毎日を1%ずつ新しく生きる! 刺激と感動のマガジン&ストア

★がついた記事は無料会員限定

2015.04.21

聴診器と触診でわかること

石井 光

聴診器と触診でわかること

聴診器と触診でわかること

 聴診器で肺や心臓の音を聴いたり、腹部を触診したりすることを「理学的検査」と呼びます。医学生が、臨床実習で一番先に習うものです。肺や心臓は、胸部X線写真や胸部CT、MRI、心エコーで詳細な情報が得られます。しかし、診察のとっかかりは聴診です。聴診器で肺の呼吸音の異常、心臓の弁の異常音を聴き取り、ある程度診断して検査の方向性を決めます。
 精密検査は、聴診器で診断した内容を確認するためのものです。優れた耳を持つ医者は、聴診器だけであらゆる心臓病の診断をするほどです。肺も同様です。熱があり咳が止まらない患者が来院した時、聴診器で呼吸音を聞いて気管支炎があるか、肺炎があるか、ただの風邪か診断できます。肺炎の疑いを持って初めて胸部X線検査やCT検査をおこなうのです。胸部の症状を持つ患者に聴診器を当てない医者は信頼できるとはいえないでしょう。

 腹部の触診も同様です。お腹の症状を訴えて来院する患者に触診もせずに、いきなり検査の予約をしたり、検査をおこなったりするのは、誰でもできることで、診断の予測もせずに検査の予約を行うのと同じです。
 丁寧な触診で色々な病気が潜んでいることが分かります。お腹の特定の部位の痛みを訴えたら、そこに炎症があり病気が潜んでいる可能性があるからです。
 みぞおちに圧痛があれば、胃の病気が考えられます。へその周囲に圧痛があれば、すい臓の病気が疑われます。右上腹部に圧痛があれば肝臓か胆のうの病気が疑われます。肝硬変では、硬い肝臓を触知します。右下腹部に圧痛があれば虫垂炎が疑われます。左下腹部だったら、憩室炎が疑われます。
 女性の場合は、それとは別にさらに女性器(子宮、卵巣等)の病気が疑われます。そのため婦人科を受診してもらい婦人科の病気を否定してから内科の検査をおこないます。
実例を上げましょう。私の外来には、長年他の医者にかかっていても、どうにも腹痛が治まらないという若い女性の患者が来院します。すでに胃内視鏡、CT検査を受けて胃炎と診断され、H2ブロッカー(ガスター10のような胃酸を抑える薬)を投与されているにもかかわらず、痛みが続くといいます。
 私が、触診するとへその右側と左側に圧痛を認めました。私は、膵臓の病気(慢性膵炎)があるのではないかと想像します。慢性膵炎の原因の大半はアルコールと脂肪の過剰摂取です。若い女性は、アルコール多飲したり、脂肪の取り過ぎは少ないし、問診でもそのような生活習慣がなければ普通膵炎を疑う医者はいません。
 しかし、アルコールと脂肪の取り過ぎが膵臓病の原因のすべてではないのです。原因不明の膵炎が40%くらいあるのです。

 

ログイン

ここから先は会員限定のコンテンツ・サービスとなっております。

無料の会員登録で幻冬舎plusを更に楽しむ!会員特典をもっと見る

会員限定記事が読める

バックナンバーが読める

電子書籍が買える

イベントに参加できる

★がついた記事は無料会員限定

関連書籍

石井光『医者の嘘 医者は自分の都合でウソをつく』

→試し読み・電子書籍はこちら

→書籍の購入はこちら(Amazon)

記事へのコメント コメントする

コメントを書く

コメントの書き込みは、会員登録とログインをされてからご利用ください

おすすめの商品
  • ピクシブ文芸、はじまりました!
  • 文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作!
  • 無理しないけど、諦めない、自分の磨き方
  • 時短、シンプル、ナチュラルでハッピーになれる!
  • ビジネスパーソンのためのマーケティング・バイブル。
  • 有名料理ブロガー4名が同じテーマでお弁当を競作!
  • ドラマこそ、今を映すジャーナリズム!
  • 砂の塔 ~知りすぎた隣人[上]
  • 小林賢太郎作品一挙電子化!
  • あなたがたった一人のヒーローになるためには?
文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作!
ピクシブ文芸、はじまりました!
エキサイトeブックス
今だけ!プレゼント情報
かけこみ人生相談 お悩み募集中!