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2014.11.19

第21回

足りなかったスタンドの「ひと押し」

岡田 仁志

足りなかったスタンドの「ひと押し」

 日本対モロッコ(18日)の入場者数は、696人(主催者発表)。試合開始ギリギリまで、関係者やサポーターたちによる懸命の集客活動が行われたが、残念ながら満員にはならなかった。そして試合のほうも、選手たちが懸命にゴールを目指したものの、残念ながら0-0の引き分け。2戦目で準々決勝への進出を決めることはできなかった。スタンドもピッチも、「最後のひと押し」が足りなかった。

敵のゴール裏で戦況を見つめるガイドの藤井潤。(写真:増田茂樹)

 世界選手権初出場のモロッコだが、初戦でフランス(ロンドンパラリンピック銀メダルの強豪)と0-0で引き分け、「俺たちは十分に戦える」と自信を持って第2戦に臨んでいるように見えた。たった1試合の経験でも、強豪の戦い方を肌で感じることによって、チームが長足の進歩を遂げる。それもブラインドサッカーの大きな特徴だ。

 しかもモロッコは、どの選手も大柄で、手足が長い。日本選手にとっては、国内での試合とは感覚が違う。4人でガッチリ守られると、ゴール前に侵入するのは容易ではない。ガイド(コーラー)の藤井潤が言う。

「初戦のモロッコを見て、人と人の隙間や股下などを狙えばチャンスがあると思っていました。選手も、それにチャレンジしてくれてはいたんですが、モロッコは球際の競り合いに強いので、バランスを崩されて、シュートが思うようにミートできませんでしたね」

 だが日本が優位に試合を進めたのはたしかだ。前半に2本、後半に1本、第2PK(前後半それぞれ4つめのファウルから与えられる8メートル地点からのPK)も獲得した。ファウルが多かったのは、モロッコが日本の攻撃に苦しんでいたことの表れだろう。

「第2PKを3つもらえたのは、日本の選手たちが自分たちのボールを大事にして、ドリブルでしっかり運べていたからだと思います。ボールを失わないから、相手もファウルでしか止められなかったのでしょう。それも含めて、チャンスを作る回数が以前より増えたことには満足しています。9月のフランス遠征ぐらいまで、国際試合では僕が喋る回数が少なかったんですよ。味方が(ゴールラインから12メートルの)ガイドラインを越えて敵陣に入らないと指示を出せないので、中盤でディフェンスする時間が長いと、ガイドは何もできません。僕がたくさん喋れるようになったのは、選手たちがボールを前へ前へと運べるようになった証拠です」

試合終盤に放たれた佐々木ロベルト泉の強烈な第2PK。(写真:増田茂樹)

 それによって得た第2PKは、しかしいずれもゴールネットを揺らすことができなかった。落合啓士も、加藤健人も、佐々木ロベルト泉も、狙い澄ました鋭いキックを放ったが、アフリカ代表をノックアウトすることはできなかった。

 とはいえ、日本も倒れることなく勝ち点1を積み上げ、グループAの首位を守った。その立役者は、体格差を補って余りある堅実かつクレバーな守備でモロッコの突破を許さなかったDFの田中章仁だ。

体格差を物ともせずモロッコの攻撃を食い止めた田中章仁。(写真:増田茂樹)

「先月のアジアパラでも(体の大きい)イランとやっていたので、その点はあまり意識せずに守れました。ガツガツ当たってくるところも、イランと似てましたね。いずれにしろ、どんな相手だろうが自分は体を当てて守るしかない。体を当てさえすれば、相手は自由にプレーできないと思います。モロッコ戦は、中盤の選手が相手のドリブルコースを限定してくれたおかげもあって、しっかり対応できました。勝つことはできませんでしたが、日本はパラグアイ戦で世界選手権初勝利を挙げたばかり。まだ連勝できるほどの強さはないということでしょう。自分の目標は全試合を無失点に抑えること。点を取られなければ負けませんからね。何とか目標を6分の2まで達成できたので、明日のフランス戦も無失点で終わりたいと思います」

 19日のフランス戦(19時30分キックオフ)で、日本は世界選手権初のグループリーグ突破にチャレンジする。またひとつ、歴史に重要な足跡を刻む夜になるだろう。選手たちは、少し疲れの出る頃合いかもしれない。フランスも大柄な選手の多いチームだから、体を張った守備には、モロッコ戦を上回る勇気と気力が必要だ。スタンドからの「ひと押し」をお願いしたい。

(取材協力:瀬長あすか)

※ チケットの購入については、主催者の公式サイト(http://www.b-soccer.jp/7432/news/ticket.html)でご確認を。

 

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