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2015.02.13

新たな輸出の切り札、パワードスーツ 高齢社会のノウハウが武器

渋谷 和宏

新たな輸出の切り札、パワードスーツ 高齢社会のノウハウが武器

 日本は人口に占める65歳以上の割合を示す高齢化率が世界1位の25パーセント弱とまさに高齢社会のトップランナーだが、同時に高齢化に伴う社会的・国民的な課題解決に世界に先駆けて取り組んできた高齢化対応社会のトップランナーでもある。そんな日本の技術・ノウハウがまた一つ、大きな成果を実現しつつある。
 人の体に装着すると、筋力をサポートしてくれて本人の何倍ものパワーつまり瞬発力や持久力を発揮し、介護や農業、物流、災害対策などの作業の負担を軽減してくれるパワードスーツ(動力付きのスーツ)が次々に実用化されたり、実用間近となったりしているのだ。これらはとても大げさな言い方をすれば高齢者をスーパーマンに変えてくれる技術にほかならない。
 少子高齢化が生んだ様々な問題──介護スタッフの不足や重労働、力仕事の担い手減少を解決するために生まれたパワードスーツの具体例と可能性を検証したい。

 この1月、着るだけで筋力をアップさせる織物が東京工業大学で開発された。空気圧で伸び縮みするゴムチューブ型の人工筋肉を織り込んだ織物で、この織物で作ったスーツを着ると、衣服そのものが筋肉となって力仕事を手助けする。腰から肩にかけて装着すると11~12キログラムの力を発揮するという。
 4~5年後には織物から衣服を試作し、羽田空港などで実証実験を行う予定だ。具体的には旅行客のスーツケースをベルトコンベヤーに運ぶ作業を行い、着心地や使いやすさを改良するという。(1月31日付の日本経済新聞夕刊)
 何だかSFのような話だが、実用化が射程圏内に入った技術だ。
 すでに実用化されているパワードスーツもある。2013年秋に販売を開始したクボタのパワードスーツ、ラクベストは背中に背負うリュックサック型の金属製スーツで、上半身の動きをセンサーで検知し、作業する人が何をしようとしているのかを解析して自らも一緒に動く。これによって物を持ち上げる時の作業者の負担を15キログラム分、軽くしてくれるという。
 高齢化が進む国内の農家で活用され始めており、例えばぶどう栽培などで手を高く上げる作業を延々と続けたり、収穫した農作物を持ち上げたりするのに役立っている。とりわけぶどうの剪定(せんてい)や収穫は腕を上げたままの姿勢を続けるため、こまめに休憩しなければならなかったが、ラクベストを装着すると上げた腕の角度を機械が固定してくれるので、休憩時間が減り、数日かかっていた作業を数時間に短縮させた農家もあるという。
 開発を手がけたクボタには作業が楽になったという高齢者の声が寄せられており、クボタは需要の拡大に手ごたえを感じている。これまでの販売台数は約100台だが、3年後に年間1000台の販売を目指すという。ちなみに値段は1台約13万円だ。
 ロボット開発のベンチャー企業、サイバーダイン(茨城県つくば市)が2009年にレンタルを始めた「ロボットスーツHAL(ハル)」は、医療機関や老人福祉施設など国内外の施設で活用されており、障害者や高齢者の介護、歩行トレーニングなどの用途で使われている。これまでに500体近くが導入された。
 HALにはブレイン・マシン・インターフェースと呼ばれる技術が使われており、障害者が体を動かそうとすると、脳から神経を通って筋肉に送られる電気信号をスーツが検知し、その人の動きを補助してくれる。
 欧州では歩けない人の治療やリハビリテーションにも利用されている。脳の信号が筋肉に伝わらず、足を動かせない患者が装着し、歩こうと考えるとHALが足を動かす。これを繰り返すと歩いたという神経の信号が足から脳に戻るため、脳や神経、筋肉の情報伝達機能を改善する効果があるという。

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