毎日を1%ずつ新しく生きる! 刺激と感動のマガジン&ストア

3月30日(木)14時~20時にシステムメンテナンスを行います

★がついた記事は無料会員限定

2000.11.01

懐かしのオールド・パル

オキ・シロー

懐かしのオールド・パル

 


 オールド・パル、昔の仲間という名前のカクテルがある。ルビーのように透き通った、きれいな赤い色の酒である。

 ウイスキーとドライ・ベルモット、カンパリをほぼ同量ずつステアし、ぎりぎりに冷やしてカクテル・グラスで飲む。ほろ苦く、そしてほんのりと甘い、どこか都会の哀愁を感じさせるカクテルである。


 20世紀の初頭あたりに、どうもニューヨークで生まれたらしい。ニューヨークといえば、有名なカクテルにあのマンハッタンがある。そのマンハッタンをドライにし、カンパリを加え、チェリーを抜けば、このオールド・パル。いうならば、あのマンハッタンの男性版のような風味の酒である。


 当時のニューヨークは、血の結束を誇るイタリー系マフィアがのしてきた頃。イタリー産の赤いカンパリが使われたあたりに、オールド・パルの時代背景がうかがえるようで、ちょっと興味深い。


「ニューヨーカー」派の作家ジョン・オハラの小説に、タイトルに同じパルという言葉を使った『パル・ジョーイ』という作品がある。しがない歌手ジョーイが、ステージ用のタキシードと靴だけを手にニューヨークを落ちて、あちらこちらの田舎町を流れていく。その各地方からニューヨークの友人へ、女がらみ、事件がらみの近況報告の手紙を出すという書簡体の連作小説だった。


 ある夜、都心のバーのカウンターで、友人とその『パル・ジョーイ』の話で盛り上がっていた。それを耳にしていたアメリカ帰りのバーテンダーが、ちょうどいいカクテルがあると、このオールド・パルをつくってくれたのだ。もう30年も昔の話である。


 その時、一緒に飲んだ友人、それこそオールド・パルも今は音信不通。一体どこでどうしてることやら……。そんな昔の仲間が気になる夜、バーの片隅でしみじみ飲むにはもってこいのオールド・パルである。

 

撮影強力 : 3rdラジオ (03-3402-2668)

 
 

★がついた記事は無料会員限定

記事へのコメント コメントする

コメントを書く

コメントの書き込みは、会員登録とログインをされてからご利用ください

この記事を読んだ人にはこんな記事もおすすめです
  • 我欲にまみれた20兆円産業の闇を突く。
  • 過去最大ボリュームでお届けする、著者渾身の一作!
  • 夫との最後の日々が教えてくれた、人生の真実。
  • 新聞にこそ、世の中の仕組みが詰まっているのです!
  • 爆笑、号泣。こんな猫本ずるすぎる! !
  • このまま足踏みはしていられない――。
  • “イヤミスの女王”との呼び声高い真梨幸子の作品はこちら
  • ひたむきにあがき続ける女性を描いた、胸が締め付けられる短編集
  • 心に「ない」を抱える人々を痛いほど繊細に描いた代表作
  • 愛する父母との最後を過ごした“すばらしい日々”
我欲にまみれた20兆円産業の闇を突く。
ピクシブ文芸、はじまりました!
エキサイトeブックス
今だけ!プレゼント情報
かけこみ人生相談 お悩み募集中!