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2000.11.15

哀切な調べタンゴ

オキ・シロー

哀切な調べタンゴ

 

 

 タンゴというカクテルがある。タンゴといえばアルゼンチン・タンゴ。バンドネオンのリズムにのって、男と女がぴったりと体を合わせ、情感たっぷりに踊る姿が思い浮かぶ。そんな情愛と哀愁を感じさせてくれるパリ生まれのカクテルである。

 ドライ・ジンを2/5ほど、ドライ・ベルモットとスイート・ベルモット、オレンジ・キュラソーを各1/5ずつ、さらにオレンジ果汁を2ダッシュ加え、よくシェーク。ぎりぎりに冷やして、脚のほっそりと長い、あくまでも華奢なカクテル・グラスで飲む。

 青っぽいジンに、ドライとスイート、両方のベルモットがしっとりと馴染んで、複雑微妙な奥深さを表現。そしてかすかなオレンジ風味が、哀愁に満ちた情感をかもし出している。ちょっと甘口だが、タンゴという名前を思えば大いに納得のできる、どこか切なくていい甘さである。

 このカクテル、タンゴが生まれたのは、パリはドーヌ通りのハリーズ・ニューヨーク・バー。あのカクテルの傑作ホワイト・レディを創作した名バーテンダー、ハリ-・マッケルホーンが1923年に開いたバーで、パリのアメリカ人に人気の店だった。

 当時のパリでは、それまでのコンチネンタル・タンゴにかわって、アルゼンチン・タンゴが一大ブームになっていたそうだ。そこでハリ-が自慢の腕をふるい、つくり出したのがこのタンゴだという。

 アルゼンチンの主都ブエノスアイレス。この港町ではかつて、言葉が通じない移民同士の男と女が、タンゴを踊ることで恋を語り、愛を確かめあったという。

 カクテル・グラスに満たされたトパーズ色のタンゴにも、そんな哀切な男と女の情熱が秘められているように思う。「ラ・クンパルシータ」や「ジーラジーラ」など、タンゴの名曲を聴きながら飲むと、その甘苦い風味がいっそう魅惑的に感じられる。

 

撮影強力 : 3rdラジオ (03-3402-2668)

 

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