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『花のように、生きる。』重版記念

2014.12.02 公開 ツイート

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第五回
「間」の美しさを知りなさい。
しゃべるのをがまんしなさい 平井正修

9月下旬に発売された平井正修さんの『花のように、生きる。』が、じわりじわりと全国に広がっています。誰もが抱える「どう生きるか?」という悩みに対して、「花のように」という涼やかな指針を与えてくれた本書。では、花なような生き方とはどのようなものなのでしょう? 本書から一部抜粋してお届けします。

 

 しゃべるのが苦手、流暢にしゃべれない、という人がいます。それがコンプレックスになっている人もいるようです。しかし、日本には〝しゃべらない美学〟ともいうべきものがあるではないですか。「間」です。
 間といって最初に頭に浮かぶのは、庶民派の古典芸能、そう、落語です。落語は間で成り立っている、といってもそれほど的外れではないでしょう。随処に間を置かない落語は、まちがいなく、おもしろみが半減しますし、〝間が抜けた〟ものになる。
日常の会話でも、「間」はしばしば言葉よりも有効に働きます。立て板に水のようにしゃべりまくるのは、かえって信頼感を損なうことが多いのではありませんか? そのことからも間の有効性がわかります。
「巧言令色鮮し仁」
 という語もある。言葉が巧みで、愛想がよすぎるのは、仁徳に欠ける、誠意を疑われる、というわけです。
 仕事の交渉でも、想いを伝えるときでも、ここぞというときにしゃべるのをグッとこらえ、「間」に託すとよい結果がもたらされることが往々にしてあります。そこに、言葉にならない誠意や、言葉では表現しようがない切々たる想いを汲みとる感性を、日本人は持っているからでしょう。
 その日本人独特のものの感じ方が、しゃべらない美学を支えていることは、いうまでもありませんね。
「間」は、言葉がすっぽり抜けた空白の時間ではありません。むしろ、言葉では尽くせない表現で満たされているのです

<読者からの感想>
「元気が取り柄だった私が、怪我をしてから急に老いを実感し、落ち込んでいるときに本書に出会えました。振り返らずに、今を生きようと思えることができました。病に苦しむ友人にも、一冊贈らせてもらいました」

「この本を読んで、長年悩まされていた嫉妬心がすっと消えていくのがわかりました。何度も読み返したいと思います」

「最近、自分の発する言葉が軽薄だなあと感じていたときに、この本で「ここぞというときに、しゃべるのをグっとこらえ、間に託しなさい」という言葉に出会いました」
 

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『花のように、生きる。』重版記念

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平井正修

臨済宗国泰寺派全生庵住職。学習院大学法学部政治学科卒業。一九九〇年静岡県三島市龍澤寺専門道場入山。二〇〇一年同道場下山。二〇〇二年より中曽根元首相や安倍元首相などが参禅する全生庵の第七世住職に就任。全生庵にて坐禅会、写経会を開催。二〇一六年より日本大学危機管理学部客員教授。二〇一八年より大学院大学至善館特任教授。臨済宗国泰寺派教学部長。『心がみるみる晴れる 坐禅のすすめ』『花のように、生きる。』『「見えないもの」を大切に生きる。』『老いて、自由になる。』(以上すべて幻冬舎)、『悩むことは生きること 大人のための仏教塾』(幻冬舎新書)、『山岡鉄舟修養訓』(致知出版社)、『忘れる力』(三笠書房)、『お坊さんにならう こころが調う 朝・昼・夜の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『三つの毒を捨てなさい』(KADOKAWA)など著書多数。

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