2000年代、21世紀に入ってから価値転換して、ダサいものの方がいいじゃんってなってきた。僕がそれを最初に感じたのは、四国のお遍路さんがブームになったときです。

小野 そうなんですね。

佐々木 うん、しかもバスで巡るツアーじゃない、いわゆる歩き遍路っていうやつで、僕も1998年の夏に1週間だけ歩いたんですよ。そのときは人が少なくて、1日平均10人とか15人ぐらいしか歩いていない。当時は定年退職後にお遍路を歩くおじいちゃんが多かったんだけど、2000年に入る頃から若い人が急に増えてきてね。ある種の宗教感覚じゃないけど、自分を極限状態に置くことで自分の中の何か新しい面を発見してみたいっていうのかな。

小野 それまでは、単に観光的な側面やアウトドア的な意味合いしかなかった?

佐々木 うん。それは90年代のオウム真理教的な宗教観の受け入れとも、パリに行く自分探しのOLとも違うんだけど、何かを突き詰めた果てに自分の内面を見つめられるんだ、ということはずっと感じてたんだよね。だから今回のスペイン巡礼路の話とか、やっぱりそういうことなのかなって思った。なにかこう、物語を探しに行くわけでもなく、かといってかっこよくおしゃれなスペインを歩くみたいな話でも全然なく、キツい思いをして突き抜けた先に何かが見えてくる。

小野 物語の無さに絶望しながら、同時にそのことを見つめるという感じなのかと思います。

佐々木 僕はよく山登りをするんだけど、ものすごくキツくて、途中で倒れそうになりながらも、歩き続けると、ある種の精神的な空白状態みたいなものが生まれてきて、シンプルに生きていることが気持ちよくなってくるんだよね。なんだかそれに近いものを感じた。

小野 なるほど。今の社会環境では、若い人は切に追い込まれているのかなと思います。ニートとか、ひきこもり、無職とか。そこで追いつめられた若い人が内面を見つめて、爆発して新しいものを作ることもあるんじゃないかと思います。

 

★がついた記事は無料会員限定

関連連載

小野美由紀『キョーレツがいっぱい』


 

関連書籍

小野美由紀『傷口から人生。』

→試し読み・電子書籍はこちら

→書籍の購入はこちら(Amazon)


佐々木俊尚『自分でつくるセーフティネット』

→書籍の購入はこちら(Amazon)

記事へのコメント コメントする

コメントを書く

コメントの書き込みは、会員登録とログインをされてからご利用ください

おすすめの商品
  • ピクシブ文芸、はじまりました!
  • 文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作!
  • 無理しないけど、諦めない、自分の磨き方
  • 時短、シンプル、ナチュラルでハッピーになれる!
  • ビジネスパーソンのためのマーケティング・バイブル。
  • 有名料理ブロガー4名が同じテーマでお弁当を競作!
  • ドラマこそ、今を映すジャーナリズム!
  • 砂の塔 ~知りすぎた隣人[上]
  • 小林賢太郎作品一挙電子化!
  • あなたがたった一人のヒーローになるためには?
朝礼ざんまい詳細・購入ページへ(Amazon)
文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作!
ピクシブ文芸、はじまりました!
エキサイトeブックス
今だけ!プレゼント情報
かけこみ人生相談 お悩み募集中!