毎日を1%ずつ新しく生きる! 刺激と感動のマガジン&ストア

★がついた記事は無料会員限定

2015.03.30

第4回

詩人、モスクを巡る

文月 悠光

詩人、モスクを巡る

 ドバイに滞在して一週間が経った頃、ある人がお祈りについてこのように説いた。
「何より前向きな力をくれるのは〈ゆるし〉です。毎晩、自分を憎む人にもゆるしを与えるよう神に祈ります。私は誰かのひどい言動や悪い行いをたくさん見てきましたが、祈ることで怒りを捨て、朝を気持ちよく迎えられるのです」
 その言葉にはいたく感銘を受けたけど、同時に「人をゆるすなんて私には無理だな」と思った。諦めるとか逃げるとか、後ろ向きの方法でしか、今まで自分の怒りを鎮めてこなかったからだ。

旅をご一緒した作家の鶴川健吉さんによるスケッチ。労働者のお祈りの様子。 

 あるUAE男性は夕食の席でこう言った、「お祈りするのにも、良いタイミングがある」と。たとえば静かな雨の日は、お母さんが子供の健康を祈るにはぴったりだという。「祈っているときには、お金の問題や家族の悩み、やらねばならないこと、一切から離れます」。お祈りの作法を話すと、彼は流れるように美しい動作でひざまずき、頭を床に擦りつけた。その瞬間、頭に巻いた白い布(グトラ)にあおられて、ふわりと風が吹き上げた。レストランのマジリス(絨毯を敷いたアラブ風のお座敷)はたちまち光を帯び、祈りの場となった。白の民族衣装・カンドゥーラが眩しい夜だった。あの「風」を浴びた日を思うと、あたたかな力が沸いてくる。

ログイン

ここから先は会員限定のコンテンツ・サービスとなっております。

無料の会員登録で幻冬舎plusを更に楽しむ!会員特典をもっと見る

会員限定記事が読める

バックナンバーが読める

電子書籍が買える

イベントに参加できる

★がついた記事は無料会員限定

記事へのコメント コメントする

コメントを書く

コメントの書き込みは、会員登録とログインをされてからご利用ください

この記事を読んだ人にはこんな記事もおすすめです
  • 相手の力を利用すれば、実力以上の仕事ができる。
  • 専門知識不要、伸び続ける投資法のしくみがわかる
  • 神仏のご加護をもらうコツを全編書き下ろし
  • 山本周五郎賞受賞作『後悔と真実の色』続編
  • 麻生幾、浦賀和宏、小路幸也らによる書き下ろしミステリー小説が100円で発売!
  • 結果を出すため0のカギを握るのは、「余裕=ゆとり」
  • どうしたら女性であることを楽しめるのでしょうか?
  • 俺はまだ、神に愛されているだろうか?
  • あの子は、私の子だ。 血の繋がりなんて、 なんだというのだろう。
  • 我欲にまみれた20兆円産業の闇を突く。
相手の力を利用すれば、実力以上の仕事ができる。
専門知識不要、伸び続ける投資法のしくみがわかる
エキサイトeブックス
今だけ!プレゼント情報
かけこみ人生相談 お悩み募集中!